導入事例 社会医療法人 真美会 大阪旭こども病院
NetApp FAS2750Aを活用し医療情報システム基盤を再構築
仮想基盤ストレージを集約し運用管理の一元化を実現
- NetApp
2022.05.11
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導入前までの経緯
- 共用ストレージが1台構成のため障害発生時に大きな 影響が生じるおそれがある
- 標的型ランサムウェア攻撃などへの備えをより強固な ものにしたい
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導入後期待される効果
- 筐体間ミラーリング機能の活用で障害時のダウンタイ ムを極小化することに成功
- 読み取り専用のSnapshotを14世代分取得しバックアップ の改ざん被害を防止
プロジェクトメンバー
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社会医療法人 真美会
大阪旭こども病院
理事長
木野 稔 氏 -
社会医療法人 真美会
大阪旭こども病院
情報管理室長
武田 浩幸 氏 -
リコージャパン株式会社
関西MA事業部
SP営業部
ヘルスケア2グループ
小田 奈津美 氏
大阪市東北部に位置する旭区の一角に、近代的な設備を備えた医療機関がある。日本初の民間小児病院として開設された大阪旭こども病院である。
同病院の理事長を務める木野稔氏は「1960年代当時は小児医療への関心が薄く、専門病院も国内に皆無でした。こうした状況を変えるべく、創始者である中野博光先生が独力で開設されたのが当病院です。以来半世紀以上にわたり、『こどものためなら何でもしよう』という創業の精神の下、小児医療・小児救急医療の充実を実践してきました」と語る。
大人向けの医療と異なり、小児医療では心理面や発達面、環境面への配慮も欠かせない。そこで同病院では、様々な職種のスタッフが一丸となって患者であるこどもや家族のケアに務めている。さらに2021年には、旭区役所、旭区社会福祉協議会と共同で子育て支援に関する包括連携協定を締結。木野氏は「伝統ある『中野こども病院』という名称を改めたのも、これからの時代には地域との関わりがより重要になるからです。当病院としても、引き続き『こどものために』を最優先として、地域の小児医療・小児救急医療への貢献を果たしていきたい」と語る。
このように、社会的に大きな役割を担う同病院だが、院内の情報化にも積極的に取り組んでいる。大阪旭こども病院情報管理室長武田浩幸氏は「2011年に電子カルテシステムの導入を行ったほか、従来は個別の物理サーバーで稼働していた各種業務システムの仮想化も実施。また、診療データを集計・分析して臨床研究に役立てるためのDWHシステムや患者様向けWi-Fiサービスなど、様々なシステムを整備しています」と説明する。さらに今後は、入院患者向けの貸し出しタブレット端末なども提供予定とのことだ。
こうした中、今回実施されたのが、院内仮想化基盤の再構築プロジェクトだ。前述の通り、同病院では仮想化の取り組みを既に一度実施している。しかし、すべての業務システムを集約するには至っておらず、一部で個別運用を強いられるなど改善すべき点もあった。そこで今回の再構築では、仮想化の対象を拡大してインフラ環境のシンプル化を追求。さらに、もう一つの大きなポイントが、信頼性・可用性のさらなる向上である。
「元々旧環境でも、ストレージ筐体内での冗長化を行うことでトラブルに備えてきました。しかし、万一ストレージ本体そのものが大規模な障害を起こしてしまったら、その上で稼働する業務システムがすべて止まってしまいます。そこでストレージの信頼性・可用性をさらに引き上げ、ダウンタイムの極小化を図りたいと考えました」と武田氏は語る。
同病院のITパートナーであるリコージャパンでは、こうした要請に応えるべく、新たな次期仮想化基盤を提案。その重要な立役者となったのが、ネットワールドが提供するネットアップ社製ストレージ「NetAppFAS2750A」であった。
リコージャパンの小田奈津美氏は、NetAppFAS2750Aを選んだ理由を「まず一つ目は、市場での導入実績が豊富で信頼のおけるストレージ製品である点です。当社でも多くのお客様にNetAppFAS2750Aをご提供していますが、いずれも安定稼働を継続しています。止まることが許されない医療情報システムにおいて、この点は大きなアドバンテージとなると考えました」と説明する。
さらに、機能面でポイントとなったのが、ネットアップの筐体間ミラーリング機能「SnapMirror」である。「2台のNetAppFAS2750Aを用意してミラーリングを行っておけば、万一片側のハードウェアに障害が発生した場合も問題なく稼働を継続できます。以前の環境のように、ストレージ本体が単一障害点になってしまう心配もありません」と小田氏は続ける。
加えて、世界中で猛威を振るっている標的型ランサムウェア攻撃への対策を強化できる点も大きな決め手となった。近年では医療機関を狙った攻撃も多く、国内でも被害報告が相次いでいる。以前はデータバックアップが有力な対抗手段とされてきたが、これもCIFS等で接続されたバックアップストレージが感染してしまうなど、万全の対策とは言い切れなくなっている。
「この点についても、SnapMirrorは読み取り専用のSnapshotデータを利用しますので、後から書き換えられたりすることがありません。またストレージOSのONTAP自体もマルウェアに感染しませんので、セキュリティ面でも安心してご利用頂けます」と小田氏は語る。同病院でも、こうしたリコージャパンの提案を高く評価。武田氏は「病院にとって患者様のデータは何よりも重要ですので、信頼性・可用性だけでなく、セキュリティにまで目配りをしてもらえたのは大変良かった」と満足げに語る。
こうして導入されたNetAppFAS2750Aによる新仮想化基盤は、2021年11月より無事本番稼働を開始。これにより、同病院の業務にも、数多くのメリットが生まれている。「中でも一番大きいのは、最大の懸案であったストレージにまつわる不安を解消できた点です。万一本番系に障害が発生した際にも、待機系のNetAppFAS2750Aを用いて迅速にシステムを復旧できます。また、電子カルテをはじめ検査、看護管理、栄養管理、勤怠管理、DWHなど、ほとんどのシステムを集約できましたので、運用管理も一元的に行えるようになりました」と武田氏はにこやかに語る。 ちなみに、先ごろ厚労省が公表した医療情報システムの安全管理に関するガイドラインでは、電子カルテは5世代、その他のシステムは3世代のバックアップを取得することとされている。しかし同病院では、実に14世代分ものSnapshotを取得。国の施策よりもさらに進んだ環境を実現している。 「当病院では外部データセンターでの遠隔保管も行っていますので、データ保護に関する課題はひとまず解消。バックアップ処理も非常に高速化されましたので、以前のようにジョブの組み合わせに悩んだりすることもなくなりました」と武田氏は語る。 また、NetAppFAS2750Aの圧縮・重複排除機能も大きく寄与。現在では約30%の容量を削減できており、インフラのリソースをより有効に活用できるようになったとのことだ。 「今回のプロジェクトでは、ネットワールドの技術サポートも大いに役立ちました。当社では、今後もお客様の環境改善に貢献して参りますので、引き続き同様の支援を期待しています」と語る小田氏。また武田氏も「サーバー環境の見直しなど、取り組むべきテーマはまだまだ存在します。今後もより最適な医療情報環境の実現に向け、力を尽くしていきたいですね」と展望を述べた。
パートナー概要
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リコージャパン株式会社
本 社:東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル
大阪支社:大阪府大阪市中央区本町橋1-5 本町橋タワー
U R L:https://www.ricoh.co.jp/