導入事例 株式会社サンジゲン
3DCGアニメーション制作用ストレージをDell EMC lsilonで全面刷新
性能・容量不足の解消と運用効率化に成功
- Dell Technologies(Dell EMC)
2019.11.07
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導入前までの経緯
- 作品データの増加により、ストレージの性能・容量が限界に達していた
- 性能問題やトラブルが発生した際の原因究明などがタイムリーに行えない
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導入後期待される効果
- 高いパフォーマンスと柔軟な拡張性を備えた高信頼ストレージ基盤を確立
- 監視・分析ツール「InsightIQ」を活用し、運用管理の大幅な効率化を実現
プロジェクトメンバー
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株式会社サンジゲン
システム・開発部
部長
金田 剛久 氏 -
株式会社サンジゲン
システム・開発部
システムチーフ
中村 公栄 氏 -
株式会社Too
デジタルメディアシステム部
営業1課 2係
小沼 育民 氏
東京都・杉並区に本社を置くサンジゲンは、3DCGアニメーションを専門に手がけるアニメーション制作会社である。2006年の創業以来、数多くの人気作品の制作に参画。現在では全国 5ヶ所にスタジオを展開するなど、日本アニメ業界のリーディング・カンパニーとして躍進を続け ている。
同社 システム・開発部 部長 金田 剛久氏は 「当社ならではの特色として、全国どのスタジオ でも同じ内容の仕事を行っている点が挙げられます。こうした体制を敷くことで、全国の有能な アーティストを積極的に登用できるようにしています」と語る。
また、最先端の映像作品を創り上げるために、制作環境の整備・拡充も意欲的に推進。ただし、 そこには解決すべき課題もあったという。同社システム・開発部 システム チーフ 中村 公栄氏は 「特に問題になっていたのが、作品データを保存するためのストレージです。一作品あたりのデータ容量は年々増加しており、直近の作品でも旧作と比較して約2倍に増えています。3DCGの容量が増えると、後工程のデータも比例して増えるので、これにどう対応するかが大きな課題となっていました」と語る。
このような課題を解消すべく、同社では制作業務を支える新たなストレージの導入に着手。これまで同社では各業務ごとに異なるストレージを利用していたが、今回ターゲットとなったのは、アーティストが作成した3DCGマスターデータの保存や、各種のアニメーション素材を合成する撮影業務などに用いられていたストレージである。
「旧環境ではWindowsベースのファイルサーバーでシステムを構成していましたが、拡張などを行う際の対応が非常に面倒でした。性能を上げるにもシングルコントローラーである点がボトルネックになりますし、管理対象の台数が増えれば運用管理負担も増えてしまいます。さらに、スナップショットを取るとパフォーマンスが顕著に劣化するといった問題も抱えていました」と中村氏は明かす。
そこで採用されたのが、ネットワールドが提供するDell EMC社製スケールアウトNAS「Dell EMC Isilon」(以下、Isilon)である。Isilonはコントローラーとストレージを一体化したノードを追加していくことで、性能と容量をリニアにスケールアウトさせることができる。また、最大1PBのデータをワンボリュームとして利用できるため、大容量の3DCGデータも快適に活用することが可能だ。
「IsilonはCG/映像業界での採用実績も非常に豊富なので、我々も以前から導入の機会を伺っていました。特に今回は、社内のストレージ統合を進めたいという構想もありましたので、Isilonを選ぶのがいいだろうと考えました。実際に製品デモも見ましたが、ディスクをどんどん抜いていってもシステムが全く落ちないので驚きましたね。大事な作品データを保存するストレージですから、こうした耐障害性の高さも非常に重要です」と続ける。
また、中村氏も「候補に挙がった他社製品と比較して、同じ性能を1/4以下のスペースで実現できる点も大きな決め手になりました。現在、制作用のシステム群をデータセンターへ移設する検討を進めているのですが、その際のコスト削減にも役立ちます」と語る
具体的な製品としては、高パフォーマンスモデルの「Dell EMC Isilon H400」×4ノードを採用。2019年5月より、無事本番稼働を開始している。「導入作業も非常にスムーズで、旧環境からのデータ移行も含め、苦労するような場面はほとんどありませんでした。さらに、もう一つ大きいのが、次回の更新作業がさらに楽になるという点です。Isilonは新規ノードの追加と旧ノードの撤去を行うだけで、無停止でマイグレーションが行えます。制作業務に影響を及ぼすことなくストレージ更新が行えるのは大きなメリットですね」と中村氏は語る。
Isilonの多彩な機能も、インフラ環境の最適化に大きく貢献。金田氏は「CG制作では、一度作成したデータを撮影や編集など複数の業務で利用するため、同一のデータがいろいろなところに存在します。このため、重複排除機能の効果が非常に大きく、約60%の容量を削減できています。旧環境のデータを移行しても十分な空き容量が確保できたため、以前は別のストレージで運用していた制作途中のチェック用データや過去作品のライブラリデータ、映像を描画するレンダリングサーバーの書き出しデータなどもIsilonに統合できました」と語る。
現在Isilonは約150名のユーザーに利用されており、レンダリングサーバーの台数も約120台に上る。しかし、性能面での不満は全く感じていないとのこと。旧環境ではファイルを開くのに5分程度掛かることもあったが、こうした問題も完全に解消している。
Isilonを導入したことで、ストレージ運用管理の効率化も実現できた。中村氏は「以前は各ストレージの状況をチェックするのが非常に大変でしたが、Isilonには無償の監視・分析ツール『Insight-IQ』が備わっています。現時点の情報だけでなく、これまでの履歴も含めた形で性能分析などが行えますので、何かの問題が生じた場合も迅速に原因を特定できます。おかげで運用管理に掛かる工数は、以前の1/10以下に減った印象ですね」と満足そうに語る。
また、Isilonのスナップショット機能である「SnapshotIQ」もデータ保護に活用。万一の誤消去などに備えて、30日分のスナップショットを保持している。もちろん以前のように、スナップショット取得時に性能が劣化するようなこともない。
今回のIsilon導入を担当したTooの小沼 育民氏も「お客様の課題解決に貢献できたことは、当社としても大きな成果。ネットワールドの提案時の柔軟な製品比較からスムーズな導入作業までの手厚い支援にも感謝しています」と手応えを語る。
同社では今後も、Isilonへのストレージ統合を進めていく考えだ。金田氏は今後の展望を「特殊効果用レンダリングサーバーの書き出し先や、現在は専用ストレージを利用している編集システムなど、様々な用途に適用できると感じています。また、こうしてデータが集まってくると災害対策も考える必要がありますので、Isilonの遠隔レプリケーション機能『SyncIQ』の活用なども検討していきたいですね」と述べた。
パートナー概要
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株式会社Too
本 社:東京都港区虎ノ門3-4-7
U R L:http://www.too.com/