導入事例 塩尻市教育委員会
Citrix Virtual Apps + HPE Nimble Storage で
小中学校教職員の働き方改革を支える仮想デスクトップ環境を実現
- Citrix
- Hewlett Packard Enterprise
2022.05.19
-
導入前までの経緯
- 中学校教職員向け端末がファットPCであるためリモートワークが行えない
- 小学校/中学校向け仮想化基盤の統合に伴いインフラの性能強化が急務に
-
導入後期待される効果
- 市内全小中学校向け仮想デスクトップ基盤をCitrix Virtual Appsで実現
- HPE Nimble Storageによる高性能・高信頼ストレージ基盤を確立
プロジェクトメンバー
-
塩尻市教育委員会
指導主事
高橋 和幸 氏 -
エプソン販売株式会社
松本支店
技術サポート部 長野システム技術
中島 晃司 氏
長野県のほぼ中央部に位置し、中山道の宿場町として古くから栄えた塩尻市。豊かな自然と観光資源に恵まれ、名産品のぶどうを利用したワイン造りも盛んに行われている。その同市の教育政策を担っているのが、塩尻市教育委員会だ。現在は「一人ひとりの育ちに、ていねいに向き合う」の基本理念の下、「学校教育の充実」「体験・経験の充実」「きめ細かな支援による平等な学習機会の提供」「学校・家庭・地域の連携」「家庭での教育の支援」の5つの重点施策を展開している。
塩尻市教育委員会 事務局 教育総務課 学校支援係 指導主事 高橋 和幸氏は「近年では教育分野においても、デジタル技術の活用が急速に拡がっています。そこで当委員会でも、様々な形で教育現場へのICT導入を進めています」と説明する。
そうした取り組みの一環として2016年に導入されたのが、市内小学校に勤務する教職員向け仮想デスクトップ環境だ。当時はファットPCを利用していたため、端末の運用管理に多くの時間と手間を要していた。また、端末内にデータを保存できることから、マルウェア感染や情報漏えいなどのセキュリティリスクも懸念されていた。端末を仮想デスクトップ化することで、このような課題を解決するのが狙いだ。
そのための基盤として採用されたのが、ネットワールドが提供する「Citrix Virtual Apps(以下、Virtual Apps:導入当時名称はCitrix XenApp)」である。本案件を担当したエプソン販売の中島 晃司氏は「当社では周辺自治体の学校にもCitrix製品を導入しており、安定稼働を続けてきた実績があります。その運用ノウハウもありますので、塩尻市様にも自信を持ってお勧めできると考えました」と振り返る。
この取り組みは大きな成果を収め、よりセキュアで効率的な業務環境を築き上げることができた。しかし、その後同教育委員会では、新型コロナウイルスの急速な感染拡大という新たな課題に直面することとなった。「出勤を見合わせなければならない教職員も出てくる中、リモートワークをどう進めるかが大きな課題になりました。小学校は、前述の通り既に仮想デスクトップ化されていますので、自宅からでも業務を行えます。しかし、中学校はまだ従来型の環境のままだったため、こちらについても急ぎ改善する必要に迫られたのです」と高橋氏は語る。
このような状況を踏まえ、同教育委員会では中学校についても仮想デスクトップの導入を決断。小学校での実績を評価し、引き続きVirtual Appsの採用が決定した。ただし、そのインフラについては、抜本的な見直しを実施。高橋氏は「当時は中学校向け、小学校向けの仮想化基盤が別々に稼働していました。当市でもコスト削減は重要なテーマですので、今回を機に2つの基盤を統合することとしました」と語る。
新基盤ではより多くのサーバーやクライアントが稼働するだけに、高いパフォーマンスが求められる。そこで新たに導入されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の高性能ストレージ「HPE Nimble Storage H F20」(以下、NimbleStorage)だ。中島氏は製品選定の理由を「他の製品と比較して、価格と性能のバランスに優れている点が決め手となりました。特に今回採用したハイブリッドモデルは、費用を抑えつつ十分なパフォーマンスを確保できます。また、サーバーもHPE製品であるため、保守を一本化できる点も良かったですね」と語る。
今回は一刻も早くリモートワーク環境を提供する必要があったことから、まず既存の小学校向け環境に中学校のユーザーを追加。Nimble Storageをはじめとするハードウェアが揃ったタイミングで、新仮想化基盤への移行とCitrix XenApp 7.6→Citrix Virtual Apps 7 1912へのバージョンアップを実施した。さらにVirtual Appsへのセキュアなリモート接続を実現するCitrix ADCとマトリックス認証を連携させることで、セキュリティと利便性の両立も実現している。
Virtual Apps+Nimble Storageによる新仮想化基盤は、2021年9月より本番稼働を開始。これにより、小中学校教職員の業務にも大きなメリットが生まれている。
「まず一点目は、コロナ禍においても大過なく業務を継続できた点です。自宅でも学校と同じ環境で作業ができますので、先生方の校務や各種の承認・決裁業務などが滞る心配がありません。システムのレスポンスも非常に良好で、ファットPCの時代よりファイルアクセスや通信が速くなったとの声も寄せられています」と高橋氏は満足げに語る。コロナ禍で増えたWeb会議システムでのリモート会議も、Citrixの最適化機能によって快適に行えているとのことだ。
さらに、もう一つ見逃せないのが、教育現場の働き方改革に大きな弾みを付けられた点だ。小中学校教員は非常に多忙な環境に置かれており、その負担軽減は重要な社会課題となっている。その点、今回のような環境があれば、育児・介護などの事情を抱えた教職員もより自由な時間の使い方が可能になる。また、休日にちょっとした作業をしたい際なども、わざわざ学校まで出向く必要は無くなる。
加えて、インフラ最適化の面でも様々な成果が上がっている。2つの基盤を統合したことで、ラックスペースは従来の2ラックから1ラックへと半減。これに伴い、電力消費量も大きく引き下げることができた。
また、システムの安定性向上と運用効率化も実現。中島氏は「Nimble Storageには、AI/クラウド技術を用いた監視・予兆分析ツール『HPE InfoSight』が搭載されています。今回もコントローラーの障害予兆をいち早く検知してくれたため、実際にトラブルが発生する前に対応できました」と語る。
今回の取り組みを支援したネットワールドへの評価も高い。中島氏は「ネットワールドはエンジニアの技術レベルが非常に高く、構築・運用を問わず様々な場面で助けられています。ぜひ今後もこれまで同様の支援を期待しています」と続ける。
将来に向けた展望を「教育現場においては、単にICTを使うだけでなく、ICTでどのような力を身に付けられるかが大事なポイントです。我々としても、引き続き児童・生徒の学びに役立つような環境を追求していきたい」と語る高橋氏。ネットワールドとエプソン販売も、その取り組みをしっかりと支えていく。
パートナー概要
-
-
エプソン販売株式会社
本 社:東京都新宿区新宿4-1-6
設 立:1983年5月20日
資 本 金:40億円
U R L:https://www.epson.jp/