導入事例 社会医療法人 三愛会 大分三愛メディカルセンター
Dell VxRail + Dell PowerProtect DP4400で医療情報インフラ全体の最適化とサイバーレジリエンスの強化を実現
- Dell Technologies(Dell EMC)
2023.02.10
-
導入前までの経緯
- 業務データの一元的な利活用が難しくインフラの信頼性に改善の余地がある
- バックアップ環境と運用手順が業務システムごとにサイロ化している
-
導入後期待される効果
- グループ全体のシステム群を高可用性かつ集約率の高いインフラに統合し、一元管理化に成功
- 統合バックアップシステムを導入しセキュリティ強化と運用簡素化を実現
プロジェクトメンバー
-
社会医療法人 三愛会
大分三愛メディカルセンター
理事長
三島 康典 氏 -
社会医療法人 三愛会
大分三愛メディカルセンター
経営管理部 情報システム課
課長
笠木 英行 氏 -
社会医療法人三愛会
大分三愛メディカルセンター
経営管理部 情報システム課
副主任
香田 大輝 氏 -
株式会社オーイーシー
DXプロデュース事業部
DXビジネスプロデュース部
次長
羽田 貞智 氏 -
株式会社オーイーシー
公共ソリューション開発事業部
インフラビジネス推進部
クラウド推進グループ ネットワーク・エキスパート
谷﨑 裕明 氏
少子高齢化が急速に進む日本社会。地域医療の支え手である医療機関の役割は、これまでにも増して重いものとなりつつある。「ひとに笑顔を、地域に“愛”を」をキャッチコピーとする大分三愛メディカルセンターも、そうした重責を担う医療機関の一つである。
同病院の理事長を務める三島 康典氏は「救急部門と専門診療部門の2つを柱とする当院は、急性期医療に対応した体制を整えたER型急性期病院です。法人設立から半世紀以上、前身となる診療所の開設からは70年以上にわたり、大分市南部エリアや周辺自治体の地域医療を支えてきました。現在ではグループの社会福祉法人とも連携し、地域の方々の健やかな暮らしに貢献する取り組みを展開。今後は、次世代を担う若手医療人材の育成にも力を入れていきたいと考えています」と語る。
今回、同病院では、日々の医療活動や病院経営を支える医療情報インフラの再構築を実施した。情報システム課 課長 笠木 英行氏は、その背景を「最適な医療やケアを提供する上では、各種の業務データが一元的に利活用できる環境が必要です。しかし従来は、各部門システムや拠点システムが個別に構築されており、同じ患者様でも病院と介護施設ではIDが異なるといった状況が生じていました」と振り返る。
さらに、インフラの信頼性についても、懸念を抱えていたとのこと。情報システム課 副主任 香田 大輝氏は「旧環境は『VMware vSphere』による仮想化基盤と物理サーバーの混在環境でしたが、前者の挙動が非常に不安定で、しばしば原因不明のトラブルが発生。その都度すぐに対処してはいましたが、対応時間が長引くケースもありました」と明かす。
加えて、もう一つの課題がセキュリティの強化だ。三島氏は「昨今では日本においても、医療機関を狙ったサイバー攻撃が頻発しています。もしランサムウェアなどの被害に遭ってしまったら、診療にも病院の経営にも甚大な影響が及んでしまいます」と危機感を示す。これまでもセキュリティ強化に努めていたものの、最後の拠り所となるバックアップは各業務システムごとにサイロ化しており、病院全体として統制された形にはなっていなかったという。
同病院では、これらの課題を網羅的に解消できるソリューションの導入に着手。その結果、新たに導入されたのが、ネットワールドが提供するデル・テクノロジーズ製ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(以下、HCI)製品「Dell VxRail Sシリーズ」(以下、VxRail)、並びにデータ保護コンバージドアプライアンス「Dell PowerProtectDP4400」(以下、DP4400)である。
今回のプロジェクトを担当したオーイーシーの羽田 貞智氏は、提案のポイントを「VxRailはVMware環境との親和性が高く、旧仮想化基盤からの移行が容易です。ハード/ソフト/VMwareを含めたワンストップサポートや一括バージョンアップにも対応しています。また、当社でも数多くのノウハウと導入実績がありますので、安心してご活用頂けると考えました」と語る。
構築作業も非常にスムーズだったとのこと。「今回は第二次電子カルテシステムの開発もありましたので、アプリケーションベンダーにできるだけ早く仮想サーバーを引き渡す必要がありました。その点、VxRail は初期セットアップ済みの状態でネットワールドから提供されましたので、スピーディに作業を進められました」と語るのは、同社の谷﨑 裕明氏。また、羽田氏も「営業面でも技術面でも、ネットワールドの手厚い支援があることは非常に心強かったですね」と続ける。
この結果、新医療情報インフラは2021年5月より無事本番稼働を開始。多くの改善成果を上げることに成功している。「まず大きいのが、信頼性・可用性の向上です。導入以来ノートラブルで稼働を続けていますので、以前のように障害の不安を抱えながら出勤することもなくなりました」と笠木氏は満足げに語る。また、物理サーバーやグループ社会福祉法人の介護系システムも同一基盤内に統合し、インフラ全体のシンプル化・最適化を実現。導入後のノード増設作業も無停止で行えたとのことだ。
「全ての環境を単一のコンソールで統合管理できますので、運用管理の手間や工数も格段に軽減。設置スペースも2ラックから約1/2ラックへと減少し、省電力化も図れました」と香田氏は語る。その一方で、パフォーマンスは「旧環境の約5倍程度」(笠木氏)にアップしているとのこと。仮想化基盤内に収容されるサーバー数は以前の46台から77台に増加しているが、性能問題はまったく生じていないという。
さらにDP4400も、バックアップ改善に寄与。以前は各システムごとにバックアップ環境が用意されていただけでなく、バックアップ対象ファイルが細かく指定されるケースもあった。「これらをDP4400に統合したことで、基盤内の仮想サーバー群を一括でバックアップすることが可能に。必要なファイルだけをリストアすることもできますので、運用も個別対応をやめて大幅に簡素化しました」と谷﨑氏は語る。
また、万一セキュリティインシデントが発生した際にも、重要なシステム/データを迅速に復旧できる環境が実現。羽田氏は「現状でも、サイバー攻撃に遭った際のレジリエンス(回復力)が相当高まったことは間違いありません。さらにデル・テクノロジーズでは、『Dell PowerProtectCyber Recovery』(以下、CRS)というサイバー復旧ソリューションも提供しています。その最大の特徴は、データ転送時のみネットワークをオンライン化、それ以外はオフライン状態にする『エアギャップ』接続を確立できる点にあります。現在の環境にバックアップデータ隔離用のDP4400 を追加することで、同仕組みを用いたデータの二重保護ができるようになります」と語る。
同病院でも、CRSには高い関心を寄せているとのこと。笠木氏は「今後は、侵入されたことを前提とした対策も重要になります。もしランサムウェアで一ヶ月診療が止まったら、その被害は導入費用の何倍にも膨れ上がってしまいます。地域医療や病院の経営を守る上でも、セキュリティへの投資を惜しむべきではありませんので、CRSの活用も前向きに検討していきたい」と語る。
さらに同病院では、今後も様々な施策を展開していく考えだ。「まず一つは、看護師の負担軽減に向けた取り組みです。効率的に働ける環境を整備できれば、人材獲得面での効果も大きい。その他にも、情報共有基盤の整備やID統合、RPA、スマートフォンを活用したサービスなど幅広いテーマに取り組み、『病院のDX』を加速させていきたい」と笠木氏は展望を語る。また三島氏も、「地域医療をリードする先進的な医療機関が我々の目指す姿。今後も患者様や職員が利便性を実感できるよう、新たなチャレンジに挑んでいきたい」と抱負を述べた。
パートナー概要
-
-
株式会社 オーイーシー
本 社:大分県大分市東春日町17-57 ソフトパーク内
URL:https://www.oec.co.jp/