導入事例 スズデン株式会社
Veeam Backup & Replicationを3つの基盤に採用
バックアップ/リストア効率化とクラウドからインフラ一元監視に成功
- Veeam
2022.06.08
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導入前までの経緯
- バックアップやリストアに時間がかかっており、万が一のランサムウェア被害などにおける迅速な対応が懸念された
- クラウドを活用したハイブリッド運用ができておらず、BCP対策が不十分だった
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導入後期待される効果
- API連携を活かし高速バックアップを実現。高い操作性でリストアも1VMにつき約7分で完了
- クラウド連携でインフラ環境を一元監視。エージェントレスな監視ツールで作業コストも削減
プロジェクトメンバー
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スズデン株式会社
業務システムセンター
センター長
矢口 誠 氏 -
デジタルテクノロジー株式会社
ITインテグレーション部
システムデザインユニット1 シニアマネージャー
有川 浩二 氏
1000社を超える仕入先をパートナーに、総合商社として全国約5000社の製品製造ニーズに応えるのが、『もの造りサポーティングカンパニー』スズデン株式会社だ。戦後間もない1952年創立の同社は、今期で70周年を迎え、制御機器、情報通信機器、電子機器、電子デバイス、電設資材など幅広い商品を扱いながら、長年ものづくりに携わる人々を支えている。「全国37拠点、11サービスセンターとともに、千葉県松戸市に構える本センター『東京物流センター』も日々安定して、さまざまな業種のお客様へ商品をお届けしています」と、同社 業務システムセンター センター長 矢口 誠氏は言う。
しかし近年では、製造業界においても、ランサムウェアなどによるサイバー被害の拡大、およびテレワークや在宅勤務といった働き方の変化など、環境の変動が著しい。ITインフラ整備の重要性を再認識する同社では、激変する状況下でも、ものづくりを支える企業として変わらない商品供給を目指すため、今回新たなバックアップシステムの導入に着手した。
矢口氏は「昨今の状況を鑑みるに、どのような状況下でも商品を安定供給するためには、バックアップ環境の整備が必要だと感じていました。しかし、『商品供給の時間差』が顧客事業に直接影響する製造業においては、ただシステムをバックアップするだけでは不十分です。できるだけバックアップにかかる時間を短縮しつつ、万が一の際には即座にリストアできる構成が求められました」と振り返る。
今回のバックアップシステム導入にあたっては、セキュリティ基盤、テレワークのためのVDI基盤、およびすでにバックアップソリューションが導入されている基幹システムのソリューション置換という形で、三つの基盤が再編成された。今回の導入を支援したデジタルテクノロジー株式会社 有川 浩二氏は「複数のシステムを統合的にバックアップするため、管理の効率化はもちろん、やはりバックアップ・リストア速度は重要視されました」と語る。特にVDI基盤では、構築元のHCIおよび400台の仮想デスクトップ環境を保護する必要があり、確実にバックアップウインドウ内で収められるかが製品選定のポイントとなる。
スズデン株式会社では、安全で効率的な統合バックアップを実現するために、さまざまな製品を検討。結果として新たに採用されたのが、ネットワールドが提供するVeeam Software社製バックアップソリューション「Veeam Backup & Replication」(以下、Veeam)だ。
Veeamを選定した理由について、バックアップ・リストア効率化のほかに、有川氏が挙げたのは大きく二つ。「Veeam単体で、バックアップだけでなくレプリケーションまで行えるのは、大きな利点でした。事業継続の観点から、バックアップとレプリケーションを併用するケースも増えていますが、一つの製品導入で両方を賄えるのは、コスト的にも評価できるなと感じています。もう一つの選定理由は、Veeam ONEと呼ばれる監視ツールで、単一のコンソールからシームレスに各仮想基盤を可視化できることでした。エージェントのインストールが不要なので、VDI環境における400台の各仮想マシンや、セキュリティ基盤で動く重要な仮想マシンにエージェントをインストールする手間もなく、シンプルにリソースを監視できるのは、採用の大きな決め手でしたね」
結果として同社は、Veeamの活用によって高速なバックアップ・リストアを実現し、万が一の事態における有効策を講じることに成功した。400台のVDI環境において、約2.4TBのフルバックアップはおよそ18時間、約650GBという日々の増分バックアップに至っては、2時間程度でバックアップが完了する。また、リストアは1VMにつき、実に約7分で終了するまでに短縮された。
Veeamのシンプルな操作性にも高い評価が寄せられる。矢口氏は「リストア自体は7分ほどで終わりますが、操作がかんたんなVeeamなら、VDIに何らかの障害があって、Veeamを立ち上げてリストアをするまででも、実質10分程度で終わってしまいます」と語る。有川氏も「世代管理による確実なデータ復旧ができるのも利点に感じています。実際に以前データ復旧を試みた際、前日のデータが破損しており、前々日に戻ってデータを復旧したこともありました」と補足する。
セキュリティ基盤においても高速バックアップに成功しているが、これにはVeeamのAPI連携が光る。「セキュリティ基盤では、VMwareのスナップショットだけではなく、NetAppとのストレージスナップショット連携を図ることで、バックアップの高速化を実現しています」と有川氏は言う。VMwareによるスナップショット連携のみの場合、I/Oが頻繁に行われ負荷がかかるため、バックアップ処理に時間がかかったり、システムが瞬停(スタン)したりすることもある。一方、ストレージスナップショット連携を実行した場合、仮想マシンのスナップショット作成から削除までをかなり短縮できるため、結果的に負荷を減らしてスタン発生を防ぎつつ、バックアップ時間も短縮可能だ。
Veeamの多様なAPI連携による同社への効果は、これだけに留まらない。「セキュリティ基盤では、会計基盤など業務運営に欠かせない仮想マシンを配置しているため、Veeam経由でAWSのS3に二次コピーしている」という同社。さらに、AWS上で動作するVeeam Backup for AWSも活用し、VPC内にあるEC2インスタンス(DNSサーバー、Webサーバー)のバックアップを同S3に保存している。「クラウド連携およびフォーマット変換に優れたVeeamなら、EC2インスタンスをオンプレミスのVMware環境に直接リストアできます。あるいは、逆も然りです。オンプレとクラウドをかんたんに行き来できるので、コストメリットがある方にすぐ切り替えられる点も気に入っています」と有川氏は語る。矢口氏も、クラウドを活用したハイブリッド運用ができる点に関して、「ものづくりを支える企業として、違う基盤にデータをリストアして業務を安定稼働できるのは、高い効果を発揮しています」と満足気に語った。
採用の決め手となった監視ツールであるVeeam ONEは、バックアップソフトウェアの枠を超えて、システム全体の運用にも役立っている。有川氏は「AWSのEC2インスタンス上にVeeam ONEを構築し、オンプレミス側の仮想基盤および仮想マシンを監視しています。仮想マシンのリソースやハードディスク容量、CPU負荷率などを一目で確認できるほか、定期的なレポートも発行されるので、インフラ上の気づきにくい変化にもすぐに対応できる仕組みになっています」と、メリットを語った。
オンプレミス上にメールサーバーなどを構築する同社では、クラウドに監視ツールを置く構成(前述のとおり、DNSサーバーなどのバックアップもクラウドに展開)とすることで、有事の際もクラウドからアラートが届く仕組みをとっている。「監視ツールの運用はデジタルテクノロジーさんにお任せしており、我々はアラートをもとに、集中して障害対策に取り組めています」と、矢口氏は今回の提案を再評価した。
今後は、基幹システムのバックアップも随時Veeamに統合していく予定で、Dell Power Protect DD(旧:Data Domain)との連携による高い重複排除を活用して、より効率的なバックアップを実施していく展望だ。「手がつけられないほど脅威を増すランサムウェアの存在もあり、『セキュリティのためのデータバックアップ』が今後多くの企業テーマになり得るかと思います。あらゆる場面においても確実にデータをリストアできる状況にして、有事に備えることが重要だと考えますが、Veeamは確実性や速度において、非常に優れていました。目まぐるしく変わるITインフラ環境ですが、我々のすることは変わりません。商品を日々安定供給するために、今後もベストプラクティスを目指します」と述べる矢口氏の意志は、力強い。
パートナー概要
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デジタルテクノロジー株式会社
本 社:東京都荒川区東日暮里5丁目7-18 コスモパークビル
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