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更新日:2023-10-02
Level 1 バックアップを最初に学ぶ人が読む記事
第2章 バックアップの機能

第1節 仮想化でのストレージ連携・アプリケーション連携

第1章「バックアップの基礎」を学んだあとは、本章から「バックアップの機能」を学んでいきましょう。
本節では「仮想環境でのストレージ連携・アプリケーション連携」、「バックアップの拡張性」。今更知らないと損する超常識を押さえましょう!

これがないと始まらない!バックアップの基本機能を学ぶ前の超常識

バックアップ博士
今まではバックアップの必要性や手法、種類ついてみてきたが
第2章では機能についてみていこう!!
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城宝 守
博士…了解です。
いよいよ第2章でレベルアップですね。
バックアップ博士
まずは仮想化でのストレージ連携・アプリケーション連携編じゃ。
この二つは別々の機能だが密接に関係しているので同時に説明していくぞ。そもそもストレージはわかるか?
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ストレージって何?一般的なストレージとSAN/NASの違い

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城宝 守
ストレージとは、コンピュータ内で扱ったデータやプログラムなどのデジタル情報を保存・記憶する装置やシステムですよね。
ストレージを利用することで大容量の保存や長期的な記憶が可能と習いました。
ハードディスク・フロッピーディスクなどがこれにあたるんですよね。

一般的なストレージの一例

storage
バックアップ博士
そうじゃ。
ただし今から話すストレージとは、仮想環境を構築する際に利用するストレージのことじゃ。有名なところでいうとNetApp社のFASシリーズやDell Technologies社のUnityのようなSANやNASじゃな。ここの章ではSANやNASをストレージと定義する。
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代表的なSAN/NAS ストレージの一例

Netapp_fas

NetApp社 FASシリーズ

Dell_unity

Dell Technologies社 Unity

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城宝 守
それなら聞いたことがあります。
数百万円以上するたかーいやつですよね。
バックアップ博士
高いか安いかはユーザーによって違うのでさておき、最近では多数の企業で仮想環境は導入されている。そして仮想環境には先ほど紹介したSANやNASなどのストレージが必要じゃ。
つまり、仮想環境のデータは基本すべてこのストレージに格納されていることになる。
よってストレージに保存される“データの整合性”を担保してバックアップを取ることが必須になるんじゃ。
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storage_linkage

データの整合性って?

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城宝 守
「データの整合性」って何ですか?
バックアップ博士
データの整合性とは、仮想環境のOSとアプリケーション間のデータを正確にバックアップできているかどうか?ということじゃ。

例えば城宝くんが管理者で、君は“仮想マシンのデータのバックアップを開始した”と仮定する。
しかしそのデータの移動中、仮想マシンのデータベースサーバーでユーザーがデータを書き換えてしまった。するとこのバックアップ中のデータはどうなるかな?
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バックアップ開始
integrity01
バックアップ中
ユーザーによるデータ書換え
integrity02
バックアップ博士
どんなに小さな変化でも変更が発生した場合、このバックアップは“非整合”となる。 つまりこの場合は、バックアップは元の仮想マシンとバックアップ先に保存している仮想マシンと同一ではない。
よって正確にバックアップできたとは言えないのじゃ。
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城宝 守
でも博士。
別に少しぐらい少し変更が入ってもいいんじゃないでしょうか?
バックアップ博士
少しの変更でも良いか悪いかは、そのデータを利用するユーザーや企業が決めることで、君が決めるべきではない。

さらに、これが仮想マシンのゲストOSを構成する重要なファイルや、OracleのようなDBで確実なデータのコミット(保証)が必要なシステムにおいては、最悪の場合データの復旧ができなくなることもあるのじゃ。

よーく、肝に銘じておくように!
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non_repairable
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城宝 守
はい。すいません。ところで博士。
そろそろ仮想化でのストレージ連携とアプリケーション連携を説明してください。
バックアップ博士
よーし!
図解で説明するぞ。
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仮想環境のストレージ連携・アプリケーション連携

仮想化でのストレージ連携・アプリケーション連携

storage&app_linkage

データベース連携

整合性を保証するためには、一旦アプリケーションを停止し、静止状態の業務ボリュームをコピーする必要があります。
代表的なデータベース(Oracle/Microsoft SQL Server など)には、一定期間、業務ボリューム上のデータを書き換えないようにするために、トランザクションをログファイルに集積する機能が備わっています。このようなデータベース側の機能を利用して、瞬間的に停止している間に業務ボリュームをコピーすることで、業務への影響を最小限に抑えたデータベースの無停止バックアップが可能となります。

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城宝 守
なるほど。
アプリケーションや仮想化、ストレージそれぞれにバックアップの静止点のポイントは違うものの、データの整合性を担保するためにデータが変化しない状態を作り出してバックアップを実行していることがよくわかりました。

初めはバックアップはどこかにデータをコピーしておけばいいと考えていましたが、大企業など大きな環境ではいろいろ考えることが多いんですね。

将来どこまでバックアップシステムを拡張するべき?

バックアップ博士
よし。なかなか分かってきたようじゃな。
では次にバックアップの拡張性を考えてみよう。
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城宝 守
バックアップの拡張性ですか。
バックアップ博士
そう、基本的にデータはいろんな要因で増えていくんじゃ。
ではデータが増える要因を考えてみよう。
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データは何故増える?

データが増える要因
  1. コンプライアンス的な観点から古いデータも保存してく必要がある。
  2. 長年のデータを含めたデータ分析が必要になることがあり古いデータを削除できない。
  3. 写真など素材のデータ自体がリッチコンテンツ化して容量が増えている。
  4. 会社の成長に合わせて社員数増加、事業拡張による支店増設でデータ作成量が増えている。
バックアップ博士
これらの要因を考えて将来どのぐらいまでの拡張が必要か?
を考える必要があるんじゃ。
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城宝 守
そんな・・・
未来を予測するのは不可能ですよ・・・
バックアップ博士
そうじゃな。
だからこそ拡張性のあるバックアップシステムを事前に検討して構築することが必要なんじゃ。
例えば想定される環境ごとに考慮されている機能をいくつか見ていこう!
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①統合管理機能…複数サイトのバックアップシステムをまとめて管理

問題❶ 複数サイトのバックアップがしたい

現在急成長している企業で支店が毎月増えている。各支店にはファイルサーバーなどのサーバーが置いてある。各支店のバックアップを本社で管理したい。

multi_site
解決策❶ 統合管理機能

本社に統合管理サーバーを設置することで、一つの拠点から各支店のバックアップ管理が可能となる。

integrated_manage

保存先の容量拡張!スケジュールアップ/スケールアウト機能

問題❷ バックアップの拡張性を持たせたい
16TB

動画の作成などで大量のデータが毎月増えていく。
でも最初から数年後を計画して大きな容量のバックアップサーバーを構築すると予算が足りない。

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解決策❷ スケールアップ / スケールアウト機能
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拡張が必要な時に、スケールアップ/スケールアウト機能付きアプライアンスを買い足すことで、容量を増やすことができる。

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城宝 守
スケールアップ/スケールアウト機能は、あとから買い足した複数のアプライアンスで保存領域をプールできるんですね!
無駄に大容量のバックアップサーバーを買ってしまって損した!ということにならなくていいですね。

③マルチテナント機能…一つのバックアップシステムをテナント別に割り当て

問題❸ グループ会社のバックアップ管理を分担したい

会社が買収でどんどん大きくなっている。
でも、元々は別の会社であるため、システムが統合できるまでは別々に管理したい。

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解決策❸ マルチテナント機能

マルチテナント機能付バックアップサーバーを設置すれば、一つのシステムを各社専用のバックアップサーバーとして分割し、各社へ提供することができる。

multi_tenant

バックアップのマルチテナント

バックアップシステムのマルチテナント化は他のシステムのマルチテナントと同様、ひとつのシステムをテナントごとに論理分割して、複数の企業や部署に割り当てることができる機能です。テナントのユーザーはまるで自分専用に用意されたシステムであるかのように操作することができます。企業ごとに用意していたバックアップシステムをひとつに統合して、各企業は用意されたテナント内で自由にバックアップやリストアを行うことができます。その性質からグループ企業の統合バックアップ基盤やIaaSなどのサービスを提供しているプロバイダー向けの機能とも言えます。
BaaS(Backup as a Service)として提供されます。

いかがでしたか?バックアップの基本機能が押さえられましたね。
ただし、バックアップしてもいざという時、復旧できなければ意味がありません。復旧前や復旧時にどんな機能が必要?
第2節「どうやって取ったデータを戻すの?」でデータの復旧方法について学びましょう!

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