「ここは……、どこだ?」、部署異動後の慌ただしい1週間がようやく終わり、
家に帰りすぐに寝落ちしたサトルは、見慣れない場所で目が覚めた。


そこは、水平線が見渡せる海原が広がる近代的な港のド真ん中。赤や青、黄色、緑といったカラフルなコンテナが所狭しと並べられ、それらを積んだフォークリフトやトラックが行き交っている。

自分の置かれた状況がまだ理解できないサトルは、今の部署に異動して毎日聞く「コンテナ」という言葉をふと思い出した。「そういえば、昨日も『結局、コンテナって何なのか』が分からずに疲れて寝たんだよな。夢にまで出てきちゃったな」と苦笑いをした。


すると、後ろから「仮想化とコンテナの違いに、最初に戸惑う人は多いのじゃよ。関連用語もたくさんあるからな」と突然声が聞こえた。


「ええ?」とびっくりして後ろを振り向くと、そこに立っていたのは、
人間とほぼ同じサイズの老クジラだった……。




そして、ただ呆然と立ち尽くすサトルに向かって「コンテナ王国にようこそ!」と軽く会釈してきた。


さらに老クジラは「この世界に来られたのだから、ぜひコンテナ王国を旅してみてはいかがかな?」と語り、海とは反対方向にある山の上のお城を指さした。

「そこに行けば、お主が知りたいことがきっと見つかるはずじゃよ。これをお供に連れて行きなさい」と横を向いた。そこには、羽が生えた小さなクジラがいた。「ディアじゃ。きっとお前の役に立つだろう」と紹介されたディアは、つぶらなひとみでこちらを見つめている。


「どうせ夢なら、言われるままに旅してみようか」と、普段から楽観的なサトルはそう決意して、まずは山を目指して歩くことにした。そこから、サトルとディアの不思議な冒険の幕が開けた。

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