導入事例 独立行政法人 国立病院機構 嬉野医療センター
地域医療支える電子カルテシステムにNutanix Enterprise Cloud OSを採用
性能向上とインフラのシンプル化に貢献
- Nutanix
2021.01.07
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導入前までの経緯
- 電子カルテのレスポンスが遅くユーザーにもストレス が生じていた
- システムが三層構成のため、障害時の原因の切り分 けなどに時間が掛かっていた
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導入後期待される効果
- 画面表示のレスポンスが向上し、快適にシステムを利用 できるようになった
- インフラ環境のシンプル化を実現。「Prism」による 一元的な運用管理も可能に
プロジェクトメンバー
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独立行政法人
国立病院機構
嬉野医療センター
中央診療部長
(放射線科)
福井 健一郎 氏 -
株式会社
ソフトウェア
・サービス
インフラ
ソリューション部
サーバー第一グループ
畑山 哲治 氏 -
ユタカ
インテグレーション
株式会社
技術統括部
ネットワーク
ソリューション部
部長
小林 克己 氏
「日本三大美肌の湯」の一つとして、全国にその名を知られる佐賀・嬉野温泉。現在建設が進められている九州新幹線・嬉野温泉駅(仮称)の目前に、最新の医療設備を備えた真新しい病院が姿を現す。佐賀県南西部医療圏における中核病院の役割を担う国立病院機構 嬉野医療センターである。2019年6月より診療を開始した新病院では、救急救命センターや手術室などの設備を大幅に拡充。高齢化時代を見据えた緩和ケア病棟なども新設されている。
また、先進ITを積極的に活用しているのも同病院の大きな特長だ。他の国立病院に先駆けて電子カルテシステムや部門システムの整備を進めてきたほか、最近ではSNSを用いた診療案内なども行っている。
嬉野医療センター 中央診療部長(放射線科)福井 健一郎氏は「病院内では、医療従事者をはじめとする様々な専門職の職員が働いています。院内のIT化を進めるにあたっては、これらのユーザーが快適に働ける環境を、過度なコストを掛けずに実現することを重視しています」と語る。
その同病院において、今回実施されたのが、電子カルテ用仮想化基盤の再構築だ。本基盤は2015年の本稼働開始以来、安定的な稼働を続けてきた。しかし変化の激しいITの世界ではその後も新たなテクノロジーが次々と登場している。そこで新病院への移転を機に、インフラをさらに進化させることを目指したのである。
新仮想化基盤の導入にあたっては、電子カルテのレスポンス向上やコスト削減、高信頼性・高可用性の確保など、様々な要件が課せられた。これらをすべて満たせるソリューションとして、新たに導入されたのが、ネットワールドが提供する「Nutanix Enterprise Cloud OS」である。Nutanix Enterprise Cloud OSは、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)を実現するNutanix独自のプラットフォームである。
優れたパフォーマンスを有するNutanix Enterprise Cloud OSであれば、電子カルテのレスポンスや信頼性を効果的に改善できる上に、大量のサーバー群をコンパクトに集約することもできる。リソース面でも十分な余裕を確保できるため、新規サーバーの追加も柔軟に行うことが可能だ。
協力会社であるユタカ インテグレーションでも、この提案を強く支持。「当社でもNutanixを社内環境で活用していますが、その実力には十分な手応えを感じています。それだけに今回も自信を持ってお勧めできると考えました」と語るのは、同社の小林 克己氏。ネットワークを含めたインフラ環境全体のシンプル化が図れ、運用管理や障害対応などの手間を軽減できるのも大きな利点だと続ける。
加えて、Nutanix Enterprise Cloud OSには、もう一つ大きなアドバンテージがあった。それは、高い性能と信頼性を兼ね備えるだけでなく、幅広いベンダーのハードウェア上で稼働させられるという点だ。同病院は佐賀県の中心地から離れた場所に立地しているため、保守対応に時間が掛かるような製品は選びにくい。その点、Nutanix Enterprise Cloud OSであれば、サポート面で安心できるベンダーのハードウェアを選ぶことができる。
こうしてNutanix E nterprise Cloud O Sの採用を決めた同病院では、早速新仮想化基盤の構築に着手。旧環境を導入した際には、機器調達なども含めほぼ一年掛かりの作業だったとのこと。しかし今回は、事前の設計作業を含めても約4ヶ月、実質的な構築期間はほぼ2ヶ月程度と、大幅にスピードアップすることができた。この結果新仮想化基盤は、2019年6月より本番稼働を開始している。
システム構築面での工夫としては、 KVMベースにNutanixが機能拡張を加えたライセンスフリーなハイパーバイザーである「Nutanix AHV」(以下、AHV)を採用している点が挙げられる。これにより導入費用を抑えることに成功。一部のサーバーについては、既存の仮想マシンイメージをそのままコンバートしてAHV上に移行しているが、その作業もスムーズに行えたとのことだ。
高い信頼性・可用性が要求される医療情報システムだけに、ソフトウェア・サービス/ユタカ インテグレーションの両社が協力して、綿密な事前検証も実施。ここでは実際の運用を想定した性能試験や、アプリケーションの動作検証などを行うことで、安定的なインフラ環境を実現している。なお、ハードウェアについては4ノード構成となっており、現在は2 6台のサーバーが集約されている。もちろん、今後の拡張についても柔軟に対応することが可能だ。今回のプロジェクトを担当したソフトウェア・サービスの畑山 哲治氏は「病院移転スケジュールがタイトな中、短時間で仮想マシン移行を行えたのは非常に良かったと感じています」と語る。
新仮想化基盤の導入メリットとしては、まずレスポンスの向上が挙げられる。「画面切り替え時間のレスポンスが向上し、ストレスなく電子カルテを活用できるようになりました。患者様と向き合う時間を増やすという面でも、こうした環境があることは重要です」と福井氏はにこやかに語る。
さらに設置スペースについても、以前の4ラックから1ラック以下へと大幅に減少。これにより、電力消費量も大幅に削減できた「省エネ化はもちろんのこと、機器台数が減ったことで非常用発電装置への負荷も下げられました。当病院のような医療施設にとっては、この効果も大きいですね」と福井氏は語る。日常的な運用管理についても、Prismで効率的に行えているとのことだ。
また、「Nutanix Enterprise Cloud OSを導入したことで、懸案であった安定的な電子カルテ基盤を実現できました。新規システムを柔軟に追加できることに加えて、次回のマイグレーションもより容易になることと期待しています」と語る福井氏。地域医療に貢献する同病院の活動を、今後もNutanix Enterprise Cloud OSがしっかりと下支えしていくのである。
パートナー概要
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株式会社ソフトウェア・サービス
本 社:大阪市淀川区西宮原2-6-1
U R L:https://www.softs.co.jp/
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ユタカ インテグレーション株式会社
本 社:大阪市城東区古市1-4-23
U R L:https://www.yutaka-net.co.jp/