導入事例 株式会社サンドラッグ
NetApp AFF A300 オールフラッシュストレージを採用し、ストアコンピューターを全面刷新
大幅な処理能力向上とリソース有効活用を実現
- NetApp
2019.11.12
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導入前までの経緯
- ストアコンピューター用ストレージの性能・容量が限界に達していた
- インフラに余力が無く今後の事業成長を支える取り組みがタイムリーに行えない
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導入後期待される効果
- バッチ処理を2~3時間から約30分に短縮。圧縮・重複排除機能も利用可能に
- データ分析システムなどの新たなアプリケーションを余裕をもって収容出来る環境を実現
プロジェクトメンバー
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株式会社サンドラッグ
管理本部
システム企画部
執行役員 部長
林 雅人 氏 -
株式会社サンドラッグ
管理本部
システム企画部
氏原 亮 氏
ドラッグストア「サンドラッグ」「DrugTops」、調剤専門薬局「サンドラッグファーマシーズ」、ディスカウントストア「ダイレックス」など、全国に約1200店舗を展開するサンドラッググループ。同社では「すべてはお客様のためにある」の経営哲学の下、安心・信頼・便利をモットーとした店舗作りを展開中だ。
同社 管理本部システム企画部 執行役員 部長 林雅人氏は「ドラッグストア業界の成長は著しく、当社の店舗数、売上高も右肩上がりで伸び続けています。加えて、近年では、働き方改革への対応なども求められていますので、我々情シス部門としても、全社業務のIT化に力を注いでいます」と語る。
そうした取り組みを支えるシステムの一つが、店舗業務の効率化を支援する「ストアコンピューター」(以下、ストコン)だ。林氏は「当日の売上や在庫、売れ筋アイテムなどの情報を毎日集計・分析し、自動発注を行うのがストコンの主な役割。これにより、仕入れ/在庫の適正化や店舗スタッフの負担軽減を図ることができます」と説明する。
まさに、店舗運営の中核を担う重要なシステムだが、その一方で解決すべき課題も抱えていたとのこと。林氏は「かつては各店舗にそれぞれサーバーを置いていましたが、障害やトラブルが発生した際の影響が非常に大きい。このため、数年前に仮想統合を実施しましたものの、性能面ではまだまだ改善の余地がありました」と明かす。そこで今回同社では、旧環境が更新時期を迎えたことを機に、ストコン基盤の刷新に取り組むこととなった。
旧環境においては、ストレージの性能・信頼性や拡張性が大きなボトルネックとなっていた。同社管理本部システム企画部氏原亮氏は「以前はサーバーベンダー製のFC-SANストレージを利用していましたが、SAS HDDタイプの製品であったためIOPS性能が不足。また、ディスク障害などのトラブルにもしばしば悩まされていました。インフラに関しては、基本的に私ともう1人のSEで面倒を見ていますので、障害対応に時間を取られるような状況は決して望ましくありません。加えて、容量が一杯になってきた際の増設作業が容易に行えない点も課題でした」と振り返る。
特に性能面に関しては、夜間バッチ処理の時間が伸びてしまう点が大きな問題になっていった。元々、ストコンには、商品マスタや売上/在庫情報など大量のデータが蓄積されており、日次で更新や集計・分析を行っている。ただでさえ重たい処理を要求されるところに、近年のデータ増加で一段と負荷が高まっていたのだ。「夜間にメンテナンスを行いたくとも、ジョブの順番を工夫するなどしないと作業時間も十分に確保できない。このような状態を抜本的に解消するためには、ストレージの性能を飛躍的に高める必要があると考えました」と氏原氏は語る。
こうしたニーズを満たせる製品として選ばれたのが、ネットワールドが提供するNetApp社製オールフラッシュストレージ「NetApp AFF A300」(以下、A300)である。氏原氏は製品選定のポイントを「当社では、VDI基盤ではA220を採用していますが、NetApp独自の高性能ファイルシステム『WAFL』の効果で、オフィスアプリケーションが非常に高速に動作しています。これなら、ストコン用仮想化基盤でも十分な性能が期待できると感じました。さらに、インライン圧縮・重複排除機能を活用することで、ストレージリソースをより有効に利用することも可能。NetApp製品は信頼性が高く障害で困らされた経験もありませんので、ストコンにもA300を採用するのがベストだと判断しました」と語る。
システム構築面での工夫としては、サーバー基盤に自社設計のコンバージド・インフラを採用した点が挙げられる。氏原氏はその狙いを「店舗数は今後も増えることが予想されますので、将来のシステム拡張が容易に行えることも重要です。そこで、コンバージド・インフラとA300を組み合わせ、サーバー/ストレージのリソースが不足した際に、それぞれで個別に増設できるようにしました」と説明する。初期には市販のハイパーコンバージド・インフラストラクチャー製品の導入も検討したが、増設作業がノード単位になってしまう、アップデート時の作業負担が重いなどの理由から採用を見送ったとのことだ。
また、今回のプロジェクトでは、旧環境のVMware vSphereのバージョンが古く、Cross vCenter vMotionによる直接移行が行えない点も課題となっていた。「この点については、旧環境と新環境の中間にNFSマウントの領域を設け、段階的に移行を行うことでクリアしました」と氏原氏は続ける。
加えて、もう一つ注目されるのが、新環境用にあえて3台のA300を導入している点だ。氏原氏は「ストコンは24時間連続で稼働し続けていますので、コントローラー故障などによるダウンタイムは極力排除したい。そこで、もし1台に障害が発生した場合も、残り2台に処理を寄せることでサービスを継続させられるようにしました」と語る。
こうして構築されたストコン用新仮想化基盤は、2019年10月より本番稼働を開始。本格的なメリットが現れるのはまだまだこれからだが、現時点でも大きな手応えを感じているとのこと。林氏は「ネットワールドの支援も得て実施した事前検証では、これまで2~3時間掛かっていたバッチ処理を20~30分程度で終えられました。これほど性能が改善できれば業務面での効果も大きいので、各店舗への展開を急いでいきたい」と語る。
また、氏原氏も「インフラに余力が生まれれば、以前のようにジョブの順番を工夫したり、メンテナンス作業時間の確保に苦労したりすることもなくなります。ストコンに格納されているデータの中には、各店舗で共通するものも多いので、インライン圧縮・重複排除機能の効果についても大きな期待を寄せています」と続ける。
さらに、その先に見据えているのは、今後のビジネスへの貢献だ。「さらなる成長を目指す上では、ITの力を活かせる部分も多い。たとえば、現在の自動発注に加えて、データ分析によって棚割や動線の最適化を図るといったことも考えられます。こうした新しい取り組みを推進するための基盤としても、新ストコンをフル活用していきたい」と展望を語る林氏。NetAppとネットワールドも、その取り組みをしっかりと下支えしていく。