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2009年8月3日
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人口70万人弱の都市である熊本市は知る人ぞ知る病院密集地域です。その中のひとつである済生会熊本病院は、病気になりはじめた症状の重い時期の治療を行う急性期医療を専門とする病院として1935年9月に開設されました。最大の特徴は、「患者さんに分かりやすい医療情報の提供」を目的に医療を標準化し、入院から退院までに行なわれる検査や治療といった情報をスケジュール化する「クリニカルパス」と呼ばれる活動を1996年より推進していること。済生会熊本病院では医療現場のより一層の効率化とセキュリティ強化を目的にネットワールドが提供する「Citrix XenApp」を採用しました。
社会福祉法人恩賜財団
済生会熊本病院
医療情報システム室
室長
松下 龍之介 氏
社会福祉法人恩賜財団
済生会熊本病院
医療情報システム室
遠藤 泰史 氏
株式会社ブレス
岩永 俊保 氏
株式会社ブレス
システムソリューション部
マネージャー
松尾 健司 氏
社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院
| 所 在 地 : | 熊本県熊本市 |
|---|---|
| 開 設 : | 1935年9月16日 |
| 管 理 者 : | 院長 副島 秀久 |
| 許可病床数 : | 400床(うち169床個室) |
| 事業概要 : | 「やさしさとぬくもりのある質の高い医療を患者さんへ」という理念に基づき、専門の救急医療チームによる2 4 時間の対応や臓器別専門診療体制による最新、最良の高度医療、患者主体の連携医療による地域医療の支援などに取り組んでいる。 |
株式会社ブレス
| 本 社 : | 熊本県熊本市 |
|---|---|
| 設 立 : | 1995年9月 |
| URL : | http://www.bress.co.jp/site/view/index.jsp |
| 事業内容 : | ネットワーク構築(ネットワークシステムの設計・施工・設置・調整・保守)、マネージメント・サービス(技術サポートのアウトソージング、マネージド・ホスティング、ネットワーク監視、サーバ監視) |
社会福祉法人 恩賜財団済生会熊本病院(以下、済生会熊本病院)では、専門の医療チームが24時間体制で迅速に対応する「救急医療」、臓器別の専門診療体制により最新かつ最良の医療を提供する「高度医療」、患者主体の連携医療により地域医療を支援し、健康増進を目指す「地域医療と予防医学」、医療の知識と技術を高めるための環境を整え、地域に必要とされる医師を育てる「医療人の育成」の4つの基本方針により、「やさしさとぬくもりのある質の高い医療を患者さんへ」という理念に基づいて医療を通じた地域社会への貢献を目指している。
この理念を実現するにあたり済生会熊本病院では、2000年より医療情報システム室を開設。クリニカルパスを具現化するためのITシステム構築を推進して きた。その取り組みのひとつとして2007年に、サン・マイクロシステムズの「Sun Rayウルトラ・シンクライアント(以下、Sun Ray)」を導入した。Sun Rayを導入した目的は、堅牢なセキュリティに基づいて業務を効率化するためだ。たとえばPCを使用したシステムでは、ログイン/ログアウトに時間がかか るため、利用者がPCを立ち上げたまま離席してしまうというセキュリティ上の課題があった。しかしSun Rayであれば、ICカードを抜けば画面が消え、差し込めば元の状態に戻るので、業務効率を低下させずにセキュリティを強化できる。これにより、当初の目 的は実現することができた。
済生会熊本病院では、70種類以上の医療アプリケーションを使用しており、最終的にはすべてのアプリケーションをSun Ray上で使用することを目指していた。Sun RayでWindowsアプリケーションを使用するためには、Sun RayServerの上にWindows Terminal Server(WTS)を導入し、その上で動作させることが必要になる。しかし、医療用のアプリケーションは、特殊な環境で開発されたものも多く、WTS 上で動かすことが考慮されてないためうまく動作しないものがあるという課題を抱えていた。また、クライアント端末をいかに効率的に運用管理するかというこ とも解決すべき課題のひとつだった。
医療情報システム室 室長、松下 龍之介氏は、「病院内で利用されている医療用の業務アプリケーションは、700台以上のPCやSun Ray端末などからアクセスされています。そのため設置場所や利用者ごとに使用するアプリケーションやプリンタ、アクセス権限などを個別に設定しなければ ならず、運用管理が非常に面倒でした」と語る。
「セキュリティ面においても、Sun Ray配下のアプリケーションに関しては一定のルールを確立できていましたが、たとえば大学から派遣されるドクターなどは自分のPCを持ち込んで学会発表資料作成や文書作成することもあり、誤ってデータを持ち出してしまう危険性も否定できません」と松下氏。病院特有の複雑な組織体制において、いかにIT統 制を実現していくかも大きな課題だった。
こうしたさまざまな問題を解決するためのソリューションとして済生会熊本病院では、ネットワールドが提供するCitrix XenApp(以下、XenApp)を採用することを決定する。XenAppを導入したシステムを構築したのは、熊本市を中心にシステム構築を手がけるベ ンチャー企業、株式会社ブレス(以下、ブレス)だ。
今回、XenAppを導入してブレスが構築したシステムは、15台の公開アプリケーション用サーバと5 台の公開デスクトップ用サーバが、RDP(Remote Desktop Protocol)によりSunRay Serverに接続され、約400台のSun Ray端末からアプリケーションにアクセスできる仕組みになっている。また、Wyse製のシンクライアント端末10台も導入され、こちらはICAクライア ントで直接公開デスクトップ用サーバに接続されている。
XenApp上では、健診システムをはじめ、電子カルテや透析システム、薬剤部門システム、給食システムなどの業務系システムから、ERPシステム、オフィススイート、看護師用の勤務表などの事務系システムまで、病院業務に必要なほとんどのアプリケーションが利用できるようになっている。また、関連施設 である済生会みすみ病院に設置された40台のSun Ray端末と3台のWyse端末からも、インターネットを経由してXenApp上の事務系アプリケーションが利用できる構成になっている。
ブレスの岩永 俊保氏は、「病院業務は特殊なものが多く、本当にXenAppで実現できるのか不安な面もありました。特に健診システムは出力される帳票も多く、ネットワールドにもサポートしてもらいながら十分にテストを繰り返しました。その甲斐もあり半年で本格稼働を実現できました」と話す。健診システムは2008年 9月よりXenAppの導入を開始し、2009年4月に本格的に稼働している。
また、ブレスのシステムソリューション部マネージャー、松尾 健司氏は、「XenApp上でアプリケーションが稼働しても、それが正しく動いているかどうかは現場の担当者に検証してもらわなければ分かりません。現場 の協力体制が確立できたこともXenApp 導入を成功させる大きなポイントでした」と話している。
XenAppによりアプリケーション、デスクトップの仮想化を実現したことで、OSのバージョンや相性を気にすることなく、アプリケーションを配信することが可能になりました。また公開デスクトップにより配信する画面をサーバ側でコントロールできるので、クライアント管理の煩雑さも解消されています。岩永氏は、「本来使えるべきでないアプリケーションが画面上で見えてしまうのはセキュリティ上問題ですが、XenAppでは端末ごとにコントロールできるので 便利です」と話す。
松下氏は、「今後も利用者が増えていくのでパフォーマンスを低下させないスケーラビリティも重要でした。XenAppではサーバ側でアプリケーションを動かしているのでパフォーマンスも高速で拡張性も優れています。また、病院内では古いPCも数多く利用されていますが、Office2002、2003しか 使えなかったPCで最新のOffice 2007が使えるなど、多くのメリットがあります」と語る。
また、済生会熊本病院の医療情報システム室、遠藤泰史氏は、「病院のシステムの特徴として24時間止めることができないので、影響の少ない夜間にメンテナンスをしなければなりませんでした。XenApp を導入したことで、業務中でもメンテナンスができるので業務効率が大幅に向上しています」と言う。
さらに岩永氏は、「2009年5月には、病院全体でXenAppを使用できる環境が整うので、アプリケーションの稼働状況などのログを収集していく計画で す。これにより、XenAppを導入した効果を数値としてより明確に示すことが可能になります」と話している。
そのほか松下氏は、「XenAppを導入したことで、今後に向けた可能性が広がりました。これまではパフォーマンスやセキュリティの問題などで、専用線でしか実現できなかった医療機関の連携を、インターネットとXenAppにより低コストで実現できます。これにより、外部の専門医にデータを見てもらったり、産休中のドクターに自宅で画像の診断をしてもらったりという取り組みが実現できます。こうした取り組みが、医師不足の問題も解決できるかもしれませ ん」と今後の期待について語っている。
