導入事例 東京大学
共通サービス用仮想化基盤のバックアップにルーブリックを活用
運用管理負担の大幅軽減に成功
- Rubrik
2019.08.26
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東京大学 工学系研究科・工学部
学科・専攻: 16学科・18専攻
業 種: 文教
大学概要:日本を代表する国立大学として、次世代を担う人材の育成や先端研究に取り組んでいる
U R L: (工学系研究科) https://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/
(工学部)https://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/
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導入前までの経緯
- 仮想化基盤のバックアップ作業が煩雑で運用管理に多くの手間を費やしていた
- 仮想サーバーのサービス復旧をスピーディに行うことができない
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導入後期待される効果
- ルーブリックによるシンプルなバックアップ環境を実現し運用工数を大幅に削減
- ライブマウント機能の活用で、サービス復旧時間を数時間から数分に短縮
プロジェクトメンバー
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国立大学法人
東京大学
工学系研究科
情報システム室
特任専門員
三木 修次 氏 -
国立大学法人
東京大学
工学系研究科
情報システム室
技術専門職員
近藤 元秀 氏
業務へのI CT活用を推進していくうえで、大きな課題となるのがインフラ運用の効率化だ。近年では、ICT投資の6~7割が既存システムの保守・運用に費やされていると言われている。こうした状況を改善することは、コスト削減を進めていくうえでも、新たな取り組みに挑戦するうえでも、非常に重要なポイントだ。
日本を代表する先進教育機関である東京大学 工学系研究科・工学部でも、運用管理の省力化・効率化に向けた取り組みを推進中だ。工学系研究科 情報システム室 特任専門員の三木 修次氏は「情報システム部門である我々のところには、学内のユーザーから様々な要望が寄せられます。これらにいち早く応えるべく、運用に掛かる手間や人手をできるだけ省くよう努めています」と語る。
そうした中で今回実施されたのが、バックアップ運用改善に向けた取り組みだ。工学系研究科・工学部では、情報系ポータルサーバーやDNS/ RADI USサーバーなどの各種業務サーバーを仮想化基盤に集約し、インフラ環境の最適化を図っている。しかしそのバックアップについては、様々な面で課題を抱えていたという。
従来環境における具体的な課題点について、工学系研究科 情報システム室 技術専門職員の近藤 元秀氏は「一点目は、バックアップシステムそのものの管理が煩雑であった点です。以前はエージェント型のバックアップツールを利用していましたが、バックアップ対象サーバーへのインストールが必要なうえに、導入後もサーバーOSのメンテナンスやツールのアップデート作業などを定期的に実施しなくてはなりませんでした。旧ツールではバージョンアップも頻繁に行われていたため、その対応にかなりの工数を要していました」と説明する。
加えて、バックアップジョブに度々失敗する、夜間バックアップが長時間化し翌朝の業務開始に影響が生じるなど、日々のバックアップ処理にも様々な問題があったとのこと。三木氏は「ストレージの容量が不足してきた際も、NASを買い足すなどして対応する必要がありました。そこに掛かるコストや管理工数も馬鹿になりません。またサービス復旧にも時間が掛かっていましたので、何とかこのような問題を解消できないかと考えていました」と語る。
そうした時に出会ったのが、ネットワールドが提供するバックアップアプライアンス「Rubrik(ルーブリック)」である。ルーブリックは、急速に普及が進んでいるハイパーコンバージド・インフラストラクチャー製品と同様のアーキテクチャーを採用しており、高信頼なバックアップ環境を単体でシンプルに実現できる。さらに、「Brik」と呼ばれる筐体を追加していくことで、性能・容量を無制限にスケールアウトすることも可能だ。
「バックアップ対象のシステム/データも年々増加していますので、グローバル圧縮・重複排除機能を備えている点もポイントが高かった。技術的にも非常に面白い製品だと感じましたね」と三木氏。また、近藤氏も「アプライアンス型の製品であれば、これまでのようにバックアップシステムの保守に煩わされる心配もなくなります。仮想化基盤のインフラ関係は基本的に私が1人で担当していますので、運用負荷が軽減できることは大変魅力的でした」と続ける。
これらの製品特長を高く評価した情報システム室では、早速ルーブリックの採用を決断。3ノードモデルの「Rubrik r 6304」を導入し、2018 年11月より本番稼働を開始している。仮想化基盤上では100台を超える仮想サーバーが稼働しているが、現在は業務上の重要性が高いサーバーを中心に約50台のバックアップを行っている。
課題であったバックアップ運用改善についても、大きな効果が見られている。「従来環境では、個々のサーバーごとにジョブを作り込む必要がありました。しかしルーブリックならポリシーベースのバックアップ運用が行えるため、あらかじめ作成したポリシーをバックアップ対象サーバーに割り当てていくだけで済みます。専用GUIも分かりやすく直感的に操作できますので、かなり効率的に作業が行えるようになりました」と近藤氏は語る。
所定のバックアップ・ウィンドウ内で処理を完了させる必要があることから、以前は日々のジョブの組み合わせを工夫するなどして運用していた。しかし、ルーブリックによる高速バックアップが行えるようになったことで、こうした手間も不要になっている。
もう一つ見逃せないのが、サービス復旧が格段に迅速化された点だ。ルーブリックにはライブマウント機能が備わっており、取得したバックアップイメージをそのままルーブリック上にマウントして立ち上げることができる。「学内にはノンストップでサービスを提供しているサーバーも存在しており、万一障害が発生した場合にはできるだけ早く復旧することが求められます。ライブマウント機能は、こうした場合に非常に役立ちますね。現在では、これまで数時間掛かっていたサービス復旧までの時間を、わずか数分に短縮することができます」と近藤氏は語る。
バックアップリソースの有効活用という面でもルーブリックの効果は大きい。旧環境では、毎週フルバックアップを取得して数ヶ月分保存していたが、現在ではフルバックアップ+差分データだけで済む。さらに、圧縮・重複排除機能も利用できるため、大量の仮想サーバー群を効率よくバックアップすることが可能だ。これによりIT投資効率も大きく向上した。バックアップ対象のシステム/データは今後もますます増加するため、ルーブリックの拡張も既に検討中とのこと。これにより、現在の約2倍の容量が保存可能となる予定だ。
「ルーブリックを導入したことで、バックアップのことを全く気に掛けずに済むようになりました。運用を担当する立場としては、空いた時間をより付加価値の高い業務にシフトできるようになったことが非常にありがたいですね」と近藤氏は語る。
ルーブリックの導入を支援したネットワールドにも、高い評価が寄せられている。「ネットワールドには仮想化基盤用ストレージの導入も行ってもらいましたので、その技術力やサポート力には全幅の信頼を置いています。今回も安心して任せられました」と三木氏はにこやかに語る。
情報システム室では、今後も運用管理の効率化・省力化をさらに進めていくとのこと。今回導入されたルーブリックも、その取り組みの一端をしっかりと担っていく。