導入事例 一般財団法人 阪大微生物病研究会
ワクチン事業を支える業務サーバー群をMellanoxスイッチ+HCIで仮想統合
高信頼・高性能インフラの確立に成功
- NVIDIAネットワーキング(Mellanox)
2020.03.24
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導入前までの経緯
- 定期的なサーバー更新やデータセンターの設置費用が大きな負担となっていた
- 高性能・高信頼HCI環境をできるだけリーズナブルな費用で構築すること
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導入後期待される効果
- 各種の業務システムを仮想化基盤に集約し、インフラ環境の最適化を実現
- Mell anoxスイッチの採用により、コスト削減や省スペース化に成功
プロジェクトメンバー
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一般財団法人
阪大微生物病研究会
経営企画部
システム課
課長
佐々木 寛 氏 -
一般財団法人
阪大微生物病研究会
経営企画部
システム課
長谷川 貴也 氏 -
株式会社
富士通四国インフォテック
第二システム統括部
産業システム部
内田 知幸 氏 -
株式会社
富士通四国インフォテック
営業統括部
産業営業部
阿部 健一 氏
インフルエンザや日本脳炎、麻しん、風しんなど、様々な感染症の予防に欠かせないワクチン。その開発・製造を担うのが、阪大微生物病研究会( 以下、BI KEN財団) である。大阪大学の大学発ベンチャーとして発足した同財団では、80年以上にわたりワクチンの開発・製造・供給に取り組んできた。2017年には、ワクチンの製造を受け持つ株式会社BIKENを田辺三菱製薬との合弁で設立。BI KENグループが一体となり、ワクチンの安定供給や公衆衛生へのさらなる貢献を目指している。
その同財団において、今回実施されたのが、グループの業務を支えるサーバー基盤の再構築プロジェクトである。BIKEN財団 経営企画部 システム課 課長 佐々木 寛氏は、取り組みの背景を「以前は各種の業務システムがグループ内の拠点に分散していたため、2015年頃よりデータセンターへの統合・集約化を進めてきました。これにより管理効率は高められたものの、各システムが物理環境で構築されていたことから次第にラックスペースが増大。設置費用などのコストも増加する傾向にありました」と振り返る。
また、経営企画部 システム課 長谷川 貴也氏も「それに加えて、大量のサーバー群の更新作業も大きな課題になっていました。各サーバーは五月雨式に導入されてきたため、毎年何らかの機器が更新時期を迎えるような状況でした」と続ける。
こうした課題を解消すべく、同財団ではインフラ環境の抜本的な見直しに着手。そのための手段として、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(以下、HCI)製品の導入に踏み切った。「数年前から小規模な仮想化基盤を運用し経験も積んでいましたので、そろそろ本番システムを全面仮想化しても問題ないと判断しました。今回の統合対象となるサーバーは物理/仮想合わせて約70台に上りますので、これらをすべて統合すれば、相当なシンプル化が図れます。さらに、その基盤にHCIを用いれば、今後のハードウェアの更新作業も格段に楽になります」と佐々木氏は語る。
加えて、もう一つ見逃せないのが、HCI 用スイッチにネットワールドが提供するMellanoxTechnologies社製10G/25G Ethernetスイッチ「Mell anox SN2010」を採用した点だ。
今回のプロジェクトを担当した富士通四国インフォテックの内田 知幸氏は、提案の理由を「製品品質の高さに加えて、コストパフォーマンスに優れている点を高く評価しました。HCI導入案件では、スイッチの高額さがネックとなって頓挫してしまうケースも少なくない。その点、Mellanoxスイッチなら、候補に挙がった他社製品の約1/4~1/5程度のコストで高性能・高信頼ネットワークを実現できます」と語る。
また、SN2010はハーフサイズのため、1Uのラックスペースに2台並べて設置することが可能。課題となっていたデータセンター費用削減にも役立てることができる。
とはいえ、同財団としてもMellanox導入は今回が初めてなだけに、最初は懸念もあったとのこと。長谷川氏は「ちょうどネットワールドの展示会を訪問する機会がありましたので、メーカーの担当者にもいろいろ製品に関する質問を行いました。すると、スイッチをMellanoxに入れ替えただけで、約1.7倍も性能が向上した例もあるとのこと。ノード間で大量の通信が行われるHCIにはまさにピッタリだと感じましたので、導入を決めました」と語る。
Mellanox+HCIによる新仮想化基盤は、2019年より本番稼働を開始。現在は、旧仮想化基盤上で稼働していた仮想サーバーや、物理サーバー群の移行が順次進められているところである。「今後は会計などの基幹業務サーバーに加えて、メールサーバーやファイルサーバー、グループウェアサーバーなど、グループの業務を支える重要なシステム群をどんどん集約していきます。インフラ内のトラフィックもかなり増えることが予想されますが、Mellanoxスイッチの低遅延性とHCIの拡張性を活かすことで、十分に対応できると考えています」と佐々木氏は語る。
また、長谷川氏も「既に約10システムの移行を済ませていますが、Mellanoxスイッチの実力を体感できる場面も多いですね。ネットワークの性能が高いので、移行作業をスピーディに進められます。最初は不安もありましたが、Mellanoxスイッチを選んで良かったというのが率直な印象です」と続ける。
インフラ構築作業も非常にスムーズだったとのこと。内田氏は「とにかく扱いやすい製品なので、ネットワーク周りで苦労するようなことは一切ありませんでした。主要なスイッチ製品を使った経験のあるエンジニアなら、特にサポートなどを受けなくとも簡単に利用できるのでは」と語る。また、同社の阿部 健一氏も「当社としても、今回のプロジェクトには大きな手応えを感じています。スイッチが課題となってHCI導入に二の足を踏んでいるお客様には、積極的にMellanox製品をご提案していきたいですね」と語る。
加えて、ネットワールドの支援も大きく貢献。長谷川氏は「HCIの導入自体も初めてなので、ネットワールドのハンズオンセミナーに参加して知識やノウハウを習得しました。これは非常に有意義で、その後のモチベーション向上にもつながりました」とにこやかに語る。
新仮想化基盤への移行が完了した暁には、データセンターのラックスペースを半分以下に削減するなど、大幅な省スペース化とコスト削減が実現する見込みだ。またMellanoxスイッチは消費電力も少ないため、インフラの省エネ化にも大きな効果が期待されている。もちろん従来のように、煩雑なサーバー更新作業に悩まされる必要もなくなる。
「今後移行作業が本格化すると、効率化・自動化の仕組みも必要になると考えています。その点Mellanoxには、無償で利用できる自動化ツール『Mellanox NEO』が用意されていますので、こうしたものの活用も図っていきたい」と佐々木氏は語る。
なお、今回の成果を高く評価した同財団では、他のシステムへもMellanoxスイッチの適用を拡大。長谷川氏は「『SAPS/4HANA』向けの環境を構築中なのですが、こちらもインメモリDBのためかなり負荷が重い。スイッチがボトルネックになっては困るので、Mellanoxを使うよう依頼しました」と語る。人々の健康な暮らしに貢献するBI KENグループ。その活動の一端を、Mellanox+HCIが支え続けていくのである。
パートナー概要
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本社:香川県高松市番町1-10-2
URL:https://www.fujitsu.com/jp/fsit/