導入事例 株式会社カラー
作品資産を守り抜くためにアーカイブ環境をWasabi Hot Cloud Storage +QNAP でクラウド移行
運用管理コスト80%減を実現
- Wasabi Technologies
2024.09.19
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株式会社カラー
URL:https://www.khara.co.jp/
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導入前までの経緯
- 大きな負荷がかかっていた障害対応や更改対応
- データ消失リスクに大きな不安
- メガクラウド移行はコストコントロールが困難
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導入後期待される効果
- ハードウェア運用管理からの解放
- データ消失リスクからの解放
- 既存のシステムとほぼ変わらないコストを維持
プロジェクトメンバー
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株式会社カラー
システム部 主任
システムエンジニア
三澤 一樹 氏 -
株式会社Too
Wasabi セールスチーム
(写真左から)
廣瀬 収氏、小沼 育民氏、唐沢 智一氏
映像企画製作会社である株式会社カラー。映像作品の企画・原作・脚本・デザイン等の開発ならびに製作・宣伝・配給を手がけ、『エヴァンゲリオン』シリーズ等のアニメ作品の制作や『シン・仮面ライダー』等の実写作品の制作にも関わる。また、映像クリエイターの発掘と育成やアニメーション・特撮に関する資料・技術の保存・管理・啓蒙も目指している。
同社には、2006年の設立以来、『エヴァンゲリオン』シリーズを始めとする複数の作品の静止画や動画ファイル等が多くアーカイブされている。それらは現在まで営々と蓄積され、容量は500TBに上る。同社にとって資産である同ファイルは消去することはなく、新しい作品が制作される度にデータ容量は増え続けていく。また、これらの作品ファイルは、時に様々な形で商業利用されている。顧客企業の依頼を受け、アーカイブデータからファイルを取り出し、そのままの形で提供することもあれば、ニーズに応じて加工することもあった。
これまで作品ファイルはQNAPのNASストレージを使用し、オンプレミス環境に保存されていた。500TBと容量が大規模であるため、HDDの数にして60本以上となっていた。冗長構成は組んでいたが、複数のHDDで不具合が生じるケースもあった。
株式会社カラー システム部 主任 システムエンジニア 三澤 一樹氏は、「何かあればすぐ新しいHDDに交換しますが、さすがに立て続けに起こると『データを失ったらどうしよう』と不安で夜も眠れない状態でした。また、1本のHDDに収めているデータ容量が大きいため、交換になると、他のHDDから新しいHDDにデータを復元・再構築するリビルドで1~2週間かかっていました。どうしてもその進捗が気になるため、本来の業務が後回しになりがちです。さらに、リビルドが走るとNASのパフォーマンスが落ち、社内ユーザーの業務効率に影響を及ぼします」と語る。またメーカー保守満了に伴い、ハードウェア更改を行う際には、500TBのデータ移行を終えるのに6カ月間を要した。そして2023年の更改時に三澤氏はこれらの課題を解決する方法を模索した。候補となったのがクラウドへのアーカイブだ。当初検討したのは大手パブリッククラウドだったが、ストレージ使用料金に加え、データを取り出す際にも料金が発生する点がネックだった。同社の場合、必要に応じてデータをダウンロードする必要があるため、月当たりのダウンロード料金を予測できないことは回避したい事態だった。
そうした中、システムインテグレータとして頼りにしている株式会社Tooから、クラウドオブジェクトストレージWasabi Hot Cloud Storage(以下Wasabi)の提案があった。「初めて聞くブランドでしたが、Tooが推奨するクラウドストレージなら間違いないだろうと思いました。また、料金が低価格で、下り転送料も発生しないのも良く、容量だけを考えれば済むというのは、コストを見積もる上で非常に重要でした。総額が既存のオンプレミスシステムとほぼ変わらないのも、稟議を通す上でプラス要因でした」と三澤氏は話す。Wasabiなら、今まで同様にコストコントロール可能な状態でデータをアーカイブすることができ、しかもクラウドであるため、移行後は永久にハードウェア障害対応から解放される点も当初の課題解決に繋がった。
導入前にWasabiの無償トライアルを利用し、WasabiとQNAPの接続の容易性、パフォーマンス検証が行われた。「接続はとても簡単でした。Tooに検証環境を用意してもらい何度か試してみましたが、毎回再現できたので、これで全然問題ないと思いました。仮にQNAPが壊れたとしても、また別の筐体を持ってきて繋げばよいだけで、データの損失リスクはないことも確認できました」と三澤氏は語る。
パフォーマンスに関しては、オンプレミスシステムと比べてもほぼ遜色ないレベルの性能となり、社内ユーザーの体感に響くほどではないだろうと判断された。「アーカイブに関しては、データの損失がないことを第一に考えるのは当社のポリシーです。それをコストパフォーマンスも加味して実現してくれる点で、Wasabi+QNAPに決めました」と三澤氏は続ける。
株式会社Tooがソリューション商材の仕入れ先として選定したのがネットワールドだ。「今回は、連携性が良いという点でWasabiとQNAPとの組み合わせを提案しました。ネットワールドはQNAPに関しても検証結果を持っており、相談できてよかったと思っています。弊社が検証段階で迷っていた際に、ネットワールドでも検証してくれたことが、結論に辿り着けたことに繋がっています。細かいところまで相談に乗って頂き本当に感謝しています」と株式会社Too Wasabiセールスチームは語った。
2023年9月、QNAPの導入プロセスを開始した。QNAPには、QTSというOSと、新しく登場したZFSベースのQuTS heroというOSがあり、当初は後者で導入を進めていたが、Active Directoryの連携性が実証されているQTSへ切り替えを決定。設定の変更は管理画面上で簡単に行える上に、データもWasabi側にあることから、QNAPを初期化するなど大きな変更を行っても、システムの稼働に影響は出ることはなかった。まさに、実体をNAS側に置くことなくデータの利活用が行えるWasabiのメリットが活きた場面となった。同年12月のシステムテストを終え、2024年よりデータ移行を開始した。1Gbpsのインターネット回線を使って1日に約3TBのデータ転送速度となった。クラウドへの転送である点を踏まえると、非常に高速だとToo社内の評価も上々だったと小沼氏は話す。2024年6月時点で300TBを移し終え、現在10Gbps回線をオーダー中のためその開通時期が早まれば、さらに転送スピードを上げることが可能となる。
三澤氏は、Wasabi+QNAPで実現する効果について、「インフラコストは既存のシステムとそれほど変わらない状況で、管理運用コストを約80%削減できるのではないかと思っています。HDD障害対応や、ハードウェア更改対応から解放されて、本来のシステム管理業務に専念できるのは非常に大きいです。またそこには精神的な衛生面の向上も含まれており、データを失うことについて今後一切考えなくていいのは本当に助かります。さらに、新ソリューションを導入したことで、拡張性も持てるようになりました。当社には複数の制作拠点があり、現在、主要な拠点とは専用回線を敷設してアーカイブデータを利用できるようにしています。しかし今後は、インターネット回線だけで、どの拠点からもWasabi上のデータを利用することが可能となります。Wasabi上のデータを2次アーカイブするという案も考えています。ハードウェア運用管理がなくなると、こうしたことが次々企画して実行できる余裕が生まれるはず、と大きな期待を寄せています。Wasabiは管理画面がわかりやすいのがいいですね。サポートの前面に立ってくれているTooの問い合わせ対応レスポンスもよく、選んだことを満足しています」と述べた。
パートナー概要
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株式会社Too
本社 : 東京都港区虎ノ門3-4-7
URL:https://www.too.com/