導入事例 十六電算デジタルサービス株式会社
社内仮想化基盤にまつわる課題をNutanix Cloud Platform で解消
インフラコストの大幅削減も実現
- Nutanix
2022.07.27
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所在地:岐阜県岐阜市神田町7丁目12番地
URL:https://www.16densan.co.jp/
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導入前までの経緯
- 社内仮想化基盤のリソースが不足しており、信頼性・ 可用性にも不安が残る
- 3Tier構成のためインフラの運用管理に多くの時間と工数を要する
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導入後期待される効果
- 「Nutanix Cloud Platform」で高信頼かつスケーラブルなインフラを実現
- 専用管理ツール「Prism」による一元管理を実現
プロジェクトメンバー
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十六電算デジタルサービス株式会社
DX事業部 部長
和田 英治 氏 -
十六電算デジタルサービス株式会社
DX事業部 部付部長
青木 宏恭 氏
岐阜県・岐阜市に本社を置く十六電算デジタルサービスは、十六フィナンシャルグループと電算システムホールディングスの合弁により、2022年3月1日に新たなスタートを切ったIT企業である。地銀と上場IT企業の合弁による銀行業高度化等会社は、全国でも同社が初めて。そのミッションは、デジタル化/DX推進に取り組む企業や行政を強力に支援し、地域課題解決への貢献を果たしていく点にある。
十六電算デジタルサービスDX事業部部長和田英治氏は「現在は、年間約655万件(2021年度)の取り扱い実績を誇る集金代行サービス『JCSネット』などの代金回収ソリューションに加え、AI・RPAや情報セキュリティ、ネットワークなどの先進デジタルソリューションを展開しています。また、自社でのペーパーレス化ノウハウを活かしたテレワーク導入支援なども行っています」と説明する。
今回実施されたのが、グループウェアやメールサーバーなどの情報系システムを収容する仮想化基盤の再構築プロジェクトだ。十六電算デジタルサービスDX事業部部付部長青木宏恭氏は、取り組みの背景を「元々この仮想化基盤は、それまで個別に稼働していた物理サーバー群を統合・集約化するために構築したものです。しかし、長年使い続けるうちに、次第にインフラのリソースが逼迫。新しい仮想サーバーを追加するのも困難になっていました」と振り返る。
また、信頼性・可用性の面でも、懸念を感じていたとのこと。旧環境はサーバーをクラスター化することで冗長性を確保しており、運用中にトラブルに見舞われるようなこともなかった。しかし、構築を外部業者に委託したことから、実際に障害が発生した際に本当にきちんと切り替わるのか、一抹の不安を抱えていたという。
さらにもう一つの課題が、インフラ運用管理の煩雑さだ。十六電算デジタルサービスDX事業部井貝佑美氏は「旧仮想化基盤は3Tier構成で構築されていたため、各ハードウェアの監視や管理を別々に行う必要がありました。また、機器間の接続に多くのケーブルを利用する関係上、ラック背面も乱雑になりがちでした」と語る。
旧仮想化基盤が更新時期を迎えたことを機に、同社ではこれらの課題を抜本的に解決することを決断。「新インフラの導入にあたっては、柔軟なスケーラビリティと高い信頼性・可用性を、シンプルな構成で実現できることを要件として掲げました」と青木氏は語る。また和田氏も「以前のように構築を外部委託したのでは、次回更新の際に同じような問題に直面しかねません。そこで今回は、自社で導入・構築作業を行い、経験や知見を社内に残すことも重要なポイントとしました」と続ける。
こうしたニーズにマッチするものとして、新たに採用されたのが、ネットワールドが提供するハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(以下、HCI)製品「NutanixCloudPlatform」(以下、Nutanix)であった。
製品選定にあたっては、他社HCIとの比較・検討も実施している。その上でNutanixを選んだ理由を、青木氏は「仮想化基盤では、社内業務に欠かせないシステムも多数動いているだけに、旧環境からの移行を安全・確実に行わなくてはなりません。その点、Nutanixには、既存環境からのスムーズなシステム移行を支援するツール『NutanixMove』が用意されています。さらに、日常的な運用管理作業についても、専用管理ツールの『Prism』で一元的に行えます。これらの点を評価し、Nutanixの採用を決めました」と説明する。
実際の構築作業も円滑に実施できたとのこと。青木氏は「NutanixMoveには、移行した仮想サーバーが正常に起動するか検証する機能も備わっていますので、安心して作業を進められました。旧環境からの切り替え時間も5分程度で、ユーザーの業務に影響が生じるようなこともありませんでした」と語る。
インフラの初期設定やラッキングなどの作業については、ネットワールドの支援もフル活用。「ネットワーク設定などで悩んだ点もあったのですが、ネットワールドのアドバイスのおかげで無事解決できました」と井貝氏は語る。この結果、作業開始からわずか2ヶ月弱というスピード構築を実現。2021年10月より無事本稼働を開始している。ちなみに和田氏、Nutanixの採用を聞きつけた知人のエンジニアに「HCI導入はかなり難易度が高いので苦労するぞ」と注意されていたのだという。「しかし実際には、こちらが拍子抜けするくらい、何の問題もなくスムーズに導入できました。今となっては、あの指摘は一体何だったのかと思いますね」と和田氏は苦笑する。
インフラを刷新したことによるメリットも非常に大きい。旧環境で抱えていたリソース不足や信頼性・可用性の問題は完全に解消。大量のケーブルを取り廻す必要もなくなった上に、ラックスペースも約30%削減することができた。
さらに、運用管理負担も大幅に軽減。井貝氏は「Prismは知りたい情報を直感的に把握できますので、以前と比べて運用が大変楽になりました。各種機能の使い方などについても、ドキュメントを読めば簡単に理解できます。今後はファイルサーバー機能を実現する『NutanixFiles』なども使っていきたい」と満足げに語る。
ファームウェアやソフトウェアのアップデート作業についても、以前はそれぞれの機器のバージョンや整合性などを確認しなくてはならず、多くの労力を要していた。「これも現在では、Prismからボタン一つで最新バージョンにアップデートできます。当社でも実施してみましたが、各ノードが自動的に順次バージョンアップされていくので感心しましたね。もし、何らかのトラブルが生じたとしても、元のバージョンにロールバックできるので安心です」と青木氏は語る。
加えて、見逃せないのが、大幅なコスト削減も実現できた点だ。今回からハイパーバイザーをライセンスフリーの「NutanixAHV」に変更したことなどにより、構築費用を前回更新時の約半分程度に収めることができた。
将来的には、今回の自社実践で培った経験を、顧客企業へのソリューションにも役立てていく考えだ。和田氏は「地域のDXに貢献することが当社の使命です。そこでは、今回得らえたノウハウが活きる場面も多いはず。ネットワールドとのパートナーシップも最大限に活用し、お客様の課題を解決していきたい」と展望を述べた。