|
最先端PET検診システムの安定稼動を支える「Equalizer」。
|
 ●浜松ホトニクス株式会社/浜松光医学財団
いつまでも健康で元気に暮らしていくためには、病気の早期発見・早期治療が欠かせません。光技術の先端企業として知られる浜松ホトニクス株式会社(以下浜松ホトニクス)では、財団法人浜松光医学財団(以下浜松光医学財団)を設立。ガンで死なない、痴呆で寝たきりにならない社会を目指して、「浜松PET検診センター」を開設しました。検診業務では大量の画像データを扱うため、高性能かつ信頼性の高いシステムが求められます。そこで同センターでは、ネットワールドが提供するロードバランサ「Equalizer」を導入。先進的な検診業務の実現に役立てています。
|
|
日本人の死亡原因の約60%は、ガン・心疾患・脳疾患のいわゆる「三大疾病」で占められている。これらの疾病は患者本人の健康や社会生活に深刻な影響をもたらす上、入院や手術など多くの経済的負担も招くことになる。最近では万一に備えるための保険商品なども増えているが、一番重要なことは病気を早い段階で発見し、治療を行うことである。そのためには高度な能力を備えた検診施設の存在が不可欠だ。 こうした状況を背景に、静岡県・浜北市に開設されたのが「浜松PET検診センター」である。同センターの運営を行う浜松光医学財団の母体となったのは、光電子増倍管や光センサーのリーディング・カンパニーとして知られる浜松ホトニクス。同センター事務局長も兼任する浜松ホトニクス 取締役 企画営業部長 高下 信行氏は、設立の背景を「当社では健康を大きな事業テーマとして掲げており、得意分野である光技術を活用して医療に貢献したいと考えていました。しかし株式会社組織のままでは医療行為を伴う活動が困難なため、医師、看護師、技師などの医療スタッフも招いて浜松光医学財団を設立したのです」と説明する。
|
|
同センターの最大の特徴は、その名称にもある通りPET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影法)による検診を行う点にある。この検診法では陽電子(ポジトロン)を放出するラジオアイソトープで標識された薬剤を体内に投与し、その分布を検出することで血流や代謝などの情報を調べる。
|
たとえばガン検診の場合を例に取ると、ガン細胞には正常な細胞に比べてブドウ糖をより多く代謝するという性質がある。そこで体内に標識されたブドウ糖を投与し、その代謝状況を調べることでガンを発見するのである。
浜松PET検診センター 理事 浜松検診センター院長 西澤 貞彦氏は「体内の断層撮影を行う装置としてはX線やCTスキャンが知られていますが、これらは病変部の形や位置といった解剖学的な情報を得るもので、対象物があまりに小さいと見逃してしまう可能性もあります。しかしPETなら、解剖学的な変化が現れる前の段階で異常を発見することも可能。この両者を組み合わせることで、より精度の高い検診が実現できるのです」と語る。
もっともここで問題となるのが、断層撮影される画像の量である。浜松PET検診センター 事務次長 応用研究開発担当 岡田 裕之氏は「被験者様一人あたりに撮影する画像の枚数は、PETだけで約1000枚。X線やCTスキャンも含めると、全部で2000枚にも達します。これだけの枚数をいちいちフィルムで見てはいられませんから、検診システムはすべての情報をフィルムレスで、しかも高速に見られるものでなくてはなりませんでした」と語る。実は検診業務を開始するにあたり、大きな課題となったのがこの検診システムの構築だったのである。
|
|
現在市販されている画像システムの多くは、記憶装置にDVDや光ディスクなどのディスク媒体を併用する。このため必要なデータがシステム上に展開されていない場合は、いちいちチェンジャーなどを利用してディスクメディアから読み込まなければならないという問題があった。
こうした欠点をカバーするために、あらかじめ必要になることが分かっているデータを前日に読み込んでおくなど、運用面でカバーしている医療施設も少なくない。しかし当然のことながら、特定の患者のデータが急に必要になった場合などは対応できない。今回の検診システムでは、こうした従来の画像システムの問題を解消し、常にリアルタイムなデータアクセスが行えることが求められた。
この課題に立ち向かったのが、同センターのITパートナーであるエルシステムズ株式会社である。エルシステムズ 代表取締役社長 山竹 聰氏は、「一般的な光ディスク媒体を使用するシステムで、今回の要件を満すのは困難です。
|
そこで論理的に単一な大規模ストレージ空間を用意し、各システムからフラットなアクセスが行えるアーキテクチャを新たに考案しました」と説明する。「ドラム缶ストレージ」と名付けられたこのアーキテクチャでは、全データを常時ハードディスク上に展開する。このためユーザーは、いつでも必要なデータにアクセスすることが可能だ。
もっともハイエンドのSANやNASのような大型ストレージ装置を用いたのでは、構築コストがあまりにも高額になってしまう。そこで今回のシステムでは大容量ハードディスクを搭載した複数のPCサーバとロードバランサを組み合わせ、全体が一つのストレージ空間として見えるようにした。
ここで採用されたのが、ネットワールドが提供するロードバランサ「Equalizer」である。山竹氏は製品選択の理由を「Equalizerはコストパフォーマンスに優れており、システムコストを抑える上で大きな効果を発揮してくれます。医療システムにおいては高度な信頼性・可用性も求められますが、この点でも十分と判断しました」と語る。
|
|
今回構築されたPET検診システムでは、2台のEqualizerと10台のPCサーバを使用して、大規模ストレージ空間を実現している。システムは完全に冗長化されているため、ハードウェア障害などが発生した場合も、業務が止まってしまう心配はまったくない。ディスク交換などのメンテナンスも、システムを停止させずに行うことが可能だ。
|
しかも記憶媒体にハードディスクを使用するため、懸案であったリアルタイムなデータアクセスも実現できた。医師や技師はテラバイト級のデータ空間の中から、必要な患者のデータを瞬時に引き出すことが可能。Equalizerを利用した大規模ストレージ空間によって、検診業務が大きく進歩することとなったのだ。
取材時点ではまだ試験運用中であった同センターだが、2004年からは一般向けの検診業務も開始される予定である。「将来的には地域の医療機関や大学などとも連携し、検診データをオンラインでやりとりできるようにしていきたい。また単独では高価な機器を導入するのが難しい小規模な医療機関の業務をこちらでアウトソーシングすることも考えています。こうした活動が地域医療の発展につながれば、我々としても非常に嬉しいですね」と抱負を語る高下氏。市民の健康を守る最先端の検診業務を、これからもEqualizerが支えていくのである。
|
|
|
浜松ホトニクス株式会社
設立:1953年9月29日
資本金:157億万円
従業員数:2,130名(平成15年3月末現在)
売上高:505億8千3百万円(平成14年9月期)
URL:http://www.hamamatsu.com
事業概要:高度な光技術を活かし、光電子増倍管・光半導体素子・医療機器・ 半導体レーザ・デジタル光無線システムなどの製造を手がける。
同社の光電子増倍管はニュートリノ研究施設「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」に採用され、ノーベル賞研究を支えたことでも有名。
|
財団法人浜松光医学財団
設立:2002年9月19日
基本財産:1億円
URL:http://www.hamamatsu.com
事業概要:光技術を応用した検査により、癌疾患・脳疾患・心臓疾患などの早期発見・早期治療を目指して2002年に設立。
|
|