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更新日:2023-10-02
Level 1 バックアップを最初に学ぶ人が読む記事
第2章 バックアップの機能

第5節 サーバーごとに異なるデータのバックアップ方法

第4節までは、一般的に導入すべきバックアップ機能について学びました。
ただ、バックアップ対象となるサーバーごとに最適なバックアップ方法は異なります。
今まで学んだ基礎知識をより具体的にするために、サーバーの用途別に一般的なバックアップ方法を押さえていきましょう!

一般企業によくあるサーバーはどんなもの?

mamoru_kangaechu.png
城宝 守
だいぶいろんなことを考慮しなければいけないことは わかりました。
環境ごとに傾向があるんじゃないかと思って、一般的な企業の中にある代表的なサーバーを記載してそれぞれのサーバーの特性ごとに代表的な手法をまとめてみました。
バックアップ博士
なかなか感心じゃな。
hakase.png

一般的な企業によくあるサーバー(一例)

1
onpremise_mail_server

メールサーバー
(オンプレ環境)

2
cloud_mail_server

メールサーバー
(クラウド環境)

3
web_server

Webサーバー
(オンプレ仮想環境)

4
app_server

アプリサーバー
(オンプレ仮想環境)

5
DB_server

DBサーバー
(オンプレ仮想環境)

6
AD_server

Active Directoryサーバー
(オンプレ仮想環境)

7
infra_server

DNS/NTPなどの社内
インフラを支えるサーバー
(オンプレ仮想環境)

8
file_server

ファイルサーバー
(物理NAS)

※本章は、オンプレ環境中心の内容です。クラウド環境のバックアップはLv.2 バックアップを少し学んだ人が読む記事をご参照ください。
mamoru_kangaechu.png
城宝 守
主なサーバーの種類はざっとこんな感じでしょうか。
具体的な特性は次で表にしました。

1.メールサーバー(オンプレ環境)

onpremise_mail_server
サーバー
設置環境
  • オンプレ仮想環境 Exchange利用想定
役割 / 特徴
  • メールを送受信する
バックアップ
ポイント
(特長)
  • メールコンテンツも保持するために容量は大きくなる。
  • メールのため基本的には24時間いつでも使われることを想定して
    オンラインバックアップが必須。
バックアップ
管理方法
  1. 専用エージェントをインストールし、構築時やパッチ更新時にオンラインで
    1回目フルバックアップ。
  2. 専用エージェントを利用して差分もしくは増分をバックアップ。
※ただし最終バックアップ地点からは先は複製できないので、
可能な限り短い間隔で取ることを推奨。
バックアップ
災害対策連携
  • ストレージとExchange専用のバックアップエージェントを利用することで
    データの整合性を担保した状態でストレージスナップショットなどの
    処理の自動化が可能。
  • ストレージミラーリングと組み合わせることで遠隔地にも
    飛ばすことができより効果的。

2.メールサーバー(クラウド環境)

cloud_mail_server
サーバー
設置環境
  • クラウド環境 Microsoft 365利用想定
役割 / 特徴
  • メールを送受信する
バックアップ
ポイント
(特長)
  • クラウド特有のバックアップを考える必要がある。
  • メールコンテンツも保持するために容量は大きくなる。
  • M365などのクラウド利用の場合には、クラウド事業者により
    バックアップポリシーが異なるため注意が必要。基本的には
    M365側でバックアップは行われていないため、IT 管理者自身で行う必要がある。
バックアップ
管理方法

M365専用のメールアーカイビングソフトを利用することが必須。

  1. 専用ソフトを利用し初回フルバックアップ。
  2. 利用頻度の少ない夜間などに差分をバックアップ。
バックアップ
災害対策連携

M365専用のバックアップエージェントを利用することで、
DBの整合性を担保した状態でメールアーカイビング等が可能。
しかしデータ自体はクラウド上にあるため別サイトへの保管が必要。

3.Webサーバー

web_server
サーバー
設置環境
  • オンプレ仮想環境
役割 / 特徴
  • 「Ap ache HTTP Server」、「nginx」、「Microsoft Internet Information Services(IIS)」
    を利用してWebを公開
バックアップ
ポイント
(特長)
  • WebサーバーはHTMLソースやCSSファイルなどデータ容量も小さく、
    更新頻度も少ない。
  • 大量のアクセスログが発生する
バックアップ
管理方法
  1. 構築時やパッチ更新時にオフラインフルバックアップ。
  2. 深夜には主にログを含む差分を1回オンラインバックアップ
    もしくはストレージのスナップショットでOK。
バックアップ
災害対策連携
  • 常時更新されないため、ストレージでスナップショット連携→ミラーリングを
    行うほどの必要はなし。
  • 災害対策としてデータを遠隔地に飛ばすミラーリングは有効。

4.アプリサーバー

app_server
サーバー
設置環境
  • オンプレ仮想環境
役割 / 特徴
  • Webサーバーから受け付けたリクエストをJavaやPHP、 Rubyなどの
    プログラミング言語を実行して処理
バックアップ
ポイント
(特長)
  • プログラミングファイルはデータ容量も小さく更新頻度も少ない。
  • 大量のアクセスログが発生する。
  • 特徴としてはWebサーバーと似ている。
バックアップ
管理方法
  1. 構築時やパッチ更新時にオフラインフルバックアップ。
  2. 深夜にログを含む差分を1回オンラインバックアップ。もしくは
    ストレージのスナップショットでOK。
バックアップ
災害対策連携
  • 常時更新されないため、ストレージでスナップショット連携→ミラーリングを
    行うほどの必要はなし。
  • 災害対策としてデータを遠隔地に飛ばすミラーリングは有効。

5. DBサーバー

DB_server
サーバー
設置環境
  • オンプレ仮想環境
役割 / 特徴
  • Oracle、MySQL、MS SQLなどでアプリサーバーから投げられた処理に対して
    データの追加、変更、削除を実行
バックアップ
ポイント
(特長)
  • サーバー関連の中で一般的に負荷が最も高いのがDBサーバーである。
  • 大量のアクセスログが発生する。
  • 利用するDBによりバックアップの作法が異なる。
  • データの整合性をいかに担保できるかがバックアップの際の肝となる。
バックアップ
管理方法
  1. 専用エージェントを入れ構築時やパッチ更新時にオンラインで
    1回目フルバックアップ。
  2. 専用エージェントを利用して差分もしくは増分をバックアップ。
※ただし最終バックアップ時点から先は複製できないので、
可能な限り短い間隔で取ることを推奨。またトランザクションログが
取得可能な場合にはDBエンジニアは手動で障害直前まで戻すことが可能。
バックアップ
災害対策連携
  • ストレージとDB専用のバックアップエージェントを利用することで、
    DBの整合性を担保した状態でストレージスナップショットなどの処理の自動化が可能。
  • ストレージミラーリングと組み合わせることで遠隔地にも飛ばすことができより効果的。

6. Active Directoryサーバー

AD_server
サーバー
設置環境
  • オンプレ仮想環境
役割 / 特徴
  • 社内のPCを一元管理する
バックアップ
ポイント
(特長)
  • 社員規模などにもよるが、高負荷ではない。
  • 認証やグループポリシー適用などで範囲が限られており必ずしも
    ハイスペックである必要はない。
  • ログのバックアップはコンプライアンス的に必須。
バックアップ
管理方法
  1. 専用エージェントを構築時やパッチ更新時にオンラインフルバックアップ。
  2. 専用エージェントを利用して深夜にログを含む差分を1回オンラインバックアップ。
バックアップ
災害対策連携
  • 常時更新されないため、ストレージでスナップショット連携→ミラーリングを
    行うほどの必要はなし。
  • 災害対策としてデータを遠隔地に飛ばすミラーリングは有効。

7. DNS/NTPなどの社内インフラを支えるサーバー

infra_server
サーバー
設置環境
  • オンプレ仮想環境
役割 / 特徴
  • 社内ネットワークの名前解決用
  • 社内のシステムの時刻合わせ
バックアップ
ポイント
(特長)
  • 一般的に低負荷である。
  • ただしサーバー障害が発生した場合には影響範囲が大きい。
  • 名前解決ができないとシステム関連が利用できない可能性が大。
  • 時刻がずれるとシステムに重大な障害が発生する可能性が大。
バックアップ
管理方法
  1. 構築時やパッチ更新時にオフラインフルバックアップ。
  2. 大きな変更などがあった場合には差分を1回オンラインバックアップ。
バックアップ
災害対策連携
  • 更新情報なども少ないため保管環境があれば、ストレージで遠隔地に
    ミラーで飛ばすもしくはテープで保管でOK。

8. ファイルサーバー

file_server
サーバー
設置環境
  • 物理 NAS
  • NetApp社FASシリーズやDell Technologies社Unityなど
役割 / 特徴
  • 各種ファイルの保存場所
バックアップ
ポイント
(特長)
  • 容量が多いのでバックアップウインドウの考慮が必要。
  • ファイルのダウンロード履歴など万が一を考慮してログのバックアップも必須。
  • 個々のユーザーから誤操作などによるバックアップからの復元依頼が多い。
  • 重複しているファイルなども多く、重複排除技術などを取り入れることで
    容量を削減するのが最近の主流。
バックアップ
管理方法
  1. 一般的に容量やファイル数が多い特徴からサーバーではなくストレージ(NAS)を
    利用したスナップショットで複数世代のバックアップを取ることが多い。
  2. NASによるミラーリングでデータを複製する。※バックアップサーバーを
    利用してNDMP形式もあり。
バックアップ
災害対策連携
  • 遠隔地にミラーがおすすめ。2台分のストレージを購入する予算がない場合には
    バックアップサーバーと連携してNDMPバックアップでテープに吐き出し遠隔地保管も可。

サーバーごとに異なるバックアップ方法の基本が押さえられましたね。
第3章「バックアップ製品の特長」は、ネットワールドの取扱いバックアップメーカー7社の特長をポイント3つで解説しています。
これまで第1章「バックアップの基礎」第2章「バックアップの機能」を学んだ読者の方なら、より各社の違いを理解できるようになっているはず。
製品選定のヒントとして読んでみましょう!

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