CHAPTER 1今のデータセンターに求められているEthernet Storage Fabricとは?

旧来のITシステムのボトルネックは、データをため込むストレージドライブでした。そこで当時のストレージシステムでは、多くのディスクストレージを搭載し、並列にアクセスさせることで性能の向上を図っていました。
また、ストレージシステムは性能面だけではなく、データ保全の観点からもクリティカルな要素であり、システムごとに構成されることが一般的でした。

しかし、記録媒体がハードディスク(HDD)からデータの読み書きが高速な半導体ストレージ(SSD)に変わるにつれて、このバランスも大きく変化していきます。
プロセッサが進化して多くのコアを搭載し、かつ、SSDの容量や寿命が問題にならなくなったことで、サーバーをストレージとして使うことができるソフトウェア定義型ストレージ(Software Defined Storage(SDS)が登場しました。
SDS技術の登場により、一つのサーバーにおいてコンピュートとストレージの両方のサービスを実現することができるようになりました。これがHyper Converged Infrastructure(HCI)です。

従来のサイロ化された複雑なシステム
HCI時代のシンプルなシステム One Point HDD → SDD 時代はHDDからSSDへスピードアップ!! Good CPU メモリ 仮想サーバー 共有ストレージ HCIによる仮想環境 テックスペースも削減 Ethernetスイッチ サーバー

HCIで、コンピュートとストレージが統合されたことにより、従来別々に構成していたさまざまな種類のネットワークが、少数のネットワークインフラに統合されます。
例えば、遅延の許されない仮想マシンのサービス用ネットワーク、速度が求められるストレージ用ネットワーク、可用性を向上させるバックグラウンドのネットワーク、管理ネットワーク...等々です。

現在のデータセンターにはこれら全ての機能を提供でき、さらにスケールアウトに対応した自動化運用を実現する単一のシンプルなネットワーク、Ethernet Storage Fabric(ESF)が求められているのです。

サービス用トラフィック VM用LANのトラフィック ストレージトラフィック 可用性トラフィック 管理用トラフィック LAN/SANに必要な機能を持つLAN Ethernet Storage Fabric 帯域性能 拡張性(スケールアウト) 低遅延性能 自動化 複数のトラフィックを単一のネットワークに統合
エンジニアからひと言

従来、サーバーとストレージはFibreChannel(FC)スイッチで接続していました。
FCスイッチは各ベンダーごとに開発され、広帯域性、低遅延性、I/O冗長化など、Ethernetスイッチでは対応できないストレージデータ通信に特化した機能を実装しましたが、これがサイロ化されたシステム環境の乱立に繋がりました。
ところが昨今のEthernetスイッチは10Gbps以上の広帯域性が実装され、低遅延性能も向上し、ストレージデータ通信にも対応できる性能を獲得しました。
ストレージがIPベースのEthernetネットワークに接続できるようになったことで、マルチベンダー接続が可能となり、サイロ化されたシステムの打開に繋がりました。
Ethernetスイッチの性能向上は、Hyper Converged Infrastructure(HCI)という技術を生み、ストレージのマルチベンダー接続はもちろん、ローカルエリアネットワークをストレージと共通のEthernet基盤に実装する、シンプルなシステムを構築する流れが生まれています。

広帯域 低遅延 自動化