導入事例 ローツェ株式会社
Dell Technologiesの VxRail + PowerProtect DP4400 で情報系システム基盤をシンプル化
運用負荷軽減と確実なデータ保護を実現
- Dell Technologies(Dell EMC)
2022.06.21
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導入前までの経緯
- 小規模仮想化基盤が社内に乱立し、運用管理にも多くの工数を要している
- データ容量が年々増加しており、バックアップ/リストアが迅速に行えない
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導入後期待される効果
- HCI製品の活用により、インフラ環境のシンプル化と運用効率化を実現
- バックアップ時間を従来の約1/3に短縮。データ容量も約1/13~1/14に削減
プロジェクトメンバー
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ローツェ株式会社
IT戦略室 室長
南 勲 氏 -
ローツェ株式会社
IT戦略室
松林 宏明 氏 -
ローツェ株式会社
IT戦略室
金井 康洋 氏 -
株式会社インフォセンス
ビジネスソリューション事業部
インフラソリューション部
馬場 勇輔 氏
その同社において大きな課題となっていたのが、情報系システム基盤のリニューアルである。ローツェIT戦略室松林宏明氏は、以前の状況を「当社では、事業の成長に応じて段階的にシステムを導入してきたため、インフラ環境が複雑化していました。また以前は、Linux標準のハイパーバイザーであるKVMによる仮想化を行っていましたが、あまり多くの仮想サーバーを収容することができず、小規模な仮想化基盤が社内に乱立していました」と振り返る。幸い、障害によるトラブルなどはなかったものの、このままでは運用管理が煩雑な上に万一の際の保守性にも懸念が残る。さらに、バックアップについても、改善の必要性を強く感じていたという。「以前は内製ツールを用いて、図面やファイルサーバーのデータを個別にバックアップしていました。しかし、データ量の増大に伴って、処理が翌朝までずれ込むケースが出てきた上に、任意のデータを短時間でリストアすることも難しかった。特に当社では、製品の長期サポートを行っていますので、過去製品の図面などがすぐに戻せないのは問題です」と南氏は語る。
こうした課題を解決すべく新たに導入されたのが、ネットワールドが提供するハイパーコンバージド・インフラストラクチャー(以下、HCI)製品「DellVxRail」(以下、VxRail)である。南氏はVxRailを選んだ理由を「『VMwarevSphere』ベースのVxRailであれば、従来のLinux/KVM環境のように頻繁なバージョンアップに悩まされる心配はありません。ファームウェア等についても、事前検証済みのアップデートプログラムが一括で提供されます。加えて、耐障害性や拡張性の高さも評価しました」と語る。VxRailの拡張性に関してはノードやディスクなどの容量・パフォーマンスの増強も無停止で行えるため、ビジネスの成長に合わせて拡張できる点が特長だ。
また、バックアップシステムについては、「DellPowerProtectDP4400」(以下、DP4400)を採用。DP4400には、高効率な圧縮・重複排除機能が備わっており、バックアップデータの容量を最小限に抑えることができる。南氏は「バックアップは将来的なBCP/DRシステムへの発展も見据えて整備したいと考えました。そこで、何か良い製品はないかネットワールドに相談したところ、DP4400を勧められたのがきっかけです。ネットワールドは、製品の長所・短所や向き・不向きを隠さずフラットな目線で提案してくれますので、安心して導入できるだろうと判断しました」と明かす。
旧仮想化基盤からのシステム移行は、ITパートナーであるインフォセンスが担当した。同社の馬場勇輔氏は「安全・確実な移行を実現すべく、綿密なスケジューリングとリハーサルを実施。困難が予想されたActiveDirectoryサーバーのバージョンアップについても、中間バージョンを介した2段階移行とすることで無事実施できました。特にDP4400の導入では、ネットワールドの技術支援も大いに役立ちました」と語る。この結果、VxRailとDP4400による新情報系システム基盤は、2021年6月より本番稼働を開始している。
インフラ環境を一新したメリットも大きい。「まず一点目は、VxRailを導入したことで日常的な運用管理負荷を大幅に引き下げられた点です。分散した小規模仮想化基盤をシンプルに統合・集約化できた上に、仮想環境全体を単一のコンソールで監視・管理することもできます。さらに、DellTechnologiesのリモートサポートサービス『SecureConnectGateway(旧SecureRemoteServices)』による遠隔監視も行えますので、障害時の対応などもスピーディに行えます」と松林氏は語る。これにより、年間約900万円相当の運用管理コスト削減効果が得られたとのことだ。
また、従来利用していた複数の物理サーバーをVxRailに集約することで、ハードウェアの台数を大幅に削減。その一方で収容できる仮想サーバーの台数は2倍以上となり、検証・テスト用の環境なども自在に立てられるだけの余裕を確保することができた。「最近では、システム化の要望もどんどん増えているだけに、新たなインフラを事前に準備できておいて良かった」と南氏は語る。
加えて、DP4400もバックアップ改善に大きな効果を発揮。ローツェIT戦略室金井康洋氏は「以前はバックアップ先のストレージが複数の装置に分散しており、必要なデータがどこにあるのか探すのも一苦労でした。その点、現在では、すべてのデータをDP4400で保護できますので、一元的な運用管理が行えます」と語る。
圧縮・重複排除機能の効果も大きく、バックアップデータの容量を実データの1/13~1/14程度に削減。「DP4400には2週間分のデータを保存していますが、それでも容量的には全く問題ありませんね」と松林氏は語る。圧縮・重複排除の効果によりバックアップ時間も、以前は約18時間掛かっていた処理を約6時間にまで短縮。「インスタントリカバリー機能も備わっていますので、必要とあればその場で仮想サーバーを立ち上げることも可能です」と金井氏は語る。DP4400には、パブリッククラウドへのデータ転送を行う「CloudTier」やパブリッククラウド上での仮想サーバー起動を可能にする「CloudDR」などの機能も用意されているため、将来的なBCP/DR環境の構築も可能だ。
南氏は今後に向けた展望を「これからの情報インフラにおいては、クラウド活用も重要なテーマとなります。VxRail/DP4400のクラウド連携機能が役立つ場面も増えてくると思いますので、ネットワールドとインフォセンスの提案や支援にも引き続き期待しています」と述べた。