導入事例 千曲市教育委員会
市内小中学校向け統合ファイルサーバーにNetApp FAS2720Aを採用
校務や授業を快適に行える環境を実現
- NetApp
2023.08.21
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導入前までの経緯
- 小中学校向けファイルサーバーがWindowsベースで 煩雑な運用管理が必要
- GIGAスクール構想に伴い、動画・画像などの大容量 データへの対応が急務に
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導入後期待される効果
- NetApp社製ストレージで運用効率化とバックアップ 時間短縮を実現
- 容量を従来の2倍に増強。データ削減機能によりデータ容量を約30%削減、高効率化を実現
プロジェクトメンバー
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千曲市教育委員会
教育総務課 学校教育係
主査
髙松 まつみ 氏 -
エプソン販売株式会社
松本支店 長野直販営業課
システム技術 係長
中島 晃司 氏
長野県北部、北信地方の千曲川中流域に位置する千曲市は、約6万人の人口を有する都市である。周囲を囲む緑の山々と、千曲川の清流に育まれた豊かな自然環境が同市の大きな魅力だ。市内の「あんずの里」は、早春には「一目(ひとめ)十万本」と言われるほどのあんずの花が咲き誇り、多くの観光客で賑わう。また、稲穂がなびく秋には棚田に美しく名月が上ることから「月の都」とも呼ばれている。
その同市の教育施策を支えているのが、千曲市教育委員会である。教育総務課 学校教育係 主査髙松 まつみ氏は「現在は第三次千曲市総合計画において策定された基本目標『千曲っ子が元気に育つ、生涯学びのまち』の下、『一人ひとりの個性を尊重し、生きる力を育む環境をつくる』という達成目標を掲げて、子供たちみんなが楽しく学べる学校を作るための環境整備を進めています」と語る。
近年では学校教育においても、ICTの利用が重要なテーマとなっている。そこで同教育委員会でも、文部科学省が主導する「GI GAスクール構想」に則り、各種デジタル機器やプロジェクターなどの設備を導入。児童・生徒の学びの質向上や学習の効率化に役立てるなど、これからの時代に対応した教育に取り組んでいる。
そうした活動の一環として実施されたのが、市内全小中学校を対象とした統合ファイルサーバーの導入だ。髙松氏は「かつては校務データなどを各学校で管理しており、障害発生時の対応に時間が掛かるなど様々な課題を抱えていました。そこで、これらのデータを市役所内に設置したファイルサーバーで集中管理する方法に変更。フォルダリダイレクトや移動プロファイルなどの技術も活用することで、現場の教職員の利便性向上や負担軽減を図ると同時に、情報漏えい対策の強化や過剰な量のデータ利用などを防ぐこととしました」と振り返る。
ただ、初期のファイルサーバーはWindowsサーバー2台+SANストレージによる冗長構成を組んでいたため、改善すべき点もあった。たとえば、サーバー/ストレージ/Switchと管理対象が増えてしまい、運用管理にも多くの工数を要していたほか、バックアップに何日も掛かっていた。そこで同教育委員会では、これらの点を解消すべく2016年に新たなストレージの導入に着手。ここで選ばれたのが、ネットワールドが提供するNetApp社製ストレージ「NetApp FAS2520A」である。本案件を担当したエプソン販売の中島 晃司氏は、提案の理由を「NetAppのOSである『NetAppONTAP』(以下、ONTAP) が提供するCI FSサービスは、Windows端末との相性も良く安定運用が望めます。また、『Snapshot』機能による高速オンラインバックアップや、筐体間レプリケーション機能『SnapMirror』によるデータ保護機能を利用することにより、バックアップに掛かる時間とファイルサーバーの運用工数を下げることができると考えました。
また、機器の信頼性も高く評価しています。NetAppのFASシリーズは一筐体内でのデュアルコントローラー構成となっており、電源・ファンモジュールも冗長化されています。万が一のコントローラー障害時も、自動フェイルオーバー機能でシームレスなデータアクセスができます。これまでのSANストレージを利用したクラスタ構成よりもシンプルな構成で同等以上の耐障害性を実現できたことはありがたいですね。当社でも、県内の自治体様や学校様で数多くの導入実績があることも提案の決め手となりました。」と語る。この取り組みは大きな成果を上げ、バックアップ時間を劇的に短縮できたほか、導入以来障害などのトラブルも皆無。教員の校務や子供たちの学びをしっかりと下支えすることができた。
さらに2022年、同教育委員会では本ファイルサーバーの再構築を実施した。髙松氏はその狙いを「旧システムの運用終了を間近に控えた2019年に、GI GAスクール構想が開始されました。これにより、動画や画像などの大容量データを取り扱う機会が急激に増加。ストレージの容量も次第に逼迫してきました。このような点を改善し、より快適なファイルサーバー環境を実現することが、今回の更新の目的です」と説明する。
具体的な製品には、過去6年間にわたる稼働実績と優れたパフォーマンスを評価して、同じくNetApp社製の「NetApp FAS2720A」を2台採用。1台をメイン用、1台をバックアップ用とし、両筐体間でSnapMirrorによるレプリケーションを行っている点は従来と同じだ。ただし容量については、従来の2倍に増やした。リプレースのタイミングで、全学校に不要ファイルの削除を呼びかけると共に、校務データ/フォルダリダイレクトのサイズを一覧表に抽出。これを元に、大容量ファイルの削除依頼を個別の学校・教員に対して実施した。日ごろから教員との密接なコミュケーションを心掛けていることもあり、スムーズに進められたとのことだ。
現在、新統合ファイルサーバーでは、教職員の校務データや児童・生徒に提示するデジタル教材、パソコン教室用データなどのデータを管理。市内13校の小中学校に勤務する約450名の教職員と約4,400名の児童・生徒が、論理的に分割された環境内で毎日これらのデータを活用している。「ONTAPは専用OSであり、特にNAS用途で動作が非常に軽快です。移動プロファイルへのアクセスが集中する朝夕の時間帯においても、レスポンスが落ちるようなことはありません」と中島氏。髙松氏は「Snapshotは朝夕一回ずつのタイミングで取得。90日分のデータが保持されていますので、誤消去などのトラブルがあった場合も問題なく対応できます」と語る。
GIGAスクール構想により、教育環境のデジタル化が進んだことによって、データの大容量化が加速したが、この点でもNetApp製品が大きく貢献している。ONTAPには、データ重複排除・圧縮機能が標準機能として実装されている。4,400名の生徒が利用する教育コンテンツには、同一データ(同一ブロック=ストレージが管理するデータ単位)も多かったが、NetAppの導入により約30%のデータ容量削減を実現、実容量よりも多いデータ格納が可能になった。
今回の取り組みを支援したネットワールドへの評価も高い。中島氏は「ネットワールドはNet App製品にも精通していますので、提案時から導入後までいろいろ相談させてもらえて助かっています。ぜひ今後とも同様の支援をお願いしたい」と語る。
千曲市教育委員会でも、これからの時代に向けた教育環境整備をさらに進めていく構えだ。髙松氏は「教育現場におけるICT活用の取り組みは、今後もどんどん拡がっていくことと考えられます。私たちもそうした動きにいち早く対応し、子供たちの学びや教職員の働き方改革に寄与していきたい」と抱負を述べた。
パートナー概要
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エプソン販売株式会社
本 社:東京都新宿区新宿4-1-6
設 立:1983年5月20日
URL:https://www.epson.co.jp/