思い出の現地アクティビティ~最先端 ITの未来を探る~IBM THINK ����では、テクノロジーやビジネスに関するセッション・展示に加え、現地文化に触れる機会もありました。中でもIBM公式アクティビティとして開催されたメジャーリーグ観戦と、ボストン名物・ロブスターロールの名店「リーガル・シーフード」での食事は印象的でした。バターが香るトーストに包まれた肉厚のロブスターは絶品で、港町ならではの味わいと満足感を堪能できました。開催期間 : 2025年5月5日(月)~8日(木)場 所 :米国ボストン・Hynes Convention Center2025年5月、米国ボストンにて「IBM THINK ����」が開催され、世界各国から8,000名以上が参加しました。会場では、生成AI、ハイブリッドクラウド、自動化、セキュリティなど、先端技術の最新動向が紹介されました。本レポートでは、特に「自律的に働くAI(Agentic AI)」に焦点を当て、IBMの技術がどこまで“業務で使える段階”に来ているのかを、4つの視点からわかりやすくお伝えします。Graniteはオープンソースで提供され、オンプレミスを含む柔軟な運用が可能です。これはクラウド専用の他社モデルとは異なる、際立った特徴です。これらのモデルはwatsonx.ai上で動作し、ガバナンスやセキュリティ、データ連携といった機能をセットで提供します。つまり、Graniteとwatsonxは“動くAI”を安全かつ現実的に企業へ導入するための足場となっているのです。AIが自ら判断して行動するためには、実世界の仕組みとつながる必要があります。その橋渡し役として注目されたのが、IBMが買収したHashiCorpと、その代表的なツールである「Terraform」です。 「Terraform」はサーバーやネットワークを“設計図(コード)”として扱う「Infrastructure as Code(IaC)」のツールであり、AIと組み合わせることで、「必要な環境を用意して」という曖昧な指示でも、AIがTerraform経由で仮想マシンを自動構築する、といった一歩先の自動化が現実のものとなりつつあります。ここでも“考えるAI”から“実際に手を動かすAI”への転換が見えてきます。IBMが目指す最終形は、自律的に動くAIを「ビジネスコンポーネント」として組み込むことです。これは、AIが業務を支援するだけでなく、ひとりの従業員のように役割を与えられ、他システムと連携しながら成果を出す存在になるという考え方です。顧客対応や見積作成、請求処理といった定型業務で、AIが自ら判断・実行・報告までを担う――そんな未来を支えるのが、IBM Concertなどの基盤です。AIが“単なるツール”から“ビジネスコンポーネント”へと進化しつつあることを、現地で実感しました。これまでのAIは「これを調べて」と指示すると答えを返す、いわば“指示待ち型”でした。一方、IBMが提唱するAgentic AIは、目的を自分で理解し、必要に応じてツールやデータにアクセスしながら仕事を進める“自律型”のAIです。単なる自動応答ではなく、業務を構成する一員として振る舞う点が大きな違いです。この自律型AIの実現を支える技術として、AIと外部ツールを安全に連携させる共通規格「MCP(Model Context Protocol)」や、業務全体の流れをAIと結びつける「IBM Concert」が紹介されました。例えば、AIが見積書をチェックし、ルールに合わない箇所があれば担当部署に通知する――そんな“実行するAI”の具体的な姿が語られています。IBMは、「AIに仕事をさせる」時代を見据え、AIを単なるツールではなく“ビジネスコンポーネント”として業務に組み込む新たな方向性を示しています。Agentic AIを支える基盤が、IBMの大規模言語モデル「Granite」とAIプラットフォーム「watsonx」です。最新のGranite �.�は、複数の“得意分野”を切り替える仕組み(ハイブリッドMoE : Mixture-of-Experts)を採用し、高速で無駄の少ない推論を実現します。さらに、位置エンコーディングに頼らず長文を扱える「NoPE : No Positional Encoding」により、非常に長い文章も一度に理解します。 IBM製品のご案内は>こちらからIBMが描くAgentic AIとは?Granite �.�/watsonxの特徴 ― AIが「動ける」ようになる土台Terraform+HashiCorpで見える「AIがインフラを扱う」現実性レポート総括:ビジネスコンポーネントという新しいビジョン海野 航技術本部クラウド基盤技術部3課 TechWiz Global Event Report製品紹介お問い合わせ10IBM THINK ����IBMのAIは“自ら考え動く”時代へ開催概要
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