医療用医薬品の営業形態は、他の業界とは少し異なる面がある。社員の主な役目は病院や調剤薬局から受注を取ることではなく、自社の医薬品に関する情報提供だ。営業ではなく「MR(Medical Representative:医薬品情報担当者)」と呼ばれるのはこのためである。持田製薬 情報システム部 情報企画 主事 志波 俊雄氏は「MRの活動を情報面で支援することが、情報システム部門の重要なミッションです。情報化に対する要求は年々高度になっていますが、これにしっかりと応えるべく、IT環境の整備に取り組んでいます」と語る。
業務にITを活用する上では、新規システムの開発だけでなく、既存システムの安定運用も重要な課題となる。そこで同社では、2005年初頭より業務システムの統合プロジェクトに着手した。志波氏はその背景を「長年使い続けている業務システムの中には、サーバの老朽化が目立つものも現れてきました。今後も安定的なサービスを提供していくためには、こうした古いサーバ群を新しいプラットフォームへと移行させる必要があったのです」と説明する。
各システムが導入された当時と比較すれば、サーバ製品のパフォーマンスも格段に向上している。複数のシステムを統合しても、性能問題が起きる心配はあまりない。その上、サーバ台数が減ることによるコスト削減効果も見込めるというわけだ。
システム統合を行う上ではいくつかのアプローチが考えられるが、同社が選んだのは「VMware ESX Server」(以下VMware)による仮想統合であった。「業務システムの中には、Windows NT 4.0 Serverなど、古いOS上で稼動しているものも少なくありません。最新のサーバ製品では、こうしたシステムがうまく動かない可能性も考えられます。その点VMwareによる仮想統合なら、既存の環境に手を加えることなく、そのまま移行することができます」と志波氏は説明する。
もっとも、仮想サーバ環境を導入するのは、同社としても今回が初の試みである。そこで2005年夏よりテスト環境を構築して検証を開始。問題がないことを確認した上で、2006年4月より本格的なシステム統合を実施した。