成田国際空港株式会社グループのIT企業である空港情報通信株式会社様(以下、AICS)では、同社が提供する各種空港業務を支えるIT基盤の一部に対し、プライベートクラウド化を実施しました。従来は個別の物理サーバで構築されていた業務システム群を仮想環境へ集約し、ユーザニーズへの即応や新サービスの迅速な立ち上げを実現するのが狙いです。空港業務は24時間・365日止まらないだけに、新システムには極めて高い信頼性とパフォーマンスが要求されました。そこで新たに選ばれたのが、ネットワールドが提供するユニファイド・ストレージ「EMC VNX」と、サーバ仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」です。同社では今回構築したクラウド環境を積極的に活用し、IaaSソリューションなどの新たなビジネスも展開していく構えです。

プロジェクトメンバー

堀越 邦也 氏

空港情報通信株式会社
営業部 システムインテグレイト課
課長

堀越 邦也 氏

津藤 忍 氏

空港情報通信株式会社
営業部 システムインテグレイト課
係長

津藤 忍 氏

高橋 照彦 氏

空港情報通信株式会社
営業部 システムインテグレイト課
係長

高橋 照彦 氏

空港情報通信株式会社

所在地 : 千葉県成田市古込字古込1-1
開 設 : 1989年3月1日
資本金 : 1億5000万円
売上高 : 33億7900万円(2011年3月期)
従業員数 : 179名
U R L : http://www.aics.co.jp/
概  要 : 成田国際空港株式会社グループの一員として、円滑な空港運営をIT面から支える。総合情報通信ネットワークやフライトインフォメーションシステムなどの保守・運用を手がけるほか、SI事業、デジタルコンテンツソリューションなど、幅広い分野でビジネスを展開している。

24時間・365日止まらない空港業務をITで支える

日本の空の玄関口として、世界中に広く知られる成田国際空港。一日あたり平均500便の航空機が発着し、約7万7000人の旅客と5,200トンもの貨物が行き来する(2011実績)。まさに日本の観光・経済の発展を担う最重要施設の一つと言えるだろう。そのグループ企業として、円滑な空港運営をITの側面から支えているのがAICSだ。
AICS 営業部 システムインテグレイト課 課長の堀越 邦也氏は「当社は空港内ネットワーク基盤の保守・運用を担当する企業として平成元年に発足。総合情報通信ネットワークやフライトインフォメーションシステム、航空機運航情報管理システムなど、空港の重要なシステム群を24時間・365日にわたって稼働させています。また我々が所属する部門では、空港に入居している企業に対するソリューション提供やソフトウェア開発事業、ISP事業などを行っています」と語る。
「当社のお客様の中には、空港内の拠点においても、本社オフィスと同等の業務機能を望む企業が少なく有りません。我々としても、こうした要望に高いレベルで応えられるよう全力を尽くしています。」と語るのは、AICS 営業部 システムインテグレイト課 係長 高橋 照彦氏。同 係長 津藤 忍氏も「私のチームでは、Webサイトやサイネージなどのデジタルコンテンツ開発を担当していますが、お客様の情報戦略やマーケティング活動に貢献できるよう、常に最新のインターネット技術の導入・活用に取り組んでいます」と続ける。

システム基盤のクラウド化を目指し「VNX」と「VMware」を採用

このように多面的な活動を展開する同社だが、2011年初頭より一つの新たなプロジェクトに着手した。それは、グループ企業や顧客企業の業務システムを支えるIT基盤のクラウド化である。堀越氏はその背景について「従来は保守・サポート期限切れなどのタイミングでサーバ更新を実施してきましたが、それなりの手間が掛かる割にはシステムとしての進歩が少ない。どうせ費用を掛けてインフラを刷新するのなら、これからの時代に対応できる新たな基盤を作るべきと考えました」と語る。
個別の物理サーバで稼働していたシステム群をクラウド上に集約すれば、システムの柔軟性は飛躍的に向上。今までは難しかったようなサービスも容易に提供できるようになる。高橋氏も「中小規模のお客様では専任のIT管理者が居ないケースも多く、バックアップ運用などでお困りという声をしばしば耳にします。クラウド環境を構築すれば、こうしたニーズにお応えできるサービスなども企画できます」と語る。
もっとも、既存のシステム群をクラウド化することに対し、全く懸念がなかったわけではない。空港業務に関わるシステムである以上、物理システムと同等以上の信頼性・可用性を確保できることが絶対条件。また、性能面についても、充分な余裕を持つことが求められた。
「特にインターネット系のサービスでは、予期せぬトラフィック増大などへの対応が重要課題になっています。大量のアクセスが集中したような場合でも、きちんとサービスを継続できることが大前提でした」と津藤氏は振り返る。
こうしたニーズを満たせる製品として選ばれたのが、ネットワールドが提供するユニファイド・ストレージ「EMC VNX」と、サーバ仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」である。「以前は重要なシステムについてはクラスタリングで対応するのみでしたが、HAやDRS、vMotionなどの高信頼機能を使用し、状況によってはクラスタリングも併用することで、より安定性の高い柔軟なシステム環境を実現できます。」と堀越氏。津藤氏も「仮想サーバのテンプレートを用意しておけば、新たにサーバが必要になった際の対応も迅速に行えます。これも大きなメリットでしたね」と語る。

空港情報通信株式会社 構成図

「FAST」機能で高い処理能力を実現重要データの保護にも万全を期す

クラウド環境では大量のシステムが稼働するだけに、ストレージの選定にあたっては処理能力の高さが重要な要件となった。ここでポイントとなったのが、VNXの特長である2つの機能「FAST VP」と「FAST Cache」である。
これらの機能は、ストレージに搭載されたフラッシュドライブを活用して性能・容量・コストの最適化を図るというもの。FAST VPは、アクセス状況に応じてデータをフラッシュドライブ・SASディスク・NL-SASディスクのいずれかに自動再配置。さらにシンプロビジョニング機能と組み合わせることで、ストレージリソースの最適活用を実現する。また、FAST Cacheは、フラッシュドライブをインテリジェントキャッシュとして利用することで、I/O処理の高速化を低コストで実現する。
「今回の基盤には、今後負荷の重いアプリケーションが稼動してくることも予想されますので、FAST VPやFAST Cacheのような機能が用意されているのは非常に魅力的でしたね」と堀越氏は語る。実際に今回導入されたシステムでも、フラッシュドライブの割合を高くする、10Gbpsのインターフェースを採用するなど、性能優先の設計が施されている。
また、VNX採用のもう一つの大きなポイントとなったのが、信頼性・可用性の高さである。津藤氏は「システムを集約するということは、万一の際のリスクが高まるということでもあります。機器そのものの耐障害性はもちろん、しっかりとしたデータ保護の仕組みも用意されている製品を選びたかった」と語る。その点VNXは、こうした同社の要求を高いレベルで満たしていた。
「VNXはコントローラをはじめとする主要部品が全て二重化されている上に、データレプリケーションやDRなどのソリューションも充実しています。重要なクラウド基盤を支えるのにピッタリなストレージだと思いましたね」(高橋氏)。
今回構築されたシステムでも、2台のVNXを導入して本番環境データの継続的なレプリケーションを実施。以前は日次で夜間バックアップを行っていたため、最短でも前日の状態にしか戻せなかったが、現在では直前の状態に戻すことが可能だ。堀越氏は「バックアップ側への切り替え訓練なども実施し、手間も時間もそれほど掛からないことが確認できています。万一の際にも確実に業務が継続できるというのは、大きな安心につながります」と語る。

クラウド基盤を活かしたIaaSビジネスも視野に

製品選定の際には、他社ストレージもいくつか候補に挙がっていたという。しかしVNXには、それらの製品にないアドバンテージがあった。それは様々なストレージプロトコルに対応できるユニファイド・ストレージであるという点だ。「最初はiSCSI対応の製品で探していたのですが、クラウド環境の要件を詰める中で他のプロトコルも使いたいという話が出てきました。VNXなら、こうしたニーズにも柔軟に対応できます」と堀越氏は語る。
今回の構築を支援したネットワールドに対しても、高い評価が寄せられている。「クラウド環境では仮想化基盤、サーバ、ストレージが密接に関わり合うので、複数のベンダーで構築するとトラブル時の調整などが大変です。その点、ネットワールドは幅広いソリューションを取り扱っていますから、こうした問題で悩まされる心配がありません。また、ユーザーの立場に立った提案を行ってくれる上に、エンジニアの技術レベルも高いので信頼してシステムを任せられます」(堀越氏)。
同社では今回構築したクラウド基盤を、今後に向けた新たなビジネスにも活用していく予定である。「当社のお客様からは、既存システムの移行だけでなく、IaaS的な新サービスの提供を望む声も増えています。当社としてもこれに応えるべく、現在サービスメニューの検討を進めているところです。今後もお客様に喜ばれる安全なサービスをご提供していきたいですね」と意気込みを語る堀越氏。VNXとVMwareが活用される場面も、ますます増えていきそうだ。

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