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更新日:2024-11-01
Level 1 ストレージを最初に学ぶ人が読む記事
第1章 ストレージの基礎

第8節 ストレージの通信プロトコル
(CIFS/NFS/FC/iSCSI/FCoE/NVMe/NVMe-oF)

第7節はオブジェクトストレージ、ファイルストレージ、ブロックストレージの違い解説しました。 今回はストレージでよく使われる通信プロトコルと接続ケーブル・インターフェースについて解説します。

そもそもプロトコルとは?

tameru_question
出板 ためる
DAS/NAS/SANでそれぞれ「主なプロトコル」というのがありましたが、プロトコルってなんですか?
ストレージ博士
プロトコルとは、コンピュータなどの機器同士が、通信をするために取り決められたルールや手順のことじゃ。
以下の例のようによく言語に例えられるが、コンピュータ間が同じプロトコルを使用することで通信ができるというわけじゃ。
hakase

プロトコルとは言語のようなもの!

同じ言語は会話できる
同じプロトコルは通信できる
異なる言語は会話できない
異なるプロトコルは通信できない
tameru_laugh
出板 ためる
うーん、とりあえず通信するためには同じプロトコルを
使う必要がある
ということですかね!

よくあるストレージのプロトコル

ストレージ博士
ストレージの世界でよく登場するプロトコルを紹介する。
細かい内容まではなかなか覚えるのが大変じゃから、まずは「CIFS/NFSはNAS」、「FC/iSCSI/FCoESANストレージ」ということは覚えておこう!
hakase

NASでよく使われる「CIFS(SMB)/NFS」

CIFS
(SMB)
Common
Internet File
System
  • 主にWindowsを中心とした環境で、LANを通じてファイル共有などに使用されるプロトコル
NFS
Network File
System
  • 主にUNIX系サーバー接続時に使用されるプロトコル
  • NASでVMwareサーバーを接続する際にも使用される

CIFS/NFSのネットワーク構成

CIFS/NFS

SANストレージでよく使われる「FC/iSCSI/FCoE」

FC
Fibre Channel
  • SAN環境の構築時に使用されるプロトコル。
  • 接続には主に光ファイバを使用するため、高速に長距離の通信が可能。
iSCSI
Internet Small
Computer
System
Interface
  • SCSIというプロトコルをIPネットワーク上で利用できるようにし、SAN環境の構築を可能にしたプロトコル。
  • 通常利用しているネットワークスイッチを流用可能で、比較的安価に構築が可能。
FCoE
Fibre Channel
over Ethernet
  • FCをIPネットワーク上で利用できるようにしたプロトコル。
  • LANとSANを統合して、ネットワークをシンプルにすることが可能。
  • ただしFCoE対応機器が必要なため、導入コストが高くなりやすい。

FC/iSCSIのネットワーク構成

FC/iSCSI

FCoE対応機器を用いた構成

FCoE
tameru_surprise
出板 ためる
いろんなプロトコルがありますね!
インフラの世界でも共通言語って必要なんですね…。

コントローラとSSD間の通信を高速にする「NVMe」

ストレージ博士
あとは最新技術として、「NVMe」というフラッシュストレージ向けに開発された通信プロトコルも説明しておこう。 従来のSSDはSASなどのインタフェースで接続していたが、PCI Express(PCIe)で接続し、NVMeプロトコルでアクセスすることで高速化するんじゃ。
hakase
tameru_shock
出板 ためる
ちょっとよくわかんないです…
ストレージ博士
これならイメージしやすいかな?
SASという接続方式は、元々はHDD用の接続方式じゃから、どうしてもSSDではコントローラとSSD間がボトルネックとなってしまう。
NVMeを利用すれば、並列処理が可能となるため、大幅に転送速度を向上できるというわけじゃ。
hakase
従来の方式
SAS(Serial-Attached SCSI)インタフェースによる接続
SASインタフェース
シリアル(一列)での接続となり、転送速度に限界がある
NVMe対応
PCIeインタフェースによる接続
PCIeインタフェース
並列処理が可能になり、大幅な転送速度アップ
tameru_laugh
出板 ためる
とりあえず…
NVMeですごく速くなりそうなことは分かりました!
速いストレージ

サーバーとストレージ間の通信を高速にする「NVMe-oF」

ストレージ博士
しかし、これはあくまでコントローラとSSD間の通信をNVMeで行っているに過ぎない。
hakase
tameru_question
出板 ためる
コントローラとSSD間だけじゃダメなんですか?
ストレージ博士
ダメという訳ではないが、これだけでは今度はストレージとサーバー間の通信がボトルネックになってしまうじゃろうな。そこで登場するのが、「NVMe-oF(NVMe over Fabric)」じゃ。
hakase
tameru_surprise
出板 ためる
NVMeがファブリックを越えるんですね!?
ストレージ博士
意味が分からず言っておるじゃろ!
でもそういうことなんじゃ。ファブリック(Fabric)というのは、サーバーとストレージを接続する方式の1つじゃ。
NVMe-oFとは、サーバーからストレージのSSDまで(つまりファブリックを越えて)NVMeで通信できるようにしたものじゃ。
hakase_angry

NVMe-oF(NVMe over Fabric)

NVMe-oF
tameru_laugh
出板 ためる
技術の進歩はすごいですね。
今後どんな製品が出てくるのか、楽しみです!

ストレージのインターフェース「NIC」と「HBA」

tameru_question
出板 ためる
ところでSANストレージでよく使われる「FC/iSCSI/FCoE」のネットワーク構成図で出てきた「NIC」や「HBA」ってなんですか?
ストレージ博士
NICとHBAは、どちらもサーバーやストレージのインタフェースとなるパーツじゃ。
以下の写真のようなパーツが、サーバーやストレージコントローラに搭載されておる。
hakase

インターフェース

NIC
(ネットワークインタフェースカード)
※写真は4ポートのもの
NIC
主にLANの接続に使用される ものが「NIC」
HBA
(ホスト・バス・アダプタ)
※写真は2ポートのもの
HBA
主にFCやSAS接続に使用されるものが「HBA」
tameru_laugh
出板 ためる
あ!確かに!
NICにある穴には、LANケーブルが挿しこめそうな形をしていますね。NICもHBAもこの穴にケーブルを挿し込んで使うんですね?
ストレージ博士
たしかに穴じゃが…これからは「ポート」と言ってほしいのう。

拡張スロットを持つモデルであれば、そこにNICやHBAを挿し込むことでさらにポート数を増やすことができるんじゃよ。
hakase

あるストレージの背面図

ストレージ背面のポート

ストレージの接続ケーブル

ストレージ博士
そして、接続に使用するケーブルじゃ。
NASの場合はイーサネットケーブル、いわゆるLAN ケーブルで接続するのが一般的じゃ。
ストレージの接続においてよく登場するケーブルを以下で紹介しよう。
hakase

イーサネットケーブル(LAN/UTP ケーブル)

イーサネット接続(1000Base-T, 10GBase-Tなど)で利用される。

イーサネットケーブル
▼差し込みイメージ
イーサネット差し込みイメージ
材質
  • 銅線
メリット
  • 安価
デメリット
  • 外部環境からの干渉を受けやすいため、ファイバチャネルと比較すると伝送距離が短い

光ファイバケーブル

FC接続(8Gb/16Gb/32Gbなど)やギガビットイーサネット(GbE)接続などで利用される。

光ファイバケーブル
▼差し込みイメージ
光ファイバ差し込みイメージ
材質
  • 光ファイバ
メリット
  • 細いため取り回しがしやすい
  • 長距離の通信が可能
  • 外部環境からの干渉を受けにくい
デメリット
  • SFPやSFP+が必要なため高価

Twinax ケーブル(ダイレクトアタッチケーブル)

両端にSFP+などのモジュールが接続されている。ギガビットイーサネット(GbE)接続で利用される。

Twinaxケーブル
▼差し込みイメージ
Twinax差し込みイメージ
材質
  • メタル
メリット
  • SFP+に対応した差込口の場合、ファイバチャネルよりコストを抑えられる
デメリット
  • 太く取り回しがし辛い
  • 伝送可能距離が短く、ラック内での使用に限られる
tameru_surprise
出板 ためる
ケーブルなんて全部似たようなものだと思ってましたが
それぞれメリット・デメリットがあるんですね!
tameru_idea
出板 ためる
なるほど、ケーブルと比較して光ケーブルって随分高いと思っていたんですがノイズにも強い、長距離もOKということなら、高いのも納得ですね。

今回はストレージ業界でよく使われる通信プロトコルと接続ケーブル、インターフェースを解説しました。
次回はデータの通信速度とストレージの性能指標I/O・IOPS・レイテンシについて解説します。

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