導入事例 ネットワンシステムズ株式会社
基幹業務システムを含む約300台のサーバを「VMware」によるプライベート・クラウドに統合
社内構築で培った経験を顧客向けサービ...
- VMware
2010.02.05
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ネットワンシステムズ株式会社
本 社 : 東京都品川区東品川2-2-8
設 立 : 1988年2月1日
U R L : http://www.netone.co.jp/
事業内容 : ネットワンシステムズ株式会社コンサルティングから設計・構築、運用支援、各種ネットワーク機器の販売、教育に至るまで、ネットワークに関わるサービスをワンストップで提供するソリューションプロバイダ。近年ではサーバ、ストレージ分野にもビジネスを拡大し、顧客企業の多様なニーズに応え続けている
ネットワークインテグレータ大手のネットワンシステムズ株式会社様(以下、ネットワンシステムズ)では、社内で稼働する業務システム群の統合プロジェクトを推進中です。販売・物流・人事・会計などの基幹業務システムをはじめ、数多くのシステム群を自社内に構築したプライベート・クラウドへ移行。そのための基盤として選ばれたのが、ネットワールドが提供するインフラストラクチャ仮想化ソフトウェア「VMwarevSphere 4」「VMware Infrastructure 3」です。約300台の物理サーバを仮想環境上へ集約し、ITリソースの有効活用やオンデマンド化、運用管理の効率化、災害対策への適用など、様々なメリットを実現。また、プライベート・クラウドの構築だけでなく、今回のプロジェクトで培った基幹システムのクラウドへの移行と運用のノウハウを活かし、顧客企業向けのクラウド・ソリューションも強化していく構えです。
1988年の設立以来、一貫して高品質なネットワークソリューションを提供してきたのがネットワンシステムズである。同社の顧客には、通信キャリアや大企業、官公庁・自治体など、大規模ネットワーク環境を運用している企業も数多い。ソリューションの品質や信頼性についても極めて高いレベルが求められるが、同社では豊富な経験と高い技術力を活かし、顧客企業の要求に確実に応え続けてきた。
今では一般的に使われる「ネットワークインテグレータ」「ネットワークソリューションプロバイダー」などの言葉も、実は同社が生み出したものである。こうした所からも、ネットワーク分野における同社の存在感の強さがうかがえる。さらに近年では、VPN(VMware Partner Network)参加企業内で顧客のニーズにあったソリューションの提供にフォーカスするSolution Providerメンバとして、最上ランクのPremierパートナーにも認定され、サーバやストレージなどの領域へもソリューションを拡大。ビジネスを支えるITインフラ全体をワンストップで提供している。
同社では2009年初頭より、社内システムの統合プロジェクトに着手した。その背景について、商品開発グループ 応用技術本部 DCプロダクト開発部 プロジェクトマネジメントチームの松永 青磁プロジェクトマネージャーは、次のように説明する。
「市場環境が大きく変化する中、業務システムの導入から運用開始までのスピードをいかに短縮するかが重要な課題になっています。しかし、個別の業務要件ごとにシステムを構築する従来の手法では、なかなかこうした要件にうまく対応できません。当社でも事情は同じであり、ビジネススピードとコストメリットを両立させるための解決策が強く求められていました」
業務システムの開発・運用を担うIT部門でも、様々な課題を抱えていた。「アプリケーションを担当する我々のチームでは、システムの処理能力不足が大きな課題になっていました。ユーザの業務に影響を与えないためにも、新たなプラットフォームへの載せ替えが急務と感じていました」と語るのは、システム企画グループ IT部 第1チームの永野 賢一氏。また、システム企画グループ IT部 第2チームの村中智祐氏も「インフラを担当する我々にとっては、運用管理の効率化が大きな課題でした。プロジェクト実施前には物理サーバの台数が400台近くに達しており、監視や障害対応などに相当の工数が掛かっていました」と語る。
これらの課題を解消する方法として、同社が目を付けたのがクラウド型のICT基盤だ。松永氏は「システムのプラットフォーム部分と、その上で稼働するアプリケーションのレイヤーを分ければ、業務側が要求するサービスを迅速に提供できます。こうしたクラウドの持つメリットを、当社のITインフラにも取り入れたいと考えました」と語る。プロジェクトチームでは、今後に向けたグランドデザインを描くために、現状の課題を洗い出した上で原因を追求。課題解決に向けた基本方針として「集中化」「仮想統合」「オンデマンド環境の構築」「災害対策」の4点を掲げた。そのためのキーテクノロジーとなったのが、サーバ仮想化技術だ。
大量のサーバ群を仮想化すれば、設置コストや電力コストの削減、リソースの有効活用、運用管理の効率化、災害対策への活用など数多くのメリットが見込める。仮想化基盤には、ネットワンシステムズで、多くの顧客案件を手掛けてきた実績があり、社内に既に数多くの技術者が存在することなどを評価し、ネットワールドが提供するインフラストラクチャ仮想化ソフトウェア「VMware vSphere 4」「VMwareInfrastructure 3」(以下、VMware)を選んだ。
なお、今回のプロジェクトには、もう一つの大きな目的があった。それは社内クラウドのプロジェクトで得たノウハウを、特に、今後重要となる管理・運用面を中心に、顧客向けのクラウド・ソリューションにも活かすということである。「いくら仮想化やクラウドが有効だと言っても、実際に自社で取り組んでいないのでは説得力がない。お客様にクラウドのメリットを最大限に享受して頂くためにも、まず自社をリファレンス・ケースとしたいと考えました」(松永氏)
VMwareによる新たなクラウド基盤は、2010年1月より本番稼働を開始。第一弾として、販売管理や物流管理などの基幹業務システムを含む7システム を仮想化した。「従来は特に重要なシステムについてはUNIXで構築していましたが、仮想化を行うにあたりLinuxへの移行を行っています」と永野氏。 IAサーバを採用することにより、OSの機種依存から解放することも可能になった。
また、サーバ集約率をいかに上げるかという点にもかなり気を遣ったとのこと。村中氏は「仮想化のメリットを最大限に発揮するためには、より多くのシステムを集約することが肝心です。『VMwareCapacity Planner』から得られた情報なども活用し、サイジングを詰めていきました」と説明する。
さらに、もう一つ重要なポイントとなったのが、システム運用の再設計である。「1システム・1サーバ方式の場合と異なり、プラットフォームとアプリケーションのレイヤーが分かれると、障害時の対応などにグレーな部分が生じます。最初にルールをしっかり決めておかないと、トラブルの根が見つからないといっ た事態も生じかねません」と松永氏。そこで今回は、新たな運用管理ツールの導入や運用手順の標準化、ドキュメントの整備などにも力を注いだ。松永氏は「将 来的なお客様へのサービス提供を考える上でも、運用体制の確立は極めて重要でした」と続ける。
全面本稼働が開始される2010年10月には、約300台の仮想サーバがVMware上で稼働。また第一フェーズ完了時点でも、既に数多くのメリットが実 現されている。物理サーバの台数は以前の83台から33台へと激減し、ラックスペースも89Uから29Uに減った。消費電力についても、以前の約 22,000Wから約11,200Wへと、ほぼ半減させることに成功している。
「従来は2台の物理サーバでクラスタ構成を採っていたシステムも、『VMware HA』を利用することで予備機用のリソースを削減できました。テストや検証を行う場合などにも、環境がスピーディに用意できるので非常に便利ですね」と永野氏は仮想化の効果を語る。
また、ネットワールドの支援も大きく貢献。村中氏は「ちょうど「VMware vSphere 4」やNehalem世代のインテルCPUがリリースされた時期だったので、今まで経験のないトラブルに遭遇することもありました。しかし、ネットワール ドが迅速・的確なサポートを提供してくれたおかげで、速やかに問題を解決できました」とにこやかに語る。
「仮想統合・クラウドへの動きはサーバについてはもちろん、今後はデスクトップも巻き込んでさらに強まっていくことでしょう。しかし、仮想化技術をより有効に使うためには、注意すべき点も存在します。我々も社内実践で得た経験を、お客様向けのサービスにフィードバックしていきたい」と抱負を語る松永氏。そ の取り組みを、ネットワールドとVMwareが確実に支えていくことになるだろう。