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更新日:2024-11-01
Level 1 ストレージを最初に学ぶ人が読む記事
第1章 ストレージの基礎

第1節 ストレージの「冗長化」と「可用性」とは?稼働率99%ってすごい?

データの保存先はHDD、 NAS、クラウド、HCI…どれも同じと思ってませんか?
企業の大事なデータの保存先となる「ストレージ」は簡単に見えて実は奥の深い世界。保存するデータの使い方によって選択すべきストレージも異なります。
高価な企業向けストレージがなぜ必要か、ストレージ博士とためるくんの会話で押さえましょう。

そもそもストレージって何?高価なストレージって必要!?

tameru_question
出板 ためる
博士~!
突然ですがバックアップって何ですか?
ストレージ博士
本当に突然じゃな出板くん…
ストレージとは、直訳すると「貯蔵」「保管」「倉庫」という意味じゃが、ITの世界では「データを貯めるところ」と思っておけばいいじゃろう。
さてここで問題じゃ。
この中でストレージはいくつあると思うかね?
hakase
USBメモリ/SDカード/DVD-ROM/HDD/テープ/アプライアンス
tameru_idea
出板 ためる
見慣れないものもありますね…
USBメモリやSDカードはよく使うけど…
データを貯めると言えば貯めてますよね。
これももしかして「ストレージ」なんですか?
ストレージ博士
その通り!
実は上に挙げたもの全て「ストレージ」なんじゃ。
ただし機能も金額も容量も様々。
大体次のような感じじゃ。
hakase

色々なストレージの金額と容量

ストレージの金額と容量
tameru_surprise
出板 ためる
一番右の大きな機械のようなものは、100万円以上もするんですか!?
どれも「ストレージ」なんだったら、安いものだとダメなんですか?
ストレージ博士
もちろん用途によってはUSBメモリやSDカードなど、安いものでOKじゃよ。
個人的に写真データを保存する場合などじゃな。
しかしそれが企業のデータだとしたらどうじゃろう?
hakase

企業の命、重要データとは?

tameru_idea
出板 ためる
企業のデータと言うと…
お客さんのデータだったり、
取引先のデータだったりでしょうか?
ストレージ博士
その通りじゃ、業種によって重要データは異なる。
自動車会社だと「設計データ」、銀行だと「預金情報のデータ」、デパートだと「取り扱い商品のデータ」など…まさにデータは企業の命といっても過言ではないのう。
hakase

企業データの例

自動車メーカーの設計データ
銀行の預金データ
デパートの商品データ
映像制作会社の動画編集データ
地方自治体の個人情報
官公庁の機密データ

安いストレージに起こりうるリスク

ストレージ博士
その命ともいえるデータを家電量販店で買えるような1万円のストレージに保存していたとすると、何が起こるじゃろう?
hakase
データの損失
故障によるデータ損失

ストレージの保護力が十分ではないため、故障してしまうと最悪の場合データが失われてしまう・・・

容量の不足
たくさんのHDD

量がそれほど大きくない上に、容量拡張ができない場合が多い。容量が不足したらその都度新しいストレージを買い足すことになる。

データの損失
遅延でイライラ

システムの性能はストレージの性能にも依存。アクセスに時間がかかるシステムでは皆イライラ…

tameru_shock.png
出板 ためる
どれもまずいですが、データの損失は特にまずいですよ!
銀行のストレージのデータが消失したとしたら、僕の貯金もなくなっちゃうってことですよね。
それは許せない!訴えてやる!
ストレージ博士
まさに、データの消滅によって裁判沙汰になるケースもある。それで多大な賠償金を払うことになるだけでなく、顧客の信頼を失ってしまいビジネスを継続できなくなることも考えられる。
だからこそ大きな投資をして、高価なストレージを買うんじゃな!
hakase
裁判のイメージ
tameru_idea
出板 ためる
高価なストレージだったら壊れないし、データも消えないということですか?
ストレージ博士
もちろん機械である以上、100%壊れないという保証はない。
ただし、万が一どこかが壊れたとしても
  • システムに与える影響が少ない
  • データが消えない
などといった優れた機能を持っているんじゃ!
hakase

冗長化と可用性と稼働率

tameru_question
出板 ためる
壊れてもシステムに影響を与えない… そんなことできるんですか?
ストレージ博士
ここで一度、企業向けストレージの代表的な構造を見てみよう。
これはあるストレージの背面の写真じゃな。
これを見て、何か気づくことはあるかね?
hakase
ストレージ背面のコントローラ/ファン/電源
tameru_idea
出板 ためる
あっ!
2つずつあるパーツが多いですね。
ストレージ博士
その通り!このように同じ役割のパーツが2つずつあれば、一方が壊れてももう一方が動き続けることができるので、システムに与える影響を最小限にすることができる。
冗長化」や「多重化」とは、機器の故障に備えて予備のパーツを用意しておくことじゃ。
後はドライブの障害対策として「RAID」という技術が使われることが多い。これは後ほど詳しく説明するが、とにかく企業向けのストレージは少し壊れてもシステムに与える影響が少なく、データも守られるというのを覚えておいてほしい。
hakase
tameru_laugh
出板 ためる
なるほど。冗長化って、僕が会社を休んだ時に
同じチームの人が代わりにお客さんにメールの返信をしてくれるようなイメージですね!
ストレージ博士
ここで「可用性」についても触れておこう。
可用性というのは、機器やシステムが「正常に稼働し、使用できる」度合いのことじゃ。当然、障害やメンテナンスで停止している間は使用できない。また特定の期間のうち、何パーセント使用できるかの割合を稼働率という。

さて問題じゃ、企業向けストレージの稼働率はどれくらいじゃと思う?
hakase
tameru_idea
出板 ためる
企業向けだから
きっとすごいパーセンテージなんでしょうね!
99%とか?

稼働率の計算

1日を秒に直すと:60 × 60 × 24 = 86400秒
1年で:86400秒 × 365日 = 31536000秒

そのうち1% が停止時間ということは、
31536000秒 × 0.01
= 315360秒
= 87.6時間
= 3日15時間36分
1年間の1%は3日15時間36分
tameru_surprise
出板 ためる
1年のうち3日以上停止しちゃうんですね…
ストレージ博士
そうなんじゃ。稼働率99%というのは、企業向けのシステムにおいては、それほど高い値ではないということが分かる。
銀行のシステムが3日も止まったら…大騒ぎじゃのう?
これが各稼働率における年間停止時間じゃ。
hakase

各稼働率における年間停止時間

稼働率年間停止時間
99.9999%32秒
99.999%5分15秒
99.99%52分34秒
99.9%8時間46分
99%3日15時間36分
ストレージ博士
99.999%でファイブ・ナイン、99.9999%でシックス・ナインなんて言われておる。
今、企業で主要なシステムに利用されるストレージは99.999%
(ファイブ・ナイン)や99.9999%(シックス・ナイン)以上の稼働率
をうたっているものが一般的じゃ。
hakase

いかがでしたか?企業向けストレージの重要性がよくわかりましたね。
次は「ストレージとサーバーの違い」を解説します。次のページに進んでみましょう!

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