導入事例 湯沢市
市民向けフリーWi-Fiサービスのインフラを HPE Aruba Networking で全面刷新
セキュリティ強化と運用効率化に成功
- Aruba (Hewlett Packard Enterprise)
2024.03.28
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導入前までの経緯
- 市民向けフリーWi-Fiサービスのセキュリティを高めたい
- 遠隔地に設置されたアクセスポイントを効率的に管理したい
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導入後期待される効果
- セキュアなユーザー認証と利用状況を可視化することで「ゼロトラスト」を展開するきっかけにする
- ファームウェアのアップデートや運用管理操作をクラウドから行うことが可能に
プロジェクトメンバー
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湯沢市ふるさと未来創造部
情報政策課 情報システム管理班
主幹
中村 太 氏 -
株式会社日立システムズ
公共情報サービス第一事業部
東北公共システム本部
東北システム第一部 第二グループ
技師
藤田 和紀 氏
秋田県の最南東部に位置する湯沢市。豊かな自然と地熱資源に恵まれ、小安峡温泉や秋の宮温泉郷などの温泉地が点在し、これを目当てに同市を訪れる旅行客も数多い。また、日本三大うどんとして有名な稲庭うどんや、地元の米と水を活かした数々の地酒、800年の歴史をもつ川連漆器なども人気を博している。加えて注目されるのが、先進IT技術の活用にも積極的に取り組んでいる点だ。まず「攻めのIT」では、各種手続きのオンライン化やキャッシュレス決済の導入など、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現に向けた取り組みを展開。一方「守りのIT」においても、各種庁内システムの改善・強化を意欲的に進めている。
湯沢市 ふるさと未来創造部 情報政策課 情報システム管理班 主幹 中村 太 氏は「行政システムは市民の方々の暮らしを下支えするものですので、安定稼働や安心・安全の確保は大前提です。情報インフラの管理運営を担う当部門においても、細心の注意を払って日々の運用に努めています。また、各部門の業務がより円滑に行えるよう、システム導入時のサポートなども行っています」と説明する。
このように多面的な取り組みを展開する同市において、今回実施されたのが市民向けWi-Fiサービスの改善プロジェクトである。元々、同市では、市の本庁舎や支所庁舎、地域の市民向け施設などでフリーWi-Fiサービスを提供してきた。しかし、従来の環境は市販品の無線アクセス・ポイントで構築されており、誰が・いつ・どのようにフリーWi-Fiサービスを利用しているのか確認することが困難であった。市の施設でフリーWi-Fiが使えるのは、市民にとっても非常に便利なことだが、セキュリティや設備管理の面から見れば、利用状況をきちんと可視化しておきたいところだ。
そうした折に、新型コロナウイルスの感染拡大で市民のコミュニケーション手段をより拡充する必要性が生じたことを機に、フリーWi-Fiサービスの刷新を図ることにした。
そのための製品として新たに導入されたのが、ネットワールドが提供する「HPE Aruba Networking無線LANソリューション」(以下、HPE ArubaNetworking)である。同市のITパートナーである日立システムズの藤田 和紀氏は、HPE ArubaNetworkingを採用した理由を「HPE Aruba Networkingには、クラウド管理アプリケーション『Aruba Central』が用意されており、市内の様々な場所に設置された無線アクセス・ポイントやスイッチなどをクラウドから統合管理できます。また、他社製品と比較して、コストを抑えられる点も高く評価しました」と説明する。もう一つの決め手となったのが、HPE Aruba Networking独自の統合認証基盤「ClearPass」である。この機能を利用すれば、誰が・いつ・どこから・どの端末で・どのように接続してきたかを把握できる。現代の安全なネットワーク利用に欠かせない、ゼロトラスト・セキュリティを展開するきっかけにできるのだ。
実際の導入作業においては、ネットワールドの技術支援も大きく貢献。藤田氏は「事前のキッティングや設定作業などに加えて、機器を切り替える際には万一のトラブルに備えて現場での立ち合いも行ってもらいました。おかげで我々としても安心して作業を進められました」と語る。
具体的な製品としては、Wi-Fi6対応の高性能な無線アクセス・ポイント「HPE Aruba NetworkingAP-535」(以下、Aruba AP)を採用。これを市役所本庁舎と3カ所の支所庁舎、駅、市内各地区センター、その他施設など約30カ所の拠点に100台配置している。また、これに加えて、本庁舎には無線LANコントローラー「HPE Aruba Networking7000シリーズ・モビリティ・コントローラー」が設置されている。
ネットワーク構築面での工夫としては、総合体育館などの多くの人々が集まる拠点の通信を直接インターネットに接続できるようにした点が挙げられる。「すべての通信が本庁舎を経由する形だと、大量のトラフィックが発生した場合に、帯域を圧迫してしまう可能性があります。その点、こうした構成であれば、施設側で大きなイベントを開催しているときでも、本庁舎側のネットワークには影響ありません」と藤田氏は語る。
また、懸案であった利用状況把握については、ClearPassを用いたメール認証を行うことで解決。メールアドレス登録後に送付されてくる設定メールのリンクをクリックするだけなので、利用者側としてもそれほど手間を掛けずにフリーWi-Fiサービスを使えるようになる。
こうして導入された新フリーWi-Fiサービスは、市民サービスの向上に大きく貢献。中村氏は「当市では、市庁舎内の会議室を市民に解放しており、事前に予約を頂ければ、コミュニティの会議や集会などにご利用頂けます。会議室内のWi-Fi設備もお使い頂けますので、インターネットを使った会議なども問題なく行えます」と語る。
また、庁舎内のオープンスペースでもWi-Fiが利用できるため、毎日多くの市民に活用されているとのこと。その他の市内各施設での利用も順調に伸びているという。HPE Aruba Networkingには、端末を最適なAruba APに接続させることでつながりにくさを防ぐ「ClientMatch」機能も備わっているため、混雑した場所や移動中でも快適にWi-Fiを利用可能だ。また、事前の懸案であった利用状況の把握も実現。中村氏は「ClearPassによって通信状況を可視化し、ログも取れるようになりました。会議室の利用が職員のいない夜間に及ぶケースもありますので、こうした環境が実現できたことは大変大きい」と続ける。
一方、運用管理面でもAruba Centralによるクラウド統合管理が威力を発揮。藤田氏は「現在は本庁舎を含めた5カ所の拠点をArubaCentralで管理しています。ファームウェアのアップデートや再起動などの操作を、リモートで行えるのは大変便利ですね」と語る。
「インターネットへ接続できることは、平時だけでなく災害時にも重要なポイントとなります。そこで、避難所へのAruba AP増設などの見直しも適宜実施し、より利便性の高い環境を整備していきたい」と中村氏は語る。HPE Aruba Networkingの豊富な導入実績を有するネットワールドと日立システムズも、こうした同市の取り組みをしっかりと下支えしていく。
パートナー概要
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株式会社日立システムズ
本 社:品川区大崎1-2-1
U R L:https://www.hitachi-systems.com/