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【特集記事】見落とされがちな「常時SSL化」の死角、どう対策する?
2017.03.09
Webサイト全体を「SSL(Secure Socket Layer)/TLS(Transport Layer Security)」暗号化(以下、SSL暗号化)する「常時SSL化」は、近年のサイバー犯罪の高度化を受けて、多くのサービスで採用されるようになってきている。「Google」や「Facebook」「Twitter」などのグローバルサイトの他、国内でも「Yahoo! JAPAN」が常時SSL化への対応を進めている。Googleが常時SSL化サイトの優遇表示を発表したり、次世代プロトコルのHTTP/2でSSL暗号化がほぼ必須になったりと、業界の後押しもあるため、今後はさらに導入が進むことだろう。
また昨今話題のIoT(モノのインターネット)では、外部のデバイスからデータを収集してセンター側で集約する。当然のことながら、盗聴やなりすましを防ぐ必要があるため、小型のIoTデバイスでも処理可能なSSL暗号化技術も登場している。
さらに、企業が遠隔地のデータセンターなどを利用する際には、SSL暗号化を用いたVPNを利用して、安全性を確保することが一般的である。
「一般的なセキュリティ対策は、通信やファイルの内容をチェックして、悪意のあるデータやプログラムが混じっていないかどうかを分析します。SSL暗号化によって通信内容が分からなくなるということは、セキュリティチェックもできないということなのです」と、ネットワールド マーケティング本部ソリューションマーケティング部クラウド&セキュリティソリューション課課長の渡部 隆氏は述べる。
特に問題なのは、社内のシステムに感染したマルウェアの攻撃活動、あるいは社員のミスや故意による情報漏えいを防ぐことが難しいということだ。昨今では、FacebookやTwitterなどのSNSをマーケティングやPRに利用する企業も多く、社員の利用を一概に禁止することもしにくい。しかし、こうしたSNSなどに機密ファイルをアップロードされてしまえば、SSL暗号化通信を精査できないために問題点が露呈しないことになる。
「BIG-IP SSL Forward Proxyの優れた点は、ユーザーの環境や条件に合わせて柔軟に導入構成を組めるところにあります。既存のゲートウェイ装置を2台のBIG-IPで挟む“サンドイッチ構成”は、極めて高いパフォーマンスを求めるケースに適します。1台のBIG-IPで論理的にゲートウェイを挟み込む“ブリート構成”であれば、導入コストを抑えることができます。もちろん、ログアナライザーなどにデータのみを提供する“ICAP連係”も可能です」と、ネットワールド SI技術本部インフラソリューション技術部ネットワークソリューション課システムエンジニアの山田晋吾氏は述べる。
こうした柔軟性のおかげで、ネットワーク構成に与える影響を最小限に抑えることができる。既存のセキュリティゲートウェイもそのまま利用できるため、「既存資産をムダにしない」(山田氏)ことが、BIG-IPの最大の特長といえるだろう。
もちろん既存のセキュリティ装置でも、上位機種にアップグレードすることでSSL通信解析に対応することは可能かもしれない。その時は、ぜひBIG-IPの導入費用やパフォーマンスを比べていただきたい。そして、BIG-IPだからこそ実現できるセキュリティ性能にも注目してほしい。
「一般的なWebサイトでは、SSL暗号化通信にはHTTPS(ポート443)を用いますが、サイバー犯罪者が別のポート番号を悪用するケースは珍しくないのです。BIG-IP SSL Forward Proxyであれば、ポート443以外のSSL通信に対応し、セキュリティ装置が正しく検査できるように処理します」と山田氏が自信を持って語るように、BIG-IP SSL Forward Proxyは、ネットワークを知り尽くしたBIG-IPだからこそ実現可能なゲートウェイセキュリティといえるだろう。
既に述べたように、BIG-IPはその強力な通信解析能力を生かして、分散型サービス拒否攻撃(DDoS攻撃)対策やアプリケーション最適化、SSL VPN終端や回線負荷分散などにも利用することができる。もしセキュリティ対策やその他の機能に不足を感じているのであれば、機器を追加することなくネットワークを強化できるのは大きなメリットだ。
また、Microsoft「Office 365」の通信セッション数増加の問題に対応し、ネットワークやプロキシの負荷を軽減できるようになっていたり、「BIG-IP APM(Access Policy Manager)」を使えば認証連携も可能になっていたりするので、Office 365のようなクラウドアプリケーションへのアクセスを最適化することも可能になってくる。 「今後もネットワールドでは、F5ネットワークスの優れた技術と最新のBIG-IPが、最適な形でユーザー企業に届くよう、パートナーとともに体制を強化していきます」と渡部氏は語る。