導入事例 株式会社クララオンライン
パブリッククラウドを可視化し最適化するCloudHealth®を採用
マルチクラウドの提案や運用支援に活用
- VMware
2021.03.11
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導入前までの経緯
- パブリッククラウドの販売と運用支援に事業を拡大
- 複数のパブリッククラウドに対応、マルチクラウドの提案にもつなげたい
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導入後期待される効果
- マルチクラウドによる工数増大を抑えて運用を最適化
- 運用支援の幅が広がりマルチクラウドの提案にもつなげる
プロジェクトメンバー
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株式会社
クララオンライン
ソリューション
ビジネス部
マネージャー
内田 浩史 氏 -
株式会社
クララオンライン
ビジネス
ストラテジー部
本田 哲朗 氏
株式会社クララオンラインは、第1次インターネットブーム最中の1997年に前身となる合資会社クララオンラインを創業して以来、約24年間ホスティングサービスの事業を続けている。現在ではITインフラ構築運用やコンサルティング業務にも拡大する一方、中国にも進出し、日系企業に向けたITインフラサービスも展開している。
「最近では、企業の働き方改革ということで、WSI(Work Style Innovation)ソリューションの提供を始めています」と株式会社クララオンライン ソリューションビジネス部マネージャー 内田 浩史氏は語る。
これまでクララオンラインの事業は、自社のサーバーリソースによるホスティングサービスを中心としてきた。それに対し、「数年前に次のミッションを考えて、パブリッククラウドサービスを扱い始めました」と株式会社クララオンライン ビジネスストラテジー部 本田 哲朗氏は語る。企業に向けてパブリッククラウド各社のサービスを販売するとともに、運用管理のMSPサービスなどを合わせて、100社を超える顧客に提供している。
当初から、マルチクラウドに対するニーズを予見し、パブリッククラウド各社のサービスの取り扱いを増やしていった。「クラウドサービスも特徴に合わせて使い分けるべきというマルチクラウドの概念が一般化してきました。また、われわれの立ち位置としても、特定のクラウドに特化するよりもマルチクラウドに対応したほうが優位性が出せると考えました」と本田氏は言う。
ただし、マルチクラウドには、多様化によりインフラの管理工数やコストがかかるといった課題があると本田氏は考えた。
そこでクララオンラインでは、ネットワールドが販売する「CloudHealth® by VMware」を採用。マネージドサービスとCloudHealthを合わせた「Cloud OPT」サービスを開始した。
CloudHealth®はマルチクラウド・ハイブリッドクラウドに対応するSaaS型のクラウド管理ツールである。CloudHealth®を使うことで、クラウドの利用状況やコスト、セキュリティ、パフォーマンスなどを統合管理でき、それを元にクラウド利用の最適化につなげられる。
現状で対応しているのはAWSだ。クララオンラインからAWSを契約した利用企業にすべて、CloudHealth®のアカウントを無料で提供する。そのため、利用企業にはCloudHealth®の新規コストは発生しない。
提供形態について本田氏は「お客様専用のCloudHealth®のアカウントを作って提供しています。コスト削減のレコメンド機能や、セキュリティ、ガバナンスの管理の機能などは限定せずに使えます。制限としては、お客様自身でアカウントを追加したりはできないようになっています」と説明する。
Cloud Health®を採用したポイントとしては、まず、対応するパブリッククラウドの数が多い点であった。また、ガートナーが業界を分析したマジック・クアドラントにおいて、CloudHealth®がクラウドのコスト最適化の市場で「リーダー」と評価されたので、完成度が高いものと判断した。
CloudHealth®はSaaSのため、導入自体にはそれほど苦労はなかったという。「最初から機能が揃っており、まず各機能がどのようなことができるのかといった点を検証しました」と本田氏。特に、利用企業にアカウントを付与し自由に使えるようにすることを想定していたため、アカウントの権限管理の部分については慎重に検討した。
こうして検証を始めてから、導入判断も含めて3か月ほどでリリースすることができた。各パブリッククラウドの利用料金の算出の部分では、各クラウドサービスの仕様に依存し、さまざまな条件による分岐が発生するために、つまずいた部分もあったという。ただし「ネットワールドに支援をいただいて、短期間でスムーズに接続できました」と、大きなトラブルもなくCloudHealth®に統合された。
まずはクララオンラインの既存のAWS利用者にCloud Health®の提供を開始したところだ。今後は対応パブリッククラウドサービスを増やし、ホスティングサービス利用者や新規顧客に対してもマルチクラウドのためのツールとしてCloudHealth®を提案していく。
「クララオンラインの既存のお客様のほとんどは、われわれのデータセンターのリソースを利用しています。一方で、お客様も、おそらくどこかでパブリッククラウドを使っているはずです。そうした方々に対して、これからマルチクラウドがあたりまえになっていくときに、Cloud-Health®のようなツールが必要ですと提案していきたいと思います」と本田氏は今後を語る。
本田氏はマルチクラウドのメリットとして、パブリッククラウドごとの特徴を活かす選択肢と、特定サービスへのベンダーロックインを避けること、冗長性やBCPといった広義のバックアップが可能な点を挙げる。「それをお客様に提案するのにCloud Health®が有効な手段となります」と本田氏。
実はクララオンライン自身もCloudHealth®をすでに活用している。たとえば、動かしていて使っていないリソースがパブリッククラウドにあることがCloudHealth®で分かり、無駄なコストを削減できるなどだ。また今後は、社内のサービスについてもパブリッククラウドを使い、利用ルールの整備にレポート機能などを活用したいという。
そうした社内での実績も、顧客への提案に活かしていく考えだ。「われわれはお客様の少し先を行って、コンサルティング的な提案ができるのもひとつの価値だと思っています。サービス提供のストーリーが、分厚くなったなと思います」(本田氏)
クララオンラインのパブリッククラウドサービスでは、クラウドサービスを再販売するだけでなく、運用支援なども行っている。その中で、CloudHealth®により適切な支援ができると本田氏は言う。「コストが把握できるので、支援の幅が広がると思います。死活監視やパフォーマンス監視といった監視だけですと、特定の箇所でインスタンスがオーバーサイジングになっているといったことは言えますが、こう変えるとこれだけコストが下がりますとまでは言えません。Cloud Health®によって、その説得力が増すと考えています」と本田氏は将来を見すえる。
そうしたCloud Health®の導入や機能などについて、本田氏は「AWSの利用料金の算出のところでつまずいたときに助けていただいたり、不明点にも随時教えてもらったりと、ネットワールドなしではうまくいきませんでした」と振り返る。「パブリッククラウドの登場以来、I Tインフラの世界も変化が速くなりました。新たな課題が現れていく中で、それに対するソリューションも次々と登場していきます。そうしたものを今後もご紹介いただくことに期待しています」と抱負を述べた。