新潟県を中心に事業を展開する株式会社BSNアイネット様(以下、BSNアイネット)では、顧客企業のBCP対策を支援すべく、クラウド基盤を活用したDRサービスを新たに開始しました。この新サービスでは、パートナー企業のデータセンターと相互連携を行うことで、万一の際にも確実な事業継続を実現します。サービス開発の過程では、複数センター間での効率的なレプリケーションや信頼性・安定性の確保、DRサイトへの迅速な切り替えなどをどう実現するかが課題となりました。そこで同社では、ネットワールドが提供するF5Networks社製アプリケーション・デリバリー・コントローラ「BIG-IP」シリーズを採用。
多彩な機能をフル活用することで、先進的なDRサービスの実現に役立てています。

プロジェクトメンバー

株式会社BSNアイネット 廣井 智雄 氏

株式会社BSNアイネット
事業推進部
マネジャー

廣井 智雄 氏

株式会社BSNアイネット 坂田 源彦 氏

株式会社BSNアイネット
システム技術部
シニアチーフ

坂田 源彦 氏

株式会社BSNアイネット

所在地 : 新潟県新潟市中央区米山2-5-1
開 設 : 1966年4月1日
U R L : http://www.bsnnet.co.jp/
大学概要 : 新潟県を中心にビジネスを展開するシステムインテグレータ。公共分野・保健福祉分野・医療分野・産業分野の4領域を中心に、高品質なITソリューションをトータルに提供。近年では自社データセンターを基盤とするクラウドソリューションも展開している。

クラウドサービスに災害対策のメニューを追加

新潟市に本社を置くBSNアイネットは、創業以来40年以上にわたり上信越地域の情報化を支えてきたIT企業である。同社 事業推進部の廣井 智雄マネジャーは「事前の企画・提案からシステム構築、導入後の運用に至るまで、トータルなソリューションをご提供できるのが当社の強み。お客様のビジネスに貢献すべく、フルラインのサービスを取り揃えています」と説明する。特に、公共・医療分野では全国規模の導入実績を誇っており、国内各地の自治体や病院などで同社のソリューションが活用されているとのことだ。 
こうした同社の活動を支えているのが、新潟県内2ヶ所に設置されているデータセンターである。「地域のiDC事業者で、複数センターを稼働させている企業は国内でもそう多くありません。現在ではアウトソーシング事業などに加えて、このインフラと仮想化技術を活かしたクラウドサービス『iNET IMAGE BANK』もご提供しています」と廣井氏は語る。さらに2012年3月、同社ではこのクラウドサービスのオプションとして、大規模自然災害などに対応するための「災害対策サービス」を新たに追加した。

遠隔地サイトでシステムを保全業務復旧のスピードも追求

同社が災害対策サービスを提供するきっかけとなったのが、3.11に発生した東日本大震災である。「当社センターでもファシリティの拡充には力を注いでおり、高い耐震性や安全性を確保しています。しかし東日本大震災では、原発事故による電力供給の問題が大きな懸念事項になりました。こうした社会基盤そのものが被害を受けてしまうと、いくらセンター側の対応が十分でもお客様のビジネスを守れません。そこで、県外の事業者と手を組み、相互にBCP対策が行える環境を作りたいと考えたのです」と廣井氏は振り返る。 
実際に今回のサービスでは、北陸地方のデータセンター事業者とパートナーシップを結び、二つのセンター間で定期的なレプリケーションを行っている。万一、県内全域に及ぶような広域被害が発生したとしても、相手方のセンターで業務を再開することができるのだ。同社システム技術部の坂田 源彦シニアチーフは「二つのセンター間は直線距離で約200km離れている上に、我々は東北電力、先方は北陸電力と電力会社も異なります。広域災害に備えるためのサービスですから、こうした点は非常に重要です」と語る。 
磁気テープの遠隔地保管による災害対策などは以前から行われているが、こうした方法では有事の際にちゃんとシステムがリストアできるか不安な面もあった。その点、今回のサービスはクラウド基盤をベースとしているため、確実な業務復旧を実現することが可能だ。 
さらに、今回のサービスにおいて、同社が強くこだわったのが業務を再開するまでのスピードである。「システム環境を確実にリカバリすることはもちろん大事ですが、BCPは現場のユーザの方々がサービスを利用できるようになって、初めて実現できたと言えます。そこでDRサイト側への切り替えを、できる限り迅速かつスムーズに行うことに力を注ぎました」と坂田氏は語る。そのために採用されたのが、ネットワールドが提供するF5 Networks社製アプリケーション・デリバリー・コントローラ「BIG-IP」シリーズである。

クラウド基盤連携サービス概要図(2012年3月5日サービス開始)

DRサイトへの切り替えをBIG-IP GTMで実現

BIG-IPシリーズには様々な製品がラインナップされているが、今回導入されたのは「BIG-IPGlobal Traffic Manager」(GTM)、「BIG-IPLocal Traffic Manager」(LTM)、「BIG-IPWAN Optimization Module」(WOM)の3製品だ。GTMは災害/障害発生時におけるDRサイトへの切り替えを、LTMはサイト内のロードバランシングやヘルスチェックを、WOMはセンター間レプリケーションの高速化をそれぞれ担っている。 
この中で特にポイントとなっているのが、GTMが提供する機能である。先にも触れた通り、BCPを実現するためには、ユーザに対してDRサイト側からサービスを提供する必要がある。そのためには、DNSの設定をできるだけ速やかに変更しなくてはならない。しかし、センター切り替えの決断が迫られるような状況下では、現場に相当な混乱が生じていることも想定される。こうした中、手作業でDNSの修正を行うのは非常にリスクが高い。意外と見落とされがちだが、迅速・確実な災害対策を実現する上では、こうしたネットワークへの目配りも非常に重要なポイントなのだ。 
「その点、ネットワーク上にGTMを配置しておけば、DRサイト側への切り替えにわざわざ人手を介する必要がありません。ユーザもシステムの場所を特に意識することなく、今までと同じURLでそのままアクセスできます」と坂田氏。同社が目指す迅速な業務再開を実現する上で、GTMは極めて重要な意味を持つプロダクトだったと続ける。もちろん、LTMとWOMも大きな役割を果たしている。顧客企業のビジネスを支えるシステムである以上、信頼性・可用性の確保は絶対の条件。LTMを活用すれば、ユーザに対して常に安定的なサービスを提供できる。また、WOMもシステムのレプリケーションを効率化する上で絶大な威力を発揮。坂田氏は「事前にストレージ側で重複排除などの処理を行っているにも関わらず、サイト間の転送データ容量を最大1/3程度に削減できています」と説明する。

提携事業者をさらに拡大 全国規模のサービスを目指す

今回のサービスでは、GTM、LTM、WOMをハードウェアアプライアンスではなく仮想アプライアンスで導入している点も注目される。坂田氏はその理由を「クラウドサービスでは、元々VMwareによる高信頼・高可用性基盤をインフラとして採用していますので、この上に仮想アプライアンスで載せた方が耐障害性が高まると考えました。幸いBIG-IPは、全ての機能を仮想アプライアンスで提供していますから、この製品はハードウェア、この製品は仮想というように環境がバラバラになる心配もありません。運用管理の一元化を図る上でも、仮想アプライアンスで統一した方がメリットが大きいと判断しました」と語る。 
パートナーであるネットワールドに対しても、高い評価が寄せられている。「サービスの基本的な設計は当社内で行っていますが、BIG-IPの構成などについてアドバイスをもらえたのは助かりました。ユニークな新製品をいち早く見つけてくるのがネットワールドの良さですから、今後もいろいろな製品の情報を提供してもらえれば」と坂田氏は期待を語る。 
DRサービスに対する顧客企業の関心も非常に高く、既に多くの問い合わせが寄せられているとのこと。廣井氏は「本サービスをご導入頂ければ、自前で多額のコストを掛けることなく、災害対策用の環境を構築できます。多くのお客様にご利用頂けるよう、当社としても積極的にアピールしていきたい」と意気込みを語る。 
さらに将来的には、提携先のデータセンターもどんどん拡大していく構えだ。「日本国内には10の電力事業者がありますから、できればすべてのエリアの事業者と手を組んで災害対策サービスの規模を拡げていきたい。それによって、お客様のビジネスを守る取り組みをしっかりとご支援していきたいですね」と廣井氏。BIG-IPシリーズが活用される場面も、さらに増えていくことになりそうだ。

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