導入事例 公立大学法人 高知工科大学
大学運営を支える重要業務データを「NetApp FAS2000シリーズ」で遠隔バックアップ
低コストかつスピーディにBCP対策を実現
- NetApp
2012.04.12
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公立大学法人 高知工科大学
所在地 : 高知県香美市土佐山田町宮ノ口185
開 学 : 1997年4月
U R L : http://www.kochi-tech.ac.jp/
大学概要 : 高知県初の工学系大学として1997年に開学。
「来たるべき社会に活躍できる人材の育成」「世界の未来に貢献できる研究成果の創出」「地域社会との連携と貢献」を基本理念とする。学群・専攻制の採用やクォーター制の導入など、国内有数の先進的な教育体制を敷いている。
プロジェクトメンバー
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公立大学法人 高知工科大学
ネットワーク運用センター事務室長
永野 勝幸 氏 -
公立大学法人 高知工科大学
ネットワーク運用センター事務室
森 晃彦 氏 -
公立大学法人 高知工科大学
総務部 広報担当
前田 智央 氏 -
リコージャパン株式会社
関西営業本部 四国支社
高知営業部 高知MAグループ
アシスタントマネージャー
岡林 直磯 氏
大規模自然災害のリスクを抱える企業・団体にとって、事業継続に向けた取り組みは重要な課題。万一の事態が発生した際にも、大事な業務データを確実に保護する取り組みが求められます。
こうした中、高知県香美市にキャンパスを構える公立大学法人高知工科大学様(以下、高知工科大学)では、ネットワールドが提供するNetApp社製ネットワークストレージ「NetApp FAS2020」を導入し、事務部門用ファイルサーバの遠隔バックアップシステムを構築しました。
異サイト間でのミラーリングを実現する「SnapMirror」機能を活用することで、重要業務データの保全を低コスト&スピーディに実現。また、高い性能と信頼性を活かし、運用負荷軽減や業務効率化にも成功しています。
坂本龍馬を筆頭に、明治維新を支えた多くの政治家、財界人を輩出した高知県。この地における唯一の工学系大学として、先進的な教育活動を展開しているのが高知工科大学だ。元々同県には工学部を持つ大学が存在せず、県内からも設置を望む声が多く挙がっていた。そこで設置費用を県が負担、運営は私大として行う公設民営方式で同大学を開学。その後開学10周年を機に検討に入り、現在の公立大学法人へと移行した。
当初は工学部のみで構成されていたが、現在では経済・経営系の教育を行うマネジメント学部も設置。さらに2009年には、工学部を従来の5学科から3学群13専攻へと再編した。高知工科大学 総務部 広報担当の前田 智央氏は、その狙いを「近年では工学系分野も細分化が進んでおり、学生の研究領域が狭くなる傾向にあります。そこで本学では、学群制の採用によって最初の入口をできるだけ拡げ、学生が様々なことを学びながら自分の専門分野を絞り込めるようにしているのです」と説明する。また、もう一つユニークなのが、1年を4期に分けるクォーター制を採用している点だ。前田氏はそのメリットを「一つの講義が7 ~ 8週で完結しますので、前期・後期制よりも学習効率が良い上に専門分野にも早く入れます」と語る。
人材育成を重点項目として掲げる教育機関は多いが、同大学が目指すのは「人が育つ大学」だ。「教職員によって『育てられる』のではなく、学生自らが自分の力で育っていける大学であることが重要。我々もそのための環境整備に力を注いでいます」と前田氏は語る。同校の卒業生の就職率が非常に高いのも、こうした自主独立を重んじる校風があるからこそと言えるだろう。
工学系の先進教育を行う大学だけに、同校ではITインフラの整備も積極的に推進している。高知工科大学 ネットワーク運用センター事務室長永野 勝幸氏は「本学では15年前の開学時から、ICカードによる出席管理やキャッシュレス決済を実現しています。また、事務系システムについても、環境の改善や情報の一元管理など様々な取り組みを進めています」と語る。
こうした活動の中でも、特に大きなテーマに据えられているのがBCPの強化だ。高知県をはじめとする四国地方では、南海地震への備えが大きな課題となっている。同校キャンパスは郊外の山間に位置しているため、津波被害などの懸念は少ないが、システム/データの保全対策が重要であることには変わりなかった。
「サーバなどのハードウェアは買い換えれば済みますが、一度失われてしまったデータはもう取り戻すことができません。貴重な情報資産を守るために、ITインフラの見える化やバックアップ環境の構築などを進めてきました」(永野氏)。
その一貫として今回実施されたのが、大学の事務部門が使用するファイルサーバの遠隔バックアップだ。実はこのファイルサーバ、BCPを云々する以前に、日常業務における利用でも大きな問題を抱えていたという。高知工科大学 ネットワーク運用センター事務室 森 晃彦氏は「以前は通常のPCサーバと外付型ストレージでファイルサーバを構築していましたが、障害によるドライブ交換やRAIDの再編成などでしばしばユーザに迷惑を掛けていました。またレスポンスも非常に遅く、ログインやファイルアクセスにも長い時間が掛かっていました」と振り返る。
さらに、テープへのバックアップ作業が翌朝になっても終わらないケースがあるなど、運用管理の面からも改善すべき点が多かった。そこで同校では、こうした問題を解決できるストレージ製品の導入に着手。問題解決のための仕様書を作成したところ、ITパートナーであるリコージャパンから提案されたのが、ネットワールドが提供するNetApp社製ネットワークストレージ「NetAppFAS2000シリーズ」であった。
リコージャパンの岡林 直磯氏は「NetApp社製品には、ディスクの二重障害からも確実にデータを保護できる『RAID-DP』などの高信頼・高可用性機構が盛り込まれており、安定的な業務環境を実現できます。また、すべての機種が同じOSで稼働するなど、将来的な拡張も容易な設計になっています」と語る。
特に今回の提案のポイントとなったのが、NetApp独自の「Snapshot」や「SnapMirror」などのデータバックアップ機能である。Snapshotを利用すれば、データのバックアップイメージを極めて短時間に取得することが可能。また、この機能を応用した「SnapMirror」では、メインサイトから離れた場所にある別のデータセンタへの遠隔バックアップも実現できる。Snapshot/SnapMirrorは、変更が加えられたブロックしか転送しないため、ネットワークへの負荷やバックアップ時間も最小限に抑えることが可能だ。
同校では競争入札による調達を経て、新ファイルサーバへの採用を決定。2011年9月より本番稼働を開始した。森氏は「以前のように障害に悩まされる心配がなくなった上に、ファイルサーバのレスポンスも大幅に改善。リストア作業も簡単に行えますので、ユーザがデータを誤消去してしまった際なども迅速に対応できます」と満足げに語る。以前はファイルサーバのログインに長い時間が掛かることを見越して、早朝から出社していた職員もいたが、現在ではこうした問題も完全に解消できたとのことだ。
さらに、2012年2月には、学内に設置したメイン機/サブ機の2台に加えて、3台目となるFAS2020をBCP対策用のデータセンタへ設置。SnapMirrorを利用した遠隔バックアップ運用を開始した。永野氏は「これにより、万一キャンパスが被災した際にも、ファイルサーバに保存された重要業務データを確実に保全できる環境が整いました」と力強く語る。
現在では日次で夜間バックアップを行っているが、約7GB程度の差分データを転送するのに、キャンパス内のメイン機→サブ機は約6分、メイン機→BCP対策機への遠隔バックアップでも約13分程度しか掛かっていない。テープ媒体へのバックアップに一晩中掛けていた頃と比較すれば、まさに雲泥の差である。
FAS2020+SnapMirrorによる遠隔バックアップのもう一つのメリットとして、岡林氏は既存の環境にほとんど手を加えなくて良い点を挙げる。「他のストレージやバックアップソフトなどでDR環境を構築しようとすると、運用上の制限事項が多かったり面倒な改修が必要だったりと、結構敷居が高いケースが多いのです。その点、NetAppなら、リモートサイト側にもう一台ストレージを追加するだけで済みます。当然、スピード面でもコスト面でも有利になります」(岡林氏)。実際に今回のシステム構築でも、データセンタ側へのFAS2020設置作業はわずか3日程度で完了。「導入費用も非常にリーズナブルだった」と永野氏は語る。
「高知工科大学様では、セキュリティ強化のためにファイアウォールを多段化されています。このため事前に綿密な動作検証を行う必要がありましたが、ネットワールドが技術協力を行ってくれたおかげで、スムーズに構築を進めることができました。今後もぜひ手厚い支援を期待したいですね」と岡林氏は語る。
事務部門の業務データ保全という課題をクリアした同校だが、今後は最先端のIT環境を目指す活動にも注力していく。「本学は『工科大』を名乗る大学ですから、他大学に先んじた取り組みもどんどん手がけていきたい」と抱負を語る森氏。永野氏も「様々な情報を集約・統合し、効果的に活用できるインフラを今後も追求していきます」と力強く語ってくれた。
パートナー概要
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本 社:東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル
大阪支社:大阪府大阪市中央区本町橋1-5 本町橋タワー
U R L:https://www.ricoh.co.jp/