導入事例 株式会社日経統合システム
複数の仮想化基盤から成るIaaSのデータバックアップをNutanix Cloud Platform と Veeamで統合管理
不具合の自動検知・通知で効率的なBCP対策を実現
- Nutanix
- Veeam
2022.01.28
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所在地:東京都江東区南砂5 - 8 -1
URL:https://www.nasnet.co.jp/
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導入前までの経緯
- 既存のバックアップツールの提供・サポートの終了が 決定し、後継製品が必要だった
- 既存のバックアップツールは、一つの仮想化基盤しか 対応しておらず、複数のツールを使って運用していた
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導入後期待される効果
- 複数の仮想化基盤から成るIaaSのデータバックアップ 管理を一元化
- 不具合の自動検知/通知により、運用工数を大幅に削減
1987年の創業以来、日経グループを中心にI T 基盤を預かるデータセンターとして着実に発展する日経統合システム。情報システムの運用管理やシステム開発、ネットワーク構築などの技術やノウハウを活かしながら、日経グループ以外の企業も対象にI Tサービス/ソリューションを提供している。またデータセンター事業では、ハウジングやコロケーション、事務スペース、 仮想化技術を用いたホスティング、さらにはIaaS(Infrastructure as a Service)として「セキュアWebサービス」を提供している。長年にわたって日経グループを支えてきたIT運用のノウハウを活かして、IT基盤やIaaSの安定運用・稼働を実現できることが同社の大きな強みだ。
同社のセキュアWebサービスでは、仮想化ソフトウェア基盤と親和性の高い無償のツールを用いてデータバックアップを行ってた。このツールは、データバックアップの不具合を検知して担当者 にアラートを発信する機能がなく、プログラムを自作して毎日稼働させ不具合の発生に備えるといった手間がかかっていた。この無償ツールの提供とサポートが終了することが判明し、新たなデータバックアップソリューションを探す必要に迫られた。
同社では、上述した無償のツールを使い、設定したタスクに従って自動的に専用 ストレージにデータのバックアップを実行できるよう仕組みを整えていた。新たなデータバックアップソリューションを選定 するに当たっては、現行のデータバックアップ運用の効率性が維持かつ向上できること、さらにコストパフォーマンスに優れていることの2点を重視したという。
同社データセンター事業本部の三島 徹生氏は「IaaSにおけるデータバックアップにかかる費用はお客様に転嫁することになります。ですので、無償ツールを商用ソリューションへと切り替えざるをえなくなったとはいえ、高額のデータバックアップソリューションを導入することは避けなければなりませんでした。そのため、機能・ 性能・コストのあらゆる面でベストの製品を選択する必要があったということです」と語る。
同社は、2017年頃からNutanixを用いて3層構成の仮想化基盤からハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)へ の移行を進めてきた。データバックアップ のソリューションを探していたところ、エンタープライズ向けデータ保護ソリューションVeeamとNutanixの連携システムが米国で発表されたことから、その導入の検討を開始した。
「データセンター事業を展開するうえ で、基盤運用の効率化は最重要課題です。 Veeamは、多数の仮想マシン(VM)や物理サーバのデータバックアップ、リカバリを統合的に管理できる優れたソリューションです。コストを抑えながら自 社で無償ツールの代替環境を構築する必要があり、構築や運用にかかる手間に対して懸念ありました。そんな中でNutanixの連携システムが発表されたことは、私たちにとってはまさに「渡りに船」でした。」と三島氏は語る。
こうして、さまざまなデータバックアップ製品を比較検討した結果、スモールスタートが可能で、安価で実績があり、抱えていた不具合の自動検知と担当者への通知機能もあることが後押しとなり、Nutanixの導入を決定した。
導入後は従来のツールからの移行を段階的に進めており、Nutanixによるデータバックアップの対象ボリュームは約70VMに上っている。
三島氏は運用について「Nutanixは、従来の環境と変わりなく、データバックアップを実行でき、処理の自動化 も問題なく行っています。現時点ではまだ 試用段階で、Nutanixが持つ豊富な機能の一部しか活用できていませんが、データバックアップが一元管理できるのでこれまで以上に効率化できている手応えを感じています」と語る。
従来の無償ツールではデータバックアップの不具合を検知してアラートを担当者に発信する機能がなく、そのためのプログラムを自作して運用していた。Nutanixでは標準機能として不具合の自動検知と担当者への通知の機能が備わっており、データバックアップ運用に要する工数を削減することにつながっている。
さらに、「これまで使用してきたデータバックアップツールは、一つの仮想化基 盤に対するデータバクアップしか対応していませんでした。IaaSは複数の仮想化基盤で構成されていますので、複数のツールでデータバックアップを行って管理していました。Nutanixの場合、単一のコンソールからすべての仮想化基盤の管理はもちろん、データバックアップ、リカバリーも一元管理できるため、その効率化の効果は大きいと感じています。」と三島氏は語る。
同社は今後、サービスプロバイダー向けライセンスであるVeeam Cloud&ServiceProvider(VCSP)を購入し、 AWSのような主要なクラウドプラットフォームを利用したIaaSの拡張にNutanixを有効活用していくことも検討している。 Nutanixを活用すれば、AWSなどの主要なクラウドプラットフォームをバックアップサイトとして使ったディザスタリカバリー(DR)サービスが比較的容易に展開できるはずです。これからはバックアップの効率化だけを追求するのではなく、Nutanixの機能をIaaSの拡張に活かすことも検討しています」と三島氏は語る。さらに「当社は今後数年以内にデータセンターのインフラ基盤全体をNutanixへ全面的に移行する計画です。その中でVeeamとの連携システムという最先端のソリューションをいち早く導入し、I Tインフラのバックアップの一元管理を実現したことは、お客様からの一層の信頼獲得につながると期待しています。今後もNutanixのメリットをお客様に提供する価値へと転換すべく、パブリッククラウドの活用などを含めたさまざまな可能性を追求していきたいと考えています」と 展望を述べた。