導入事例 東邦化成株式会社
社内仮想化基盤用ストレージにNetApp FAS2750Aを採用
インフラ最適化と運用改善に成功
- NetApp
2021.12.02
-
導入前までの経緯
- DRサイトへのデータ転送が予期せぬ時間帯で始まり業務にも影響が生じていた
- 仮想化基盤/ファイルサーバーの領域が固定されており自由に拡張できない
-
導入後期待される効果
- 任意のタイミングでのスナップショット取得/レプリ ケーションを実現でき業務影響が解消
- FlexVol機能の活用でストレージプールからの柔軟な領域 割り当てが可能に
プロジェクトメンバー
-
東邦化成株式会社
管理本部
IT推進グループ IT推進チーム
大道 学 氏 -
東邦化成株式会社
管理本部
IT推進グループ IT推進チーム
小西 洋平 氏 -
リコージャパン株式会社
ICT事業本部 ICT技術本部
関西第二ソリューション部
サーバーグループ
平田 英樹 氏 -
リコージャパン株式会社
ICT事業本部 ICT技術本部
関西第二ソリューション部
クラウド構築グループ
松本 雅広 氏
高い耐熱性、耐薬品性、耐候性と優れた機能特性を有し、家庭用品や土木建築、自動車、半導体、航空宇宙など、幅広い産業分野で利用されるフッ素樹脂。そのエキスパートとして、多彩なフッ素ソリューションを提供しているのが東邦化成である。
東邦化成 管理本部 IT推進グループ IT推進チーム 大道 学氏は「当社の事業領域は、機能樹脂、並びに半導体MEMS洗浄装置の2つに大別できます。前者ではフッ素樹脂素材や加工品、シール材『DUPRA』などの製品を製造しているほか、フッ素樹脂コーティングなども手掛けています。また後者では、顧客のプロセスに合わせた最適な装置をご提供しています」と語る。
ビジネスの成長を後押しすべく、同社ではITインフラの環境改善も積極的に推進している。その一環として、2016年に実施されたのが、各種業務サーバーの仮想統合プロジェクトだ。東邦化成 管理本部 IT推進グループ IT推進チーム 小西 洋平氏は「当時は個別の物理サーバーでシステムを構築しており、年を追うごとに台数も増加していました。この結果、サーバーラックにも入りきらなくなってきたため、仮想化による解決を図りたいと考えたのです」と振り返る。
この取り組みは大きな成果を上げ、インフラの最適化を進めることができた。しかし、長年運用を続けるうちに、新たな課題も顕在化してきたとのこと。そこで今回、同社では、この社内仮想化基盤のリニューアルに取り掛かった。
今回の再構築プロジェクトにおいて、最も大きな課題となっていたのがストレージの環境改善だ。小西氏は「当社ではBCP強化の観点から、仮想化基盤のスナップショットを取得した上でDR(災害対策)サイトへのレプリケーションを行っています。ところが旧環境で導入していたストレージは、スナップショットの静止点をある一定の時間間隔でしか取ることができず、日中の業務時間中に突然スナップショット取得/レプリケーションのプロセスが走り出すことがありました。これにより、ユーザーの業務に影響が生じるケースがあったのです」と明かす。
仮想化基盤内では、設計業務に欠かせないCADシステムなども動いている。いきなりシステムの反応が止まってしまうような事態は、決して望ましいものではない。同社でも、ネットワーク機器の機能でレプリケーションの帯域を絞るなどの対応を行っていたが、これも抜本的な解決とは言えなかった。
また、これに加えて、旧ストレージでは、仮想化基盤向け/ファイルサーバー向けの領域がそれぞれ固定されており、状況に応じてリソースを柔軟に融通できない点も課題となっていた。 同社では、このような問題をクリアすべく、新たなストレージ製品の導入に着手。ここで、ITソリューションベンダーのリコージャパンから提案されたのが、ネットワールドが提供するネットアップ社製ストレージ「NetApp FAS2750A」である。
リコージャパンの平田 英樹氏は、提案のポイントを「まず一点目は、最大の懸案であったDR対策である東京支社へのレプリケーション処理(スナップミラー)を任意の時間で取得できる機能を備えていた点です。旧ストレージの後継モデルにも同種の機能はありましたが、ネットアップの方がコスト面でより優位でした。また、筐体サイズがコンパクトでラックスペースを減らせる、ファイルサーバーとしても利用可能なユニファイドストレージであるなどの点も高く評価しました」と説明する。
実際の導入作業も、非常にスムーズだったとのこと。リコージャパンの松本 雅広氏は「今回は仮想サーバーの数やデータ量が多かったため、東邦化成様とも相談しながら綿密な移行計画を立てました。事前テストなども徹底的に行った結果、大きなトラブルもなく無事プロジェクトを完遂できました」と語る。この結果、NetApp FAS2750Aによる新仮想化基盤は、2021年3月より全面本稼働を開始している。
これにより従来の課題は完全に解消。小西氏は「現在ではネットアップの遠隔レプリケーション機能『SnapMi rror』を利用し、終業後の夜間にデータを転送しています。以前のように、ユーザーの業務に影響が生じることもなくなりました」と語る。
加えて、インフラの柔軟性も大きく向上。ストレージの全体容量を旧環境の1.5倍に拡大したため、サーバーやデータ量の増加にも余裕で対応できるようになった。さらに、ここで注目されるのが、ネットアップの「FlexVol」機能も有効に活用している点だ。この機能を用いれば、単一のストレージプールからシステムに必要なボリュームを簡単に割り当てることができる。今回もあらかじめ未使用領域を確保しておくことで、仮想化基盤/ファイルサーバーのどちらの容量が不足した場合も、スピーディに拡張が行えるようにしている。
誤って削除してしまったファイルの復旧なども、格段に容易に行えるようになったとのこと。以前は多くの時間と工数を費やしてリストアを行う必要があったが、現在では7世代分のスナップショットを取得しているため、必要なファイルをGUI 操作だけで速やかに元に戻すことが可能だ。 「ストレージのパフォーマンスも大幅に向上し、重たいファイルなども快適に利用できるようになりました。元々、性能面での不満はそれほど感じていなかったのですが、実際に使ってみるとはっきり体感できるくらいの違いがありました」と大道氏は語る。
圧縮・重複排除機能のメリットも大きく、約30~35%の容量を削減できているとのこと。しかもこれほど数多くの成果を上げていながら、コストは逆に10%ほど下がったという。「インフラ環境のさらなる進化が今回のテーマでしたが、その狙いは十分達成できたと感じています」と大道氏はにこやかに語る。
今回のプロジェクトを支援したネットワールドにも、高い評価が寄せられている。リコージャパンの平田氏は「当社では、お客様にとって最適な提案を行いたいと考えていますので、数多くの製品/ソリューションに精通するネットワールドの支援は大変心強い。今後も両社のパートナーシップを深めると同時に、東邦化成様に対しても、現在の業務担当領域に捉われずより幅広い視点でご提案を行っていければと思います」と語る。
東邦化成としても、今回導入したインフラをビジネスの成長に役立てていく考えだ。「これまでもWeb会議/リモートワークの支援など、様々な取り組みを進めてきましたが、クラウドの活用やAIを用いたデータ分析など、取り組むべき課題はまだまだ数多く存在します。我々情報システム部門としても、こうした最新技術をいち早くキャッチアップし、現場の業務効率化やDXに貢献していきたいと思います」と小西氏は抱負を述べた。
パートナー概要
-
-
本 社:東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル
大阪支社:大阪府大阪市中央区本町橋1-5 本町橋タワー
U R L:https://www.ricoh.co.jp/