PowerScaleは主にファイルサーバー用途で使われるスケールアウト型NASです。非常に高い拡張性を持ち、どれだけノードが増えてもワンボリュームで管理することが可能です。HDDメインのアーカイブモデル、HDD+SSDのハイブリッドモデル、SSDオンリーのオールフラッシュモデルの3つに大別できます。
拡張性に優れたスケールアウトに対応しており、性能と容量を同時に向上させることが可能です。
ノード増設の手順は追加ノード(コントローラー)を接続し、ノード追加ボタンを押すだけ。最大252ノードまで拡張できるため、データが増え続ける環境に最適です。
PowerScaleのOS「OneFS」により、クラスタにノードを追加してもひとつのボリューム・ファイルシステムで運用できます。 ノードが増えてもボリューム設計や管理が不要なため、大容量のファイルサーバー環境で活躍します。
PowerScaleのデータ保護は、RAIDやHAの代わりにクラスタ全体で冗長性が確保される仕組みになっています。
通常のストレージであればコントローラー側でエラーがあればシステムが停止してしまいますが、PowerScaleの場合は1ノードが丸ごと停止してもシステムを稼働し続けることが可能です。
新しいノードを既存クラスタに追加し、データが新ノードへと自動的にコピーされるのを待ってから古いノードを切り離すだけでデータ移行が完了します。
バックアップや専用ソフトなどの外部ツールも必要ないため、非常に簡単です。
PowerScaleは旧Dell EMC IsilonのReブランドシリーズです。 スケールアウト型NASとしてノードの増設によって性能と容量を同時に向上させることができ、大容量NASとして非常に優れた性能を持っています。
PowerScaleの拡張方式は、コントローラーとディスクがセットになったノード単位で増設し性能と容量を同時に向上させる「スケールアウト」を採用しています。
スケールアウトの手順は、追加ノード(コントローラー)を接続し、ノード追加ボタンを押すだけ。
通常のストレージではコマンドやIPアドレス、Volumeの設定が必要となりますが、PowerScaleではその必要がありません。簡単にスケールアウト対応が可能です。新規ノードを追加すると、既存のクラスタ部のデータが自動的にリバランス(再配置)されます。
PowerScaleはすべてのノードで単一のボリュームとして構成できるため、どこまで増設しても領域がわかれません。また増設時に発生するサーバーやクライアントのマウントポイント、アプリケーションの変更も不要です。
同じPowerScaleシリーズであれば、モデルに関係なく同一クラスタに混在できます。もちろんワンボリュームでの管理が可能です。
使用頻度の少ないデータはオールフラッシュからアーカイブへ移動するなど、自動階層設定も可能です。
データはPowerScaleの各ノードに均等に保存・パリティ付与されます。障害が発生した場合には故障したノードに格納されているデータをほかのノードへコピーし、さらにアクセス可能なノードへとユーザーを自動的に誘導。ノード障害が発生しても無停止でサービスの利用を続けることができます。
コントローラー2つで冗長化していても、システム継続できるのはコントローラー1つの障害のみ。筐体側でエラーがあればシステム停止に…
PowerScaleは複数のノードをクラスタ化し冗長化。
1ノード(筐体)が停止しても稼働です。
PowerScaleは、一般的な”HA”や”RAID”といった仕組みは利用しておらず、その代わりにクラスタ全体での保護レベルを指定するだけで自動的に冗長性が確保されるアーキテクチャになっています。一般的なストレージではコントローラー側でエラーが発生すればシステムが停止するのに対し、PowerScaleは1ノードまるごと停止してもシステムを稼働し続けることができます。
一般的なストレージの場合、クライアントごとに決められたノードにアクセスするため、アクセスが集中するとストレージに負荷がかかりパフォーマンスが下がりやすい。
PowerScaleなら、SmartConnect機能を介することで自動的にアクセスの少ないノードへとクライアントを誘導し、システムへかかる負荷を分散!高いパフォーマンスで効率よくアクセスすることができます。
ストレージのリプレイス等でのデータ移行を行う場合、多くの懸案事項や手間のかかる作業に時間を取られがちです。データ移行はバックアップやレプリケーションを活用するのか、もしくは専用ソフトから移行するか検討する必要も…。
システムを停止できない場合、既存ノードと新ノードの一次的な並行運用も考えなくてはなりません。PowerScaleなら、既存のクラスタに新しいノードを追加すれば、追加したノードにデータが自動的にコピーされます。コピーが完了したら既存のノードを1台外し、外したノード内のデータが追加分のノードにコピーされたことを確認できたら次の1台を外す。これを繰り返していくだけでPowerScaleのデータ移行が完了。システムを停止する必要はありません。
システム停止後に入替作業。作業のスケジュール調整や一時的なバックアップ領域などが必要…
新しいノードを追加して、既存ノードを外していくだけ!
AirGapとは、外部から隔離されたネットワーク環境にクラスタを用意し、そこにデータをアーカイブする技術のことです。この機能とPowerScaleのレプリケーション機能、そしてRansomware Defenderを連携させることにより、セキュアにデータを隔離することができます。
連携機能 | できること | |
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識別 | ユーザー名とIPアドレスで特定 | 攻撃を検出し、リアルタイムでデータに対する防御措置を自動的に実行 |
保護 | リアルタイムにユーザーをロックアウト | |
検知 | ユーザー行動ベース、変更検知、 既知の拡張子による検知 | ユーザー動作の異常検出、ファイルシステムへの脅威に対する警告およびユーザーを中断する自動アクションを実行 |
対応 | 電子メールやsyslogによる検知、 スナップショットの自動作成 | 感染の検出時にPowerScale読み取り専用スナップショットを自動生成 |
復旧 | ファイルレベルでのトラッキングと スナップショットによるデータのリストア | 感染の影響を受けたファイルの回復時間を短縮 |
近年では、NIST(米国国立標準技術研究所)が提唱するサイバーセキュリティフレームワークに基づいたセキュリティ対策が求められています。PowerScaleはサイバーレジリエンスに対応。Superna社の Superna Eyeglass Ransomware Defenderと連携することによりサイバー攻撃から重要なデータを保護することができます。
Aシリーズはファイルサーバー・アーカイブ用途での利用が多く、コストパフォーマンスも良い売れ筋モデルです。
ファイルサーバー用途の中でも高パフォーマンスを求められる環境であればHシリーズ、AIや映像部政策、レンダリングといった高い処理能力が求めれる場合はFシリーズがおすすめです。
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A300 | A3000 | H700 | H7000 | F210 | F710 | F910 | |
モデル | アーカイブ | アーカイブ | ハイブリッド | ハイブリッド | オールフラッシュ | オールフラッシュ | オールフラッシュ |
メモリ | 96GB | 96GB | 192GB | 384GB | 128GB | 512GB | 512GB |
オプションI/Oポート (ノードあたり各2ポート) |
Front-End: 2×100GbE(QSFP28) または25GbE (SFP28) x 2 Back-End: InfiniBand接続 x 2、 または100GbE(QSFP28)×2 または25GbE (SFP28) x 2 |
Front-End: 25GbE(SFP28) ×2100 GbE (QSFP28) x 2 または25GbE (SFP28) x 2 Back-End: InfiniBand接続 x 2 または100 GbE (QSFP28) x 2 または25GbE (SFP28) x 2 |
Front-End: 2×100GbE or 25GbE (SFP28) x 2 Back-End: InfiniBand接続 または2 x 100 GbE(QSFP28) または2 x 25GbE(SFP28) |
Front-End: 2×100GbE(QSFP28) または25GbE (SFP28) x 2 Back-End: InfiniBand接続 x 2、 または100GbE(QSFP28)×2 または25GbE (SFP28) x 2 |
Front-End: デュアルポート25G NIC (SFP+/SFP28) Back-End: 10Gまたは25G接続をサポートする デュアル ポート25G NIC (SFP+/SFP28) 40Gまたは100G接続をサポートする デュアル ポート100G NIC (QSFP+/QSFP28) |
Front-End: 10Gまたは25G接続をサポートする デュアル ポート25G NIC (SFP+/SFP28) 40Gまたは100G接続をサポートする デュアル ポート100G NIC またはデュアルポート200G (QSFP56) Back-End: 40Gまたは100G接続をサポートする デュアル ポート100G NIC (QSFP+/SFP28) またはデュアルポート200G (QSFP56) |
Front-End: 10Gまたは25G接続をサポートする デュアル ポート25G NIC (SFP+/SFP28) 40Gまたは100G接続をサポートする デュアル ポート100G NIC Back-End: InfiniBand接続 x 2、 または40Gあるいは100G接続をサポートする デュアル ポート100G NIC (QSFP+/QSFP28) |
Disk Type | 2TB SATA 4TB SATA 8TB SATA 12TB SATA 16TB SATA | 12TB SATA 16TB SATA 20TB SATA | 2TB SATA 4TB SATA 8TB SATA 12TB SATA 16TB SATA 20TB SATA | 12TB SATA 16TB SATA 20TB SATA | 1.92TB SSD 3.84TB SSD 7.68TB SSD 15.36TB SSD | 3.84TB SSD 7.68TB SSD 15.36TB SSD 30.72TB SSD | 3.84TB SSD 7.68TB SSD 15.36TB SSD 30.72TB SSD |
Disk本数 (ノードあたり) | 60 | 80 | 60 | 80 | 4 | 10 | 24 |
搭載容量 (ノードあたり) | 120TB 240TB 480TB 720TB 960TB | 960TB 1280TB 1.6PB | 120TB 240TB 480TB 720TB 960TB 1.2PB | 960TB | 7.7TB 15TB 31TB 61TB | 38TB 77TB 154TB 307TB | 92TB 184TB 368TB 737TB |
PowerScaleのハードウェアは、オールフラッシュモデルのFシリーズとハイブリッド・アーカイブモデルのH・Aシリーズで筐体が大きく異なります。
オールフラッシュノードは1U1台ですが、H・Aシリーズはシャーシモデルとなります。
ハードウェア背面図は現物と仕様が異なる場合がございます。詳細については別途お問合せください。
PowerScaleF210はPowerEdgeベースのハードウェアで1U1台ノードです。 前面にはSSDが4つ搭載されており、インライン重複排除・圧縮に対応しています。
シャーシモデルは4Uのモジュラ型のハードウェアとなっており、シャーシ当たり4ノード搭載できます。ノード当たりにDrive Sledが5つ搭載され、SSDまたはHDDが搭載されます。
背面には4台のコントローラーが搭載されており、電源はノードペア間で冗長化されています。
※増設の際は2ノード単位での増設が必須となります。
iDRACとは、PowerEdgeサーバのリモート管理をするためにハードウェアに組み込まれた管理ツールのことです。 物理的にサーバーにアクセスすることなく、リモートでの設定変更が可能です。 PowerScaleは厳密にはサーバではありませんが、PowerEdgeをベースとしてハードウェアが開発されているためiDRACが搭載されています。
『PowerScaleの基礎概要』と『OneFSの運用基礎』がWEBで受講いただえます。
PowerScaleのライセンス体系は大きく分けて3種類。用途に応じて3つのバンドルライセンスからご選択いただけます。
PowerScaleのライセンス体系は大きく分けて3種類。用途に応じて適切なバンドルライセンスをご選択ください。個別ライセンスをバラで購入することも可能ですが、割高になるため基本的にはバンドルライセンスを推奨します。
機能対応一覧 | バンドルライセンス | 個別 ライセンス | |||
---|---|---|---|---|---|
Enterprise Advanced Bundle | Enterprise Bundle | Base Bundle | |||
性能監視/ ファイルシス テム分析 | InsightIQ | ● | ● | ● | ● |
スナップ ショット | SnapshotIQ | ● | ● | ● | ● |
負荷分散 機能 | SmartConnect Advanced | ● | ● | ● | ● |
クオータ 管理 | SmartQuotas | ● | ● | ― | ● |
レプリケーション | SyncIQ | ● | ― | ― | ● |
自動階層化 | SmartPools | ● | ― | ― | ● |
ポスト プロセス 重複排除 | SmartDedupe *⑴ | ― | ― | ― | ●*⑵ |
データ 改ざん防止 | SmartLock | ― | ― | ― | ●*⑵ |
Enterprise Advanced Bundle | Enterprise Bundle | Base Bundle | |
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おすすめ 用途 | レプリケーションや自動階層機能で PowerScaleの使い方を多様化 | クオータ管理機能でユーザーや ディレクトリ管理を便利に | 基本的なNAS用途での利用に |
PowerScaleの各種ライセンスが動画で分かる!
最大144ノードのクラスタを一元管理できる管理・分析ツール。Web GUIで現在のシステムの状況を簡単かつ多面的に把握。
スナップショットを取得し任意の時点にデータを復元。クラスタへの影響を最小限にし効率的かつ柔軟なスナップショットを取得。
負荷分散機能。ユーザーのアクセス負荷を各ノードに効率的に分散し、システムのパフォーマンスを向上。
ディレクトリやユーザーグループ単位で使用ディスク容量を管理。利用データの閾値はオンラインで簡単に変更。
レプリケーション機能。異なるモデル間の転送にも対応できるため、容量単価を抑えたモデルをデータの複製先に利用することも。
世代やスペックの異なるモデルも1ボリュームで自動階層化。
ポストプロセス重複排除。保存後に重複排除するためシステムへの影響が少ない。
WORM機能。設定期間のデータ改変を防止。悪意のあるデータ変更や削除はもちろん、偶発的なトラブルの抑止にも。
PowerScaleはDell Technologiesストレージの中では比較的ハイエンドよりの製品ですが、それを補って余りある多くのメリットがあります。特にその拡張性と冗長性の高さから、データが年々増え続ける環境、業務停止が許されない環境においてはうってつけです。
下記構成は2025年3月時点の定価です。詳しい金額はお問い合わせください。
PowerScaleではOneFSと呼ばれるOS、クラスタシステムを使用し、ボリュームサイズ制限などを意識せずに容易に管理可能です。またOneFSでは独自保護システム(RAID等ではない)を採用し、ノード(筐体)間でのデータ保護が可能です。
モデル | PowerScaleA300 |
---|---|
参考定価 | ¥159,466,335 |
ディスク | SSD 800GB HDD 2TB ×15 |
ノード数 | 6 |
実行容量 | 125.9TB |
NIC | バックエンド:2×25GbE バックエンドスイッチ:S5232F ×2 フロントエンド:2×25GbE |
ライセンス | Enterprise Advanced Bundle |
保守 | Prosupport Plus4時間ミッションクリティカル 5年 |
PowerScaleのスケールアウトは、PowerScaleであれば異なるモデルを混在して自動階層化も可能です。ただし、各モデルによってクラスタを構成するための最小ノード数は異なります。
初めに複数ノード混在させるときは各モデルごとにクラスタを構成するための最低台数(Fシリーズは3ノード、その他シャーシモデルは4ノード)で構成しておき、増設する場合は1ノード単位で可能。
モデルタイプ | モデル名 | 最小ノード購入数 | 1シャーシあたりの 最大ノード搭載数 | |
---|---|---|---|---|
初期導入時 | 増設時 | |||
オールフラッシュ | F210 | 3 | 1 | 1 |
F710 | 3 | 1 | 1 | |
F910 | 3 | 1 | 1 | |
ハイブリッド | H700 | 4 | 2 | 4 |
H7000 | 4 | 2 | 4 | |
アーカイブ | A300 | 4 | 2 | 4 |
A3000 | 4 | 2 | 4 | |
アクセラレータ | B100/P100 | ― | 1 | 1 |
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性能・容量不足の解消と運用効率化に成功