──クラウドネイティブ・ロードの入り口では小さかったお城が、今はかなり大きくなってきた。コンテナについての理解度が深まったサトルは、なぜか急に立ち止まって考え込み始める。ゴールを目前にして一体何が起こったのか? ディアが不安そうに尋ねた。
ディア:「この世界に転移した時と比べて、コンテナに関する知識はだいぶ増えているよね。何をそんなに考え込んでいるの?」
サトル:「そろそろ元の世界に戻りたいと思っていたら、突然、じっちゃんの言葉が浮かんで来たんだ」
ディア:「どんな言葉? 『いつまでもあると思うな親と金』?」
サトル:「変なこと言うなよ(怒)、じっちゃんの口癖『油断大敵』だよ!」
クラフ:「なぜ、急にその言葉を思い出したんだい?」
サトル:「コンテナ技術や関連ツールや機能を活用することで、ビジネスのスピードを上げることが実現できることは分かったんだ。でも、コンテナを活用すれば、すべてが上手くいくとは限らないと思って……」
ディア:「待ってくれよ、それは考え過ぎじゃない? コンテナさえ使えば、万事上手くいくでしょ」
クラフ:「……。実は、そうとも限らないんだよ」
サトル、ディア:「どういうこと?」
コンテナに限ったことではないけれど、システムの管理対象が増えると、その運用管理が煩雑になることが多いんだ。たとえば、コンテナの実行環境が増えたり、クラウド基盤の複数サーバー間でコンテナを実行するなど大規模なシステムを展開するようになると、どうしても管理作業にかかる工数が大きくなってしまうんだ。
サトル:「便利だからって、たくさん利用すると、その管理が難しくなるってこと?」
クラフ:「そうだね。コンテナを活用してサービスを効率的に提供するためには、『コンテナを実行するサーバー群の管理』や『コンテナの効率的な配置』、『処理負荷に合わせたコンテナ数の増減や負荷分散』『コンテナイメージのアップデート』『コンテナの配置や削除』などの管理作業が必要になってくるんだ」
ディア:「うわ...聞いているだけで大変そうだ......。コンテナにも意外な落とし穴があるんだね」