導入事例 学校法人 札幌学院大学
教育研究活動を支えるファイルサーバーをNetApp AFF C190でリニューアル使用 頻度の低いデータはクラウドに自動階層化し、コスト削減
- NetApp
2021.05.25
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導入前までの経緯
- オールフラッシュ・ストレージの採用でログイン時間を1/7以下に短縮
- 容量削減機能により学生向け8GB/教員向け10GBと、ユーザー領域の大幅な拡大に成功
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導入後期待される効果
- マルチクラウドによる工数増大を抑えて運用を最適化
- 運用支援の幅が広がりマルチクラウドの提案にもつなげる
プロジェクトメンバー
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札幌学院大学
情報処理課
電子計算機センター
原田 寛之 氏 -
ネットワンシステムズ 株式会社
東日本第1事業本部
第3営業部
営業第2チーム
山西 祐一 氏
北海道・江別市に本部を置く札幌学院大学は、「自律」「人権」「共生」「協働」を理念として掲げる文系総合大学である。戦後間もない1946年に札幌文化専門学院として創設されて以来、地域の社会や産業に貢献する人材の育成に取り組んできた。さらに2021年4月には、従来の経済学部/経営学部を経済経営学部として再編。2つ目のキャンパスとなる「新札幌キャンパス」も新たに開設し、より一層の発展を遂げようとしている。 近年では、大学の教育・研究活動においても、ICTの利活用が欠かせなくなっている。そこで同大学でも、学内情報基盤の整備・拡充を積極的に推進。そうした取り組みの一環として今回実施されたのが、学生や教員が利用するファイルサーバーの環境改善である札幌学院大学情報処理課電子計算機センター原田寛之氏は「学生がどの端末からでも自分の環境を利用できるよう、本学では個人のファイルなどをファイルサーバー上に置く移動プロファイル方式を採用しています。しかし、ユーザーデータの容量が増加したことで、Windowsのログインに長い時間が掛かるなどの問題が生じていました。この点については、ユーザーからも不満の声が挙がっていましたので、もっと高速なストレージ製品に入れ替える必要があると考えました」と振り返る。
ファイルサーバーの選定にあたっては、まずネットアップのストレージOS「ONTAP」を搭載した製品であることが重要な要件となった。原田氏はこの点について「本学では、これまでも長年にわたりネットアップストレージをファイルサーバーに利用しています。その間に深刻なトラブルは一度も経験しておらず、信頼性の高さには全幅の信頼を置いています。また今回は、新札幌キャンパス向けのインフラ整備なども並行して進める必要がありましたので、実績あるONTAP製品を選ぶことで負担を減らしたいと考えました」と説明する。
さらに、その他にも、大幅な性能向上が期待できるオールフラッシュ・ストレージであること、MacOS/Windowsの両環境でファイル共有が行えること、クラウド上へのバックアップが行えること、学生一人当たり8GB/教員一人当たり10Gの領域を確保することなど、様々な点が要件として掲げられた。
これらを満たせる製品として選ばれたのが、ネットワールドが提供するネットアップ社製オールフラッシュ・ストレージ「NetApp AFF C190」(以下、AFF C190)である。今回の案件を担当したネットワンシステムズの山西祐一氏は、提案のポイントを「クラウドへのバックアップを考えた場合には、パブリッククラウド向けのONTAP製品である『Cloud Volumes ONTAP』(以下、CVO)を利用する方法もあります。しかし、お客様の運用状況を踏まえると、AFF C190とクラウドを用いた自動階層化機能『FabricPool』を組み合わせた方がよりコストを抑えられると考えました」と語る。
同大学でもこの提案内容を高く評価。原田氏は「他社提案には、同じAFFシリーズの上位モデル+CVOの構成を推すものもありました。しかし、要件が満たせるのであれば、コストは低いに越したことはありません。本学にとっても非常に良い提案でしたね」と語る
こうして導入された新ファイルサーバーは、2020年10月より本番稼働を開始。具体的な製品としては、前述のAFF C190がプライマリ/バックアップ用としてそれぞれ1台ずつ導入されている。プライマリストレージに保存されたデータは、筐体間ミラーリング機能「SnapMirror」を利用して、バックアップ用AFFC190への日次バックアップを実施。さらに、あまり利用されなくなったデータについては、FabricPoolを用いてAWS S3への転送を行っている。
「現在は約2TB分のデータがAWS S3に転送されていますが、AFFC 190の新規クラスタには、10TB分の容量ライセンス費用が無償でバンドルされるため※、バックアップデータが増えてもコストが嵩んでいく心配はありません。また、クラウドとの連携を行うことで、万一キャンパスが被災するようなことがあった際にも、確実にデータを保護できるようになりました」と原田氏は語る。
スナップショット機能も大いに役立っているとのこと。原田氏は「教員や学生が誤って自分のデータを消してしまうようなケースもありますが、速やかに復旧できますので助かっていますね。基本的には直近のデータがあれば間に合うことがほとんどですが、様々な事態に対応できるよう、7世代分のスナップショットを保存しています」と語る。
AFF C190による性能改善効果も非常に大きい。原田氏は「以前はログインが終わるまでに約5分程度の時間を要していましたが、現在では約40秒にまで短縮されています。これだけ短時間で処理が完了すれば、先生方もより効率的に授業を進められます」と語る。
加えて、もう一つ大きいのが、ユーザー領域を大幅に増やせた点だ。「旧環境では、学生向けの領域を1GBしか提供できなかったため、動画編集などを行うとすぐに一杯になっていました。しかし、今回から大幅に容量を増やせましたので、大容量データを用いた研究・教育活動も格段に行いやすくなりました」と原田氏は語る。
ちなみに同大学の学生数は約3300名、教員数は約100名に上るが、この人数に一人当たりのデータ容量を掛け合わせると27TBをオーバーしてしまう。しかし、圧縮・重複排除やデータコンパクションなどの機能を活用することで、容量を約1/15に削減。これにより約16TBの実効容量でも問題なく運用が行えている。今回の取り組みを支援したネットワールドへの評価も高い。山西氏は「提案の構成など、迅速・丁寧にご協力頂き大変感謝しています。保守フェーズも安心してお願いできています」と語る。
こうしてファイルサーバーの課題を無事解決した同大学だが、今後もより最適な情報環境を目指していく考えだ。原田氏は今後の展望を「今回のコロナ禍では、教育現場も大きな変革を強いられました。今まで当たり前でなかったことがどんどん当たり前になる時代ですので、我々としてもニューノーマル時代に即したインフラを築いていきたい」と述べた。
※現在は、AFF C190の無償プログラムを終了しています。