導入事例 キンドリルジャパン株式会社
流通業の基幹システムに Pure Storage FlashArray//X を採用
サブスクリプション型モデル Evergreen//One による最適なインフラ調達を実現
- Pure Storage
2024.04.24
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所在地:東京都港区六本木6丁目10-1
U R L:https://www.kyndryl.com/jp/ja
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導入前までの経緯
- ストレージが保守切れを迎える度に、多額の費用を掛けて更新する必要がある
- ニーズにピッタリの容量の製品がなかなか存在せず、余剰な投資を強いられている
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導入後期待される効果
- 買い切り型からサブスク型モデルへの転換で、定期的な老朽更新作業が不要に
- 実際に必要な分だけの性能・容量を、月額料金で利用できる環境を実現
プロジェクトメンバー
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キンドリルジャパン株式会社
製造流通事業本部
西日本第五サービス
樽木 大介 氏
IBMのインフラストラクチャーサービス部門から独立し、2021年に設立されたキンドリル。その日本法人として、ITインフラサービスやコンサルティングサービス、業種別ソリューションを展開しているのが、キンドリルジャパンだ。
同社 製造流通事業本部 西日本第五サービス樽木 大介氏は「私の所属する部門では、主に西日本の製造/流通業のお客様に対してサービスを提供しています。高品質なインフラを提供するだけでなく、導入後の運用保守までワンストップでご支援できるのが当社の強み。お客様と一体となって課題解決に取り組んでいますので、二十年以上にわたりお付き合いさせて頂いている企業も少なくありません」と語る。
そうした活動の一環として今回取り組んだのが、ある流通業の基幹システム向けストレージ基盤の刷新プロジェクトだ。この企業では、2017年から2018年に掛けて導入したストレージの更新時期が到来し、ハードウェアのリプレースが急務となっていた。
「とはいえ、単なる保守切れ対応のためにリスクを伴う移行作業や停止のための業務調整、多額の費用をご負担いただくのは、お客様にとって前向きの投資とならないことから、安心して長く使用し続けられるストレージ基盤をご提案したいと考えました」と樽木氏は続ける。
新ストレージ選定にあたっての要件として、まず高い処理能力を備えていることが挙げられる。「今回のシステムではOracle DBをメインで動かしていますが、Storage IO負荷および応答時間に関する要求が非常に高いことから、ハイエンドのフラッシュストレージを使用しています。新ストレージにもこれと同等以上の性能を有することが求められました」と樽木氏は語る。
一方、高性能ストレージは導入/保守費用もそれなりに高額になってしまうため、これをどう抑えるかも重要な課題になった。「これまではIBMのハードウェアを中心に取り扱ってきましたが、独立後はPure Storage社を含め多くのベンダーとグローバルでパートナーシップ締結し、フラットな目線でこれまでより豊富な製品から顧客の要件を満たせるストレージの選定に着手しました」と樽木氏は語る。
その結果、白羽の矢が立ったのが、ネットワールドが提供する高性能オールフラッシュ・ストレージ「Pure Storage FlashArray//X(以下、Pure Storage)」である。「Pure Storageの評判は以前から耳にしており、最新コントローラーへの無償交換や無停止アップグレードが行える『Evergreen//forever』のようなプログラムが用意されている点も評価していました」と樽木氏は語る。
さらに、今回の大きな決め手となったのが、従量課金型のサブスクリプションモデル「Evergreen//One」の存在だ。このプログラムではハードウェアの購入は一切不要。Pure Storage側で用意した環境の中から、使った容量分だけを月額料金で支払うことができる。性能要求やデータ量に応じて最適な機種が提供されるため、ハードウェアを購入する際の複雑な物理設計や、数年ごとの定期的なリプレース作業からも解放される。「ストレージ導入にまつわる課題として、ニーズに合った容量の製品があるとは限らない点が挙げられます。100TBで十分なのに、200TBからしか購入できないというケースも珍しくありません。また、同じ製品を長く使い続けると、いざ増設したい時にパーツがもう無いといった事態も起き得ますが、Evergreen//Oneであればこうした点を気にする必要も全くなくなります」と樽木氏は続ける。
これらのメリットを高く評価した同社では、Evergreen//Oneの採用を決定。2023年6月に搬入・設置し、7月より移行作業を開始、同年12月に全ての移行作業を完了した。
導入後の効果としては、まず処理能力の向上が挙げられる。オンライン/バッチのいずれにおいても、応答時間は旧フラッシュストレージと同等もしくは半分以下に改善。特に、災害対策用に実施しているテープバックアップについては、従来の約20時間から約14時間へと大幅な改善を図れた。また、基幹システムに欠かせない信頼性・可用性についても、不安を感じるような場面は全く無いとのこと。導入以来ノートラブルで稼働を継続している。「サポートのレスポンスが非常に早い点にも驚かされましたね。一度、サーバー側のFCカードに障害が発生したのですが、こちらで対応を進めている最中に、Pure Storageのサポートからも連絡が来ました。聞けば、ファイバチャネルのパケットエラーを検知したため、サーバー側のインターフェースかSANスイッチが壊れていないか知らせてくれたとのこと。こうした体制があれば、我々も安心してシステムを運用できます」と樽木氏は続ける。
加えて見逃せないのが、コスト/財務面でのメリットだ。買い切り型の調達のように、多額の初期費用を確保しなくても済む上に、面倒な固定資産管理作業も不要。ハードウェアの老朽更新に伴う諸々の費用などもカットすることができる。「同様のサブスク型サービスの中には、圧縮・重複排除後の容量をベースにするものがあり、その方が一見安く見えるケースもありますが、圧縮・重複排除の効果を予測することは難しく、想定通りに効かなければ追加投資が必要になり、逆に効き過ぎれば過剰な投資だと評価されてしまいます。こうしたことを考慮すると、圧縮・重複排除に関係なくサーバーから書き込んだ容量を課金ベースとするEvergreen//Oneの方が、結局シンプルで分かりやすいと思います」と樽木氏は語る。
一般的にデータセンターを移転する場合は、物理的に機器を移設する方法と、新データセンター側にもう一セット機器を置いてレプリケーションする方法がある。前者は長時間のシステム停止が必要で、また、後者はコストが高くなる。その点、Evergreen//Oneにはリロケーションプログラムが用意されており、移行期間中だけ安価なコストで2セット利用してレプリケーションを行うことができる。実際の移行作業も新旧の環境を切り替えるだけなので安全性も高い。「将来、設置場所の移動などが発生した場合においても、リロケーションプログラムという選択肢があることは、Evergreen//Oneの強みですね。」と樽木氏は語る。
今後は、更新時期を迎える他のストレージも順次Evergreen//Oneへと移行。また、災害対策用のバックアップ先も、テープからオブジェクトストレージへ変更する考えだ。「ネットワールドは当社がPure Storageを提供する上で欠かせないパートナーですし、オブジェクトストレージなどの他のソリューションも幅広く取り扱っています。ぜひ今後も、お客様への最適なソリューション提供を支援してもらいたいですね」と樽木氏は述べた。