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更新日:2024-11-01
Level 1 ストレージを最初に学ぶ人が読む記事
第2章 ストレージの機能

第3節 ストレージの性能UP機能・容量拡張機能
(キャッシュ高速化・QoS・スケールアップとスケールアウト)

第2節ではストレージの容量効率を上げる機能(重複排除・圧縮・階層化)について解説しました。 今回は、ストレージの性能を上げる機能と容量拡張機能について解説します。

ストレージの性能を上昇/保証する機能

キャッシュ高速化:一時的にキャッシュメモリにデータを保存しアクセスを高速化

ストレージ博士
さて、ここからはストレージの性能を上げる機能について紹介しよう。
SSDとHDDを組み合わせたハイブリッドストレージの多くは、SSDをキャッシュとして使うことで性能をアップさせているんじゃ。
hakase
tameru_tehe
出板 ためる
キャッシュ…って何でしたっけ?
ストレージ博士
ううむ、まずは「キャッシュ」の説明から必要じゃのう。
一般的にキャッシュとは「一時的にデータを保存して、次にアクセスするときに高速化する仕組み」のことじゃ。
「Webブラウザのキャッシュ」などは聞いたことはないかね?
一度開いたページをもう一度開いた時にサクっと表示されるのは、キャッシュのおかげなんじゃ。
hakase
ブラウザのキャッシュで次回アクセスが高速
tameru_idea
出板 ためる
たしかに!
1回目はすごく時間がかかったのに、2回目は一瞬で開いた!ということがありますね!それがストレージとどう関係あるんですか?
ストレージ博士
ストレージの世界におけるキャッシュとは、キャッシュメモリのことじゃ。CPUの処理速度は非常に速いので、CPUから見るとハードディスクの速度は非常に遅い。 その溝を埋めるのに使われているのがキャッシュメモリじゃ。
hakase

キャッシュメモリがない場合

CPUが速く処理しても、HDDがボトルネックとなり、システム全体の処理速度が遅くなる。

HDDがボトルネック
tameru_tehe
出板 ためる
トラックでどんどん荷物を運んだとしても、
最終的に人が1つずつ運ぶとなると、人がボトルネックになるようなイメージですね。
人がボトルネック
ストレージ博士
まあそんな感じじゃ。
君の例だと、ボトルネックを解消するには台車があれば解決しそうじゃが…
ストレージの場合はキャッシュメモリを使うんじゃ!
キャッシュメモリに一時的にデータを保存して、アクセスを高速化するのがストレージにおけるキャッシュ機能じゃよ。
hakase
メモリ
tameru_question
出板 ためる
キャッシュメモリって、つまりメモリですよね。
メモリってそんなに速いんですか?
ストレージ博士
ではメモリとハードディスクの速さの差を見てみよう。
ハードディスクやメモリの速さは一般的に、ハードディスクはミリ秒単位、メモリはマイクロ秒単位で表される。
つまり、ハードディスクとメモリの速さは約1,000倍以上差があるということじゃ。
hakase
時間単位 1秒を1とした時の大きさ
1秒(s) 1
HDD 1ミリ秒(ms) 0.001
メモリ 1マイクロ秒(μs) 0.000001
1ナノ秒(ns) 0.000000001
メモリはHDDの1000倍以上速い
tameru_shock
出板 ためる
こうしてみると、ハードディスクってすごく遅いんですね…。
ボトルネックになるのがよく分かりました。
ストレージ博士
うむ、ハードディスクが遅いので、キャッシュメモリの出番じゃ!
キャッシュメモリ上にデータがあれば、速いメモリ上からデータを読み込めばいいので性能を上げることができるというわけじゃな。
hakase
書き込み時
メモリ書き込み時

一旦キャッシュメモリに書き込んでからあとでHDDに書き込む

読み込み時
キャッシュメモリ上に読み込むデータがある
メモリを読み込むと速い

キャッシュメモリからデータを読み込む(速い)

キャッシュメモリ上に読み込むデータがない
HDDを読み込むと遅い

HDDからデータを読み込む(遅い)

tameru_laugh
出板 ためる
キャッシュ上にデータがあれば、
読み込み速度が○○ミリ秒から○○マイクロ秒になるってことですね。かなり速くなりそうですね。
ストレージ博士
さらに、SSDを2次キャッシュとして利用することで高速化を図っているのがハイブリッドストレージじゃ。SSDもメモリ程ではないが、ハードディスクより遥かに速いので、キャッシュとして使える。
ただしキャッシュ用のSSDは、あくまでキャッシュ用じゃ。基本的にデータ保存領域としては使えないから実効容量に含めてはいかんぞ。
hakase
SSDをキャッシュとして使う

QoS(Quality of Service):優先度の高いサーバーのI/O性能を保証

ストレージ博士
性能関連でもう1つ押さえておきたいのが「QoS」という機能じゃ。
hakase
tameru_question
出板 ためる
きゅーおーえす?
ストレージ博士
QoSとは「Quality of Services」の略で、サービス品質の保証という意味合いで使われる。
ネットワークの分野でよく使われる言葉じゃが、ストレージのQoSと言えば複数のサーバーが1台のストレージを共有している際に、優先度の高いサーバーが必要な性能を維持できるようにする機能じゃ。

このように、サーバーやストレージのボリューム単位で性能の上限や下限を設定したり、優先度によって自動調整を行ったりと実現方法は製品によって様々じゃ。
hakase

QoSのはたらき

QoSを設定していない場合
性能を維持できない
QoSを設定している場合
性能を維持できる

ストレージ性能や容量を拡張する方法

スケールアップとスケールアウト

ストレージ博士
さて次はストレージの拡張方法について勉強しよう。
これまで容量を削減する機能や性能を上げる機能について説明してきたが、それでもストレージの性能や容量が足りなくなってきた…
という場合、どうすればいいじゃろう?
hakase
tameru_question
出板 ためる
スペックがいい、上位のモデルに変更すればいいんですよね?
ストレージ博士
そう、それも1つの方法じゃ。
ハードウェアを高性能なものに交換したり、ドライブを増設して性能や容量をアップさせる方法を「スケールアップ」と言う。
一方、台数を増やして拡張する方法を「スケールアウト」と言う。
hakase

スケールアップとスケールアウト

スケールアップ
スペックの良い上位モデルに交換したり、ドライブの増設を行うことで、性能や容量を増やす方法
コントローラ交換やディスク増設
スケールアウト
複数のストレージを束ねて台数を増やすことで性能や容量を増やす方法
ストレージの台数を増やす
tameru_surprise
出板 ためる
なるほど台数を増やすという方法もあるんですね!
ストレージ博士
うむ、スケールアウトはシステムを停止せずにノードを追加することができるのがメリットじゃな。
頻繁に性能や容量の拡張が発生するようなシステムであればお勧めじゃ。
また製品によって、「スケールアップに対応しているもの」、「スケールアウトに対応しているもの」、「両方対応しているもの」と様々なので対応状況をまずは確認し、今後の拡張計画を考えて選択してほしい。
hakase

スケールアップはコントローラ冗長化で無停止アップグレード作業が可能

tameru_question
出板 ためる
スケールアップだとシステム停止が必要なんですか?
サーバー停止
ストレージ博士
うむ。CPUやメモリの性能をあげるには、交換が必要になるからじゃ。
とは言え、今はスケールアップも無停止で行えると謳っているストレージも多いんじゃ。
実際は安全のために念のため、停止した状態でアップグレード作業を実施しているケースも多いがのう。

ちなみに「冗長化」はアップグレードの際にも活きてくるんじゃ。ストレージコントローラが冗長化されていれば、このように無停止でのアップグレード作業が行える。
hakase

冗長化で無停止アップグレート作業

1
交換作業1

両側のコントローラで処理している(Active-Active)構成の場合は、一方のコントローラに処理を寄せる

2
交換作業2

片側のコントローラを停止させ、新しいコントローラに入れ替える

2
交換作業3

今度は入れ替えた後のコントローラに処理を寄せて、同様にもう一方も入れ替える

4
交換作業4

両側のコントローラの入れ替えが完了!元通り両側のコントローラで処理するよう戻す

tameru_laugh
出板 ためる
冗長化、大活躍ですね!

今回はストレージの性能をアップする機能と性能/容量を拡張する方法を解説しました。
次回はいよいよこれまでの基礎知識を踏まえてストレージメーカー各社製品の特長をご紹介します。
早速次のページに進んで製品の違いを理解し比較検討しましょう。

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