Pure Storage 低価格で10年使えるオールフラッシュストレージの秘密を徹底解説 -
2016年は、ストレージ業界にとって激変の年になりそうだ。
既にその躍進が目立つオールフラッシュだが、ついにHDDストレージとの立場をひっくり返す時が来たようだ。もはやオールフラッシュはパフォーマンスを追い求める特定ユーザだけのものではなくなっており、性能要件ではHDDストレージでも十分にもかかわらず、オールフラッシュストレージを選ぶ企業も出てきているという。その理由はなんと「価格」。HDDストレージと同程度の価格で、より速く、同じ容量でも圧倒的に設置スペースが少ないため消費電力やデータセンターのコストまで下げられる。…となれば、オールフラッシュを選ばない理由はない。
“オールフラッシュ一択”の時代が、やってきている。
オールフラッシュというと「速い、でも高い」のイメージが強かった。SSDの低価格化にともない価格が下がってきたとはいえ、大規模ユーザ向けの製品が中心で、多くの企業にとっては手が届かないものだった。またHDDに比べて「エラーが発生しやすい、書き込み回数に制限がある」ことから長期間データを保管するには向かないと言われてきた。
ところが今年に入って、技術の進化が最後の一線を越えた感がある。 オールフラッシュの最先端を走るPure Storageが、大規模ユーザでなくとも十分手が届くエントリーモデルとして「Pure Storage //m10」をリリース。圧縮最大考慮時13.74TBの容量(物理容量5TB:データ削減効果5倍の場合)を持つ本製品を、ネットワールドでは349万円という価格で提供するという※。
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では続いて、その品質・信頼性を裏付ける、Pure Storageならではの“実装”を見ていこう。
※税別、キャンペーン価格。2016年12月28日まで
上でも述べた通り、フラッシュはHDDと比べ、エラーが発生しやすい、書き込み回数制限がある点が弱点とされてきた。各メーカー、重複排除や圧縮技術によりこの点を覆すべく、品質向上に取り組んできたが、ここで大きくリードしているのがPure Storageだ。
Pure Storage最大の特長であり、ほかのオールフラッシュと大きく異なるのがストレージOS「Purity」。他メーカーのオールフラッシュでは、ビットエラー補正やデータ保護の仕組みはSSDメーカーが提供する機能に依存するケースが通常だが、Pure Storageでは「SSDの信頼性には限界がある」ことを前提に、すべてをPurityでカバーしている。複数のSSDをまとめて管理することで、1つのSSDでエラーが発生できてもほかのSSDでカバーできるなど、リスク分散が可能に。独自の技術で信頼性・品質を高めることに成功しているのだ。
ストレージ全般で欠かせないデータ保護の技術と言えば、RAID。もちろん一般的なオールフラッシュでもRAIDを構成するが、それらはあくまでもディスクを保護する技術にすぎない。
それに対してPure Storageでは「RAID 3D」という技術を独自に開発。ディスク保護に加えて、フラッシュの保護を行う。ディスクに対してRAID 6を構成した上で、SSD(NAND)の世界でもパリティページを設け、データ補正の仕組みを実現した。
「オールフラッシュはNANDだから品質が悪い」と言われるが、実際何が起きるかというと、使い続けるうちにビットエラーが発生するようになる。ビットエラー補正自体はSSD(NAND)に組み込まれているのだが、数が増えると補正が追い付かなくなりSSD障害になる、というワケだ。このNAND内のビットエラーまでPurityが補正を行うことで、NAND自体を強化するのが「RAID 3D」。まさにフラッシュに特化した、フラッシュのための機能である。
書き込み回数によるSSDの“寿命”に対応するのが重複排除と圧縮だが、ここでもPure Storageの技術は群を抜いている。その理由は「512バイトという圧倒的に小さな単位でブロック管理をしている」から。ほかのオールフラッシュの重複排除の単位は4/8/16KBなどと大きいが、Pure Storageは512バイトという極めて小さい単位で管理するため、重複データが多くなり、効率も高くなる。その結果、データ削減効果も業界トップクラスだ。仮想環境であれば、最低でも約5倍のデータ削減効果が期待できるという。
更にインラインで重複排除と圧縮の両方を行う上、1度データを格納した後も異なるロジックで重複排除・圧縮をかけ続ける。こうしてSSDへの書き込みを徹底的に削減し、寿命を延ばしているのだ。ちなみにPure Storageでは1ミリ秒以下のレスポンスタイムを基準とし、重複排除や圧縮を行っても性能は劣化しないというから、スゴイの一言に尽きる。
ストレージの性能として基準になるIOPSだが、カタログスペックだけを参考にしてはいけない。
多くのストレージは、ストレージOSがデータを4KB、8KBなどの固定の長さで処理しているが、ホストからの書き込み用ブロックサイズは必ずしも一定とは限らない。しかも仮想化によりワークロードが混在し、ますますブロックサイズの変化は大きくなっている。例えば、3KBのデータが書き込まれるとIOを分割して処理するためホストからの1つのIOに対して倍のIOが発生。逆に大きいサイズのデータが書き込まれると、何回もIOを繰り返さなければならなくなる。カタログスペックは該当するストレージのブロックサイズにあわせた場合の最大値であり、ブロックサイズが大きくなると急速にパフォーマンスが出なくなるケースも珍しくない。
一方、Pure Storageはホストからの書き込みを512バイト~32KBの可変長で受けるため、無駄なIOが発生しない。つまりホスト側のブロックサイズが変わってもパフォーマンスがあまり落ちない、ということ。実ワークロードでは20KB以上のブロックサイズが多く、Pure Storageでは32KBでの性能を指標と考えている。最も実用的なところを目指して、性能を最大化すべく調整しているのだ。
Pure Storageの保守サポートも印象が強い。3年ごとに無償でコントローラを提供するForever Flashのプログラムに、驚いた方も多いだろう。しかも、保守費用が年々上がっていくことはなく、ずっと一定料金で使える「フラット&フェア」も謳っており、思わず「本当に大丈夫なのか」と聞きたくなるほどだ。
この大きな裏付けとなっているのが、Purityで管理することで異なる種類のSSDが混在できるという特長だ。例えば、今年Pure Storageを購入したとする。来年、容量の大きな新SSDが登場したとしても混在させて利用できる、ということ。更にはマザーボードの交換だけで上位機種にアップグレードでき、コントローラ交換やマザーボード交換も無停止・性能劣化なしで実現できる、と至れり尽くせり。
こういったサポートプログラムにより、1度購入すれば10年以上使い続けられる…と言われているが、すべてはここまで紹介してきた技術的な裏づけがあってのことなのだ。
Pure Storageは何を目指しているのか、その戦略をピュア・ストレージ・ジャパン株式会社 システムズエンジニア 岩本 知博氏に話を聞いた。
「大容量化が注目されるSSDですが、Pure Storageは単なる容量ではなくGB単価を追求しています。他メーカーはエンタープライズ向けSSDの中でどれを使うかと話していますが、コンシューマ向けとエンタープライズ向けではGB単価に大きな差があります。そんな中、Pure StorageはGB単価に優れるコンシューマ向けSSDを採用していますが、高い性能と耐久性を引き出せるのはPurityの徹底的な管理があるからです。
SSDメーカーの東芝とも密に連携し、調整を行っていますが、これも現時点で最もGB単価が安くなると考えての選択。結果、GB単価でSAS HDDを下回るレベルを実現しました。SAS HDDは今後、大幅な容量増加は難しいですし、ストレージ市場を完全にSSDにシフトさせたいというのがPure Storageの狙いです」
「やはりフラッシュのことだけを考えているメーカーは強い」と話すのは株式会社ネットワールド ストラテジック プロダクツ営業部 課長 高田 悟氏。
「RAID 3DなどもHDDでは不要な技術です。それに注力できるのはフラッシュ専業メーカーだからこそと言えるでしょう。
オールフラッシュではPoCのご要望が多く、ネットワールドではプレインテグレーションセンターを新設し、対応しています。Pure Storageの性能評価のほか、VDI 100~1000ユーザの評価環境を構築し、レポートなどを提供しています。もちろんPure Storageの検証機貸出やサポートも実施していますので、まずはご相談いただければと思います」