2010年代前半頃から、新たにシステムを構築する際、まずはクラウドサービスの利用を検討する「クラウドファースト」という流れが生まれています。

従来の3層構造のインフラでは柔軟性や拡張性が低いため、既存のシステムを刷新したり、新たなシステムを構築する場合、クラウドを活用しようと考えるのは当然のことでしょう。

しかし、最近ではオンプレミス回帰が起き始めています。それはなぜでしょうか。


1つ目の要因はセキュリティです。

どのようなシステムでもセキュリティには脆弱性が有りますが、特にクラウドはインターネットへの接続が必須であるため危険性は増すでしょう。

またクラウドのセキュリティはサービスの提供元に依存する為、利用者のポリシーとして許容し難い場合も考えられます。

扱うデータの性質によっては、自社内に閉じた環境を必要とすることは考えられます。


2つ目はパフォーマンスです。

提供されるクラウドサービスのコンピュートリソースは多くとも、通信速度の面で多くの場合はオンプレミスの方が優位です。

システムの処理速度や利用者の利便性を考えると、オンプレミスという選択にはパフォーマンスの面でも需要があると考えられます。


3つ目はコストです。

クラウドとオンプレミスは異なる性質を持つため一概に比較することは難しいですが、クラウドのコストは一般に「使ったら使った分だけ」という従量課金の性質を持ち、事前に正確なコストを算出することは難しく、当初見込んでいた料金以上のコストがかかったケースが有るようです。

またオンプレミスのような「初期投資」+「固定料金」とは異なるコスト管理が必要となり、思っていたのと違う・・・と感じたものと考えられます。


このようなクラウドならではの「考えるべきポイント」はあるものの、やはりクラウドは"便利"であり、システムを構築する上で切り離すことは出来ません。

そこで「ハイブリッドクラウド」という選択肢が有力な候補であり、Azure Stack HCIは、オンプレミスとクラウドの良いとこ取りを実現する方法と言えます。

また、多くの企業が少なからずWindows Serverを利用しています。

Windowsベースの仮想化技術だからこそ、今まで馴染みのある技術・管理ツールをそのまま活用しつつハイブリッド環境を実現できる点もAzure Stack HC Iが導入される要因だと考ています。