導入事例 株式会社ドクターネット
遠隔画像診断支援サービスにCitrix NetScaler® VPXとCitrix XenAppRを活用
医療品質の向上をITで支える
- Citrix
2013.07.29
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本 社 : 東京都港区芝大門2-5-5
設 立 : 1995年1月
資本金 : 1億円
U R L : http://www.doctor-net.co.jp/
業 種 : 情報 / サービス
事業概要 : 遠隔画像診断支援サービス、ITソリューション事業(医療画像・情報管理システムなど)、メディカルイメージング事業
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導入前までの経緯
- 医療画像の遠隔診断支援サービスを実施するにあたり、外部の専門医が安全に画像データを読影できる仕組みが求められた。
- 病院や診療機関の業務を支える重要なサービスであるため、システムの信頼性・可用性をできるだけ高める必要があった。
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導入後期待される効果
- Citrix XenAppをインフラに採用することで、実データを転送することなく安全に遠隔読影が行える環境を実現。
- 物理環境で構築されていたサーバー群をVMware環境へ移行。Citrix NetScalerRVPXによる冗長化、負荷分散で信頼性・可用性を向上
プロジェクトメンバー
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株式会社ドクターネット
営業統括室
室長
古澤 良知 氏 -
株式会社ドクターネット
開発部
インフラマネジメント課
小森 真也 氏
現代医療において重要な役割を果たしているのが、モダリティと呼ばれる各種の画像診断装置だ。CTやMRIをはじめとするこれらの機器は、的確な診断や治療を行う上で欠かせないものとなっている。とはいえその一方、医療業界では検査画像の読影を行う放射線診断専門医の不足が深刻化している。現在国内で稼働するモダリティは約1万7,000台を超えるとも言われているが、高度な読影スキルを持つ放射線診断専門医の数はこれを大幅に下回る。機器は揃っていても、その多くが専門医による読影の機会にないのが現状なのだ。
こうした医療機関の悩みを解消する遠隔画像診断支援サービスを展開しているのが、東京・港区に本社を置くドクターネットだ。同社 営業統括室 室長 古澤 良知氏は「当社はこの分野におけるパイオニア企業として、1997年よりサービスを提供しています。各医療機関からお預かりした画像の読影を専門医に依頼し、読影レポートをお戻しするのが基本的な流れ。遠隔画像診断に利用するシステムも年々進化しており、2007年にはお預かりした画像を再配信しない仕組みを構築しています」と説明する。
「Tele-RAD」と呼ばれる同社の主力サービスでは、全国300名超の放射線診断専門医と契約(2013年5月末現在)。医療機関内に専門医が不在の場合なども、迅速に読影レポートを入手することができる。しかも、同社のオペレータが依頼内容と読影医の得意分野をマッチングするため、極めて高い品質も確保されている。古澤氏は「システムだけに頼ることなく経験ある人の判断を組み合わせることで、クオリティの高い読影サービスを提供できるのが当社の強み」と続ける。
同社ではその他にも、Tele-RADのクラウド型読影環境のみをASPサービスで提供する「Virtual-RAD」や、読影環境のオンプレミス構築を実現する「Flex View」など多彩なソリューションを展開中だ。
医療関連のサービスを提供する上では、セキュリティ確保が大きな課題となる。特に医用画像は患者のプライバシーに関わる極めて重要なデータだけに、情報漏えいなどの問題が生じることは絶対に許されない。
そこで同社では、2005年よりCitrix社のアプリケーション仮想化ソリューション「XenApp」(導入当時の製品名は「CitrixPresentation Server」)を活用している。古澤氏はその理由を「お預かりした画像の実データを再配信しない仕組みが求められましたので、XenAppによるアプリケーション仮想化環境は非常に魅力的でした。また、もう一つの決め手はレスポンスの速さです。最新のモダリティでは数千枚もの高精細画像が出力される場合がありますが、XenAppならこうした大量の大容量データも快適に活用できます」と説明する。
さらに同社では、2012年夏よりXenApp6.5へのアップグレードと環境の再構築に伴い、VMware vSphereによる仮想環境への移行を図った。同社 開発部 インフラマネジメント課 小森 真也氏は、その背景を「以前の物理環境ではWeb Interface用のサーバが冗長化されておらず、障害が発生すると、業務に支障を来すなどの問題がありました。VMware仮想環境への移行にあわせて、システムの信頼性・可用性を高めたいと考えたのです」と語る。
このプロジェクトのパートナーとして選ばれたのがネットワールドだ。「実は以前からネットワールドのWebサイトを情報収集に活用しており、良い機会と思い提案を求めました。するとXenAppサーバの負荷軽減や信頼性向上に関するアドバイスを親身に行ってくれた上に、VMwareに関しても豊富な実績と経験を積んでいたため、今回のパートナーに選びました」と小森氏は続ける。
遠隔画像診断支援サービスを支える新たなインフラは、2012年末より本稼働を開始。現在はVMwareによる仮想化基盤上で9台のXenAppサーバが稼働しており、読影医向けの画像ビューワやオペレータが利用する業務アプリ、オフィスソフトなど、30ものアプリケーションを配信している。
サービスの安全性を確保するために、外部からXenAppサーバへのアクセスにはセキュアなアプリケーションのアクセスを提供する仮想アプライアンス「Citrix NetScalerVPX」を活用。また、これをXenAppの「WebInterface」の負荷分散装置としても利用し、システムの安定性向上を図っている。ちなみにセキュリティについては、読影を行う医師が利用するクライアントに生体認証装置を装備し、ログインパスワードと組み合わせた二要素認証も行っている。
加えて、システム運用面で注目されるのが、その時々の読影ニーズによって画像配信のポリシーを更新している点だ。「たとえば、CTやMRIの画像を読影する際には大量のスライス画像を高速にめくっていくスピードが要求されますし、マンモグラフィーでは細かい部分もつぶれずに読影できる高画質さが要求されます。そこで先生方の専門分野ごとにワークグループを設定し、それぞれに最適な形で画像配信を行うようにしています」と小森氏。XenAppはこうしたきめ細かな制御も容易に行えるため、大いに助かっているとのことだ。
同社では現在、東日本・西日本に2ヶ所のデータセンタを展開。全国360ヶ所以上もの病院や医療機関で、Tele-RADをはじめとする遠隔読影サービスが利用されている(2013年5月末現在)。
「セキュリティや画像の品質、特定分野に強い専門医を見つけることの難しさなどから、遠隔画像診断サービスの実現は困難と言われた時代もありました。しかしXenAppを活用すれば、業務環境の安全確保や高品質な画像配信が実現できる上に、センター一元管理のメリットを活かした読影依頼と専門医のマッチングなども行えます。しかもクライアント側には『Citrix Receiver』を導入するだけですから、システム自体の管理負担は最小限に抑えることができます。多くの医療機関や先生方とのつながりが築けたのも、XenAppがあればこそです」と古澤氏は力強く語る。
同社では今後もインフラの改善を継続実施し、サービス内容の強化やさらなる品質向上を追求していく構えだ。「現在はまだ当社のサービスが利用されていない医療分野でも、今後活用が拡がっていく可能性は十分にあります。医療現場で必要とされる専門医の先生方が様々な場面で力を発揮できるよう、しっかりとご支援していきたい。ネットワールドの提案とサポートにも大いに期待しています」と古澤氏は語った。