導入事例 株式会社ブロードバンドタワー
国産クラウドサービス「c9 Flex」のストレージ基盤にDell PowerStoreを採用
大幅な性能向上とリソース有効活用に成功
- Dell Technologies(Dell EMC)
2022.10.04
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導入前までの経緯
- クラウドサービスを支えるストレージ基盤の性能を引き上げたい
- インフラのリソース有効活用やコスト削減を図りたい
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導入後期待される効果
- 既存ストレージと比較して約1.7倍のパフォーマンス向上を実現
- 圧縮・重複排除機能の活用により、データ容量を最大 約1/18に削減
プロジェクトメンバー
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株式会社ブロードバンドタワー
技術本部 サービスマネジメントグループ
シニアディレクター
弓田 佳樹 氏 -
株式会社ブロードバンドタワー
技術本部 サービスマネジメントグループ
マネージャー
藤原 文伸 氏 -
株式会社ブロードバンドタワー
技術本部 サービスマネジメントグループ
エキスパート
寄本 剛司 氏
そうしたサービスのひとつが、自社開発の国産クラウドサービス「c9Flex(シーナインフレックス)」である。同社技術本部サービスマネジメントグループマネージャー藤原文伸氏は、同サービスの特長を「まず一点目は、従量課金なしの完全月額定額制を採用している点です。1サーバーあたり100Mbps~1Gbpsのネットワーク接続を定額でご利用頂けますので、突発的な需要増大などによるコスト面での不安を一掃できます。また、各種セキュリティソリューションもご用意しているほか、パブリッククラウドと組み合わせたハイブリッド・クラウド環境も構築頂けます」と説明する。
顧客企業のビジネスを下支えする重要なサービスだけに、同社ではc9Flexを構成するインフラの整備・拡充にも継続的に取り組んでいる。その一環として、ストレージ基盤の環境改善に着手。「元々ストレージに関しては、サービス提供開始以来定期的に入れ替えを行っています。今回も一部ストレージがリプレース時期を迎えたため、新たな製品への更新を図ることとしました」と藤原氏は話す。
サービスの中核を担うストレージであるため、製品選定にあたっては性能・信頼性を特に重視するとのこと。「また、最新ファームウェアへのアップデート等を行う際のダウンタイムを極小化できることも重要なポイントです」と藤原氏は続ける。
こうしたニーズを満たせる製品として採用されたのが、ネットワールドが提供するデル・テクノロジーズ社製スケーラブル・オールフラッシュストレージ「DellPowerStore500T」(以下、Power-Store)である。
藤原氏はその理由を「当社では以前より『DellUnity』(以下、Unity)などのデル・テクノロジーズ製ストレージを活用しており、その性能や品質を高く評価しています。今回のPowerStoreも先端ストレージ技術が投入された最新鋭ストレージですから、ぜひ使ってみたいと感じました」と振り返る。
製品選定の過程では、他社オールフラッシュストレージとの比較も行ったとのこと。同社技術本部サービスマネジメントグループエキスパート寄本剛司氏は「そこでもPowerStoreの優位性は明らかでしたね。特に大きかったのがコストパフォーマンスの高さです。他社製品が非常に高額だったのに対し、PowerStoreは価格もリーズナブル。この点も採用の決め手になりました」と語る。
今回導入されたPowerStoreは、2022年6月より本番稼働を開始。「導入に際しては、ネットワールドの構築支援サービスも活用。これによりスムーズに取り組みを進められました」と藤原氏は満足感を示す。
導入後の改善効果も非常に大きい。「まず、IOPS値が既存ストレージの約1.7倍にアップするなど、大幅な性能向上を実現。VMware環境の構築作業などもストレスなく行えるようになりました」と寄本氏は語る。また、藤原氏も「大量のバッチ処理が集中する夜間帯においても、十分な余裕を確保できています。インフラの安定性やお客様へのサービス品質をより高めていく上でも、大きな効果がありました」と続ける。
ちなみに、同ストレージ基盤ではサーバーとの接続にiSCSIを利用しているが、NVMe-oF(NVMeoverFabric)などのより高速なインターフェースで接続を行うことも可能だ。
さらに、高効率な圧縮・重複排除機能も、リソース有効活用に威力を発揮。藤原氏は「デル・テクノロジーズの『Future-Proofプログラム』では、4:1のデータ容量削減を保証していますが、当社のPowerStoreでは実に14:1~18:1もの容量削減が実現できています。既存システムと比較すると、おそらく従来の約1/5程度のスペースで済むはず。コスト削減にも大きく効いてくることと考えています」と語る。なお、Future-Proofプログラムでは、次世代コントローラー/上位コントローラーへの交換やコントローラー追加のいずれかををいつでも無償で行える「AnytimeUpgradeプログラム」も用意されている。
加えて、スケーラビリティも大きく向上。Power-Storeはスケールアップ/スケールアウトの両方に対応しており、急速なデータ容量増加やシステムの負荷増大にもスピーディに対応することができる。「ノードやディスクシェルフ単位での増設はもちろん、ディスク1本からでも柔軟に拡張できるのはありがたいですね。通常のストレージの場合、RAIDグループごとの増設となるため、複数本のドライブを同時に増設する必要がありますが、シェルフ側にその分の空きがない場合もあります。こうした際にもPowerStoreなら、わざわざ余分なシェルフを買い足したりする必要がありません」と藤原氏。既存機器の電源が100Vであるため、500Tが100V対応であることも良かったとのことだ。
また、使い勝手や運用管理性に対しても、高い評価が寄せられている。「たとえば、デル・テクノロジーズのリモートサポートサービス『SecureConnectGateway(旧称SecureRemoteServices)』の設定が簡単に行えるようになった上に、クラウドベースの運用監視ツール『CloudIQ』を用いて、ストレージ基盤内のPowerStore/Unityを一元管理することもできます」と寄本氏は語る。
このようにストレージ基盤の改善に成功した同社だが、今後は顧客向けソリューションでもPowerStoreの活用を進めていく考えだ。弓田氏は今後に向けた展望を「当社ではクラウドサービスの提供だけでなく、お客様のプライベートクラウド構築支援にも力を入れています。PowerStoreは、そのコンポーネントとしても非常に有力な選択肢となり得ます。今回の自社実践で得た経験・ノウハウも最大限に活かし、お客様のビジネスに貢献していきたいですね」と語った。